DREAMS COME TRUE/DELICIOUS
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プロデューサー:マイク・ピラ、DREAMS COME TRUE レコーディング:マイク・ピラ、後藤昌司、ピート・フリス(2)
ミキシング:マイク・ピラ マスタリング:ティム・ヤング
録音スタジオ:ウィットフィールドストリートレコーディングスタジオ、ウッドストック軽井沢レコーディングスタジオ、一口坂スタジオ、セディックスタジオ、デヴォンシアスタジオ
演奏者 吉田美和:ヴォーカル、バッキングヴォーカル、足踏み(4)、ふざけ声(4)、手拍子(5,10)、オカリナ(10)
中村正人:ベース(except 6)、プログラミング、バッキングヴォーカル(except 1,8,12,13)、足踏み(4)、ふざけ声(4)、手拍子(5,10)
西川隆宏:キーボード、マニュピレート、バッキングヴォーカル(except 1,7,8,12,13)、足踏み(4)、ふざけ声(4)、手拍子(5,10)、ボンゴ(8)
モーリス・マイケル:ギター(3,5,9〜11)、ハーモニカ(10) ニール・テイラー:ギター(2) 高田二郎:ギター(7)
ポール・ダン:エレキ・ギター(5,9,11〜13)、アコースティック・ギター(5,13) 吉川忠英:アコースティック・ギター(12,13)
ラウル・ドリヴェイラ:トランペット(2〜5,9〜11,13) マーティン・ドローヴァー:トランペット(2〜5,9〜11,13)
有沢健夫:トランペット(7)、一部トランペット(3) 佐々木史郎:トランペット(7)
ニック・ペンテロウ:サックス(2,3,5,9〜11,13)、ソプラノ・サックス(1) ピーター・トムス:トロンボーン(2,3,5,9〜11,13)
山本一:サックス(7) 佐野聡:トロンボーン(7)
大谷幸:ピアノ(5〜7,9,12,13)、シンセサイザー(1)、エレクトリック・ピアノ(3,11)、アコーディオン(4)、キーボード(5)
濱田尚哉:ドラムス(1,5,7,9,12,13)、ハイハット(3)、ボンゴ(8)、椅子と美和さんの好きな本(8)、シンバル(12)
シーザー・ロドリゲス・デュラン:アコースティック・ギター(4)、ギタロン(4) ツィングタ:足踏み(4)、手拍子(5,10)、バッキングヴォーカル(11)
モーリス・ホワイト:バッキングヴォーカル(2) 朝川朋之:ハープ(7) 濱田美和子:マグカップと砂糖入れ(8)
ジェローム・ブラウン:バッキングヴォーカル(1,6,7) グレンヴィン・アンソニー・スコット:バッキングヴォーカル(1,6,7)
シャロン・デボラ・ベスウィック:バッキングヴォーカル(6) マリオン・パウエル:バッキングヴォーカル(1,6,7)
サラ・ブラウン:バッキングヴォーカル(1,7) クリス・ポター:ふざけ声(4)、バッキングヴォーカル(11)
ジェマ・デ・ラ・クラツ:フラメンコの手拍子(4)、ふざけ声(4) カルメラ・ロメロ:フラメンコの手拍子(4)、ふざけ声(4)
マニュエル・マレーナ:フラメンコの手拍子(4)
マイク・ピラ:バッキングヴォーカル(2,6,11)、ふざけ声(4)、手拍子(5,10)、フランス語の語り(5)、ギター(8)
ナタリー&エミリー・ピラ:ヴォーカル(1)
人気度 ★★★★★ お勧め度 ★★★★★ 管理人お気に入り度 ★★★★☆
ベスト盤度 「BEST OF DCT」2曲、「7月7日、晴れ」0曲(英語版だと2曲)、「The SOUL」4曲、「DREAMAGE」2曲(英語版含むと3曲)、「DREAMANIA」0曲
シングル度 13曲中4曲 作曲者度 吉田2曲、中村7曲、吉田&中村3曲、不明1曲 トレードカラー・・・水色 アルバム略称・・・DC
アルバム「MAGIC」を発表した翌年の1994年は、ドリカムが初めてオリジナルアルバムを出さなかった年でした。しかし、何もしていなかったわけではありません。この年は「英語の年」といっていいほど英語の曲をシングルで発表しました。1月には1990年の『雪のクリスマス』の英語版『WINTER SONG』を発表。これはアメリカ映画「めぐり逢えたら」の主題歌に起用され、ドリカムの名は世界にまで知られるようになります。4月にはEARTH,WIND&FIREのモーリス・ホワイトをヴォーカルに招いた『WHEREVER YOU ARE』を発表。こちらはドラマ「長男の嫁」の主題歌になります。そのドラマの劇中音楽はすべてまささんが手がけ、そのサントラは5月にリリースされます。そして12月には『ETERNITY』がアニメ映画「THE SWAN PRINCESS」のエンディングテーマに起用され話題を呼びました。このように、1994年はドリカムにとって後年のアメリカ進出の足掛かりとなる1年でした。
