沈没船のモンキーガール
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演奏者 吉田美和:ヴォーカル
中村正人:ベース
西川隆宏:ボンゴ
濱田尚哉:ボンゴ
マイク・ピラ:ギター
and 「ハネムーン・スペシャル・パーカッション・アンサンブル」・・・椅子と“美和”の好きな本(by 濱田尚哉)&マグカップと砂糖入れ(by 濱田美和子)
ライヴ履歴 1995年、DWLで登場
2001年「DCT garden.com Off-Site Meeting 2001」、『モンキーガール 豪華客船の旅』『モンキーガール番外編“ガンバレあたし!”』とのメドレーで登場
2007年、DWL「POWER PLANT SPECIAL LIVE」で登場
アルバム「DELICIOUS」に収録された、記念すべきモンキーガールシリーズ最初の曲。「モンキーガール」とは美和さんの作ったキャラクターで、美和さんいわく「私の担当部門」。後年『モンキーガール 豪華客船の旅』『モンキーガール番外編“ガンバレあたし!”』という曲(どちらも美和さん作曲)にも登場し、ついには2001年のアルバムのタイトル(「monkey girl odyssey」)にまで上り詰め、携帯ストラップまでも作られた、モンキーガールの原点といえる曲でしょう。
元々この曲の構想は、「DELICIOUS」制作時から美和さんの中にぼんやりあったそうです。それが本格的に作られることになったのは、同アルバム収録曲『いつもいつでも』のおかげでした。その曲は『WHEREVER YOU ARE』というリリース済みの英語の曲の日本語版で、作曲者であるまささんはどうしても日本語の歌詞で同曲を聴いてみたいと思い、美和さんにその作詩を依頼したという背景がありました。当初美和さんはその作詩を拒否したのですが、「どうしても」というまささんの熱意に押され「条件」つきで承諾したのです。その条件こそがこの曲を録音することだったのです。アルバム「DELICIOUS」がドリカム初の13曲入りとなったのには、こんな裏事情があったのです。
曲の方は、まささんの「どこでも軽く演奏できるようなアレンジにしよう」という助言をもとに、美和さんが作曲・作詩・編曲すべてを手がけました。そしてその録音は一発録りで行われました。曲の前後に話し声が入っているのもそのためで、スタジオの和気あいあいとした雰囲気が伝わってきます。美和さんはヴォーカル、まささんはベース。西川さんはボンゴを仕入れてきてそれを