そうした間にもニューアルバムの制作は進んでいて、これが1995年3月にリリースとなります(MDは3月18日にリリース)。7枚目のアルバム、「DELICIOUS」です。タイトルは11曲目の『IT'S SO DELICIOUS』から。初めての13曲入りアルバムで、前年に発表された英語曲の日本語版が2曲収録されています。収録曲はテーマ曲を除き4曲ずつ3つのパートで区切られています。ジャケットやブックレットの写真はプールで撮影されました。CDレーベルも水をイメージしたもので、きれいなつくりです。毎度のように書いてあるスペシャル・サンクスには、4曲目『TORIDGE&LISBAH』の元となった夫婦の名もあります。ちなみに、西川さんはこのアルバムではまた昔の風貌に戻っています(苦笑)。そのかわり今度はまささんがひげを生やしています(笑)。
このアルバムの帯には、「こんなにデリシャスな音楽、聞いたことない。ホントホント。」と書いてあります。この言葉が示すとおり、このアルバムの収録曲はより多彩な雰囲気の曲が集っています。それまでのドリカムのイメージを覆したピアノ・バラード『す き』を始め、ドリ・ファンクの『IT'S SO DELICIOUS』、レトロな感じの『琥珀の月』、やさしく穏やかなワルツ『おやすみのうた』、ラテン風ポップ『たかが恋や愛』、果てにはマリアッチ風の『TORIDGE&LISBAH』と、たった50分足らずのアルバムなのにおいしいものを食べた後のような満腹感を覚えます。リズム的には前作の系譜を引き継いでいます。かといって散漫なことはなく、かえってサウンドに統一感が見られます。それは、ジャケットのプールの水のように透き通ったシンセ音です。『WEATHER FORECAST』『す き』『The signs of LOVE』『たかが恋や愛』『おやすみのうた』などなど、すがすがしく透明な雰囲気が漂っています。前作「MAGIC」を「暖」としたら、こちらは「涼」といった所でしょうか。また、前作よりアコースティック感はなくなったものの、生楽器の使用は続けています。その証拠が参加ミュージシャンの多さであり、特にピアノの大谷幸さんが大活躍です。ドラムスも積極的に生にしています。『沈没船のモンキーガール』に至っては一発録りでした。このようなことがあって、前作よりポップ感が増しています。
作曲者はほとんどまささんの独壇場(意外!)ですが、初めて美和さんが作曲・作詩・編曲すべてを行った『沈没船のモンキーガール』が収録されています。これは美和さんがどうしてもやりたかった曲で、まささんが『いつもいつでも』をどうしても入れたがった時の交換条件として収録されました(これが13トラックとなった訳)。その歌詞には「モンキーガール」という主人公が登場しますが、彼女はのちにシリーズ化することとなります。「作曲者不明」となっているのは『琥珀の月』。理由は曲説明を見てください。
このアルバムの収録曲は人気の高い曲(『す き』『サンキュ.』など)と、マイナーでマニアックな曲(『きづいてよ』『i think you do』など)との落差が激しいのですが、それをカヴァーしているのはサウンドの統一性と曲の完成度の高さでしょう。有名な曲以外でもアレンジやリズムがユニークで楽しい曲がいっぱいでとっつきやすいです。実際このアルバムを一番好きと答える人は多く、名盤のひとつともいえます。ベスト盤「The SOUL」にはこのアルバムから4曲も収録されているほどです。そのため、初心者には大変お勧めできます。皆さん、一度聴いてみてください。すごくおいしいですよ(笑)。エピック時代後期のアルバムの中では最重要です。
私はこのアルバムを聴いたのは早く、3枚目だったのでよく聴いていたアルバムです。そのため「これ!」といったお気に入りはないですが、全体的に好きです。『琥珀の月』は昔一番好きな曲でした。このアルバム、意外とまささんの曲って多かったんですね。となると美和さんの曲はだいぶ前から減っていることになりますね。「The Swinging Star」からか・・・。確かにマイナーな曲はまささんの曲に固まってるし(笑)。
この後ドリカムは「DELICIOUS」の収録曲と新曲「LOVE LOVE LOVE」をひっさげて2度目のDWLを開催し、大成功を収めます。そして日本中が「LOVE LOVE LOVE」に酔いしれる中、ドリカムは着実にその作風を変えていったのです。2年後に訪れる大きな転換点を前に・・・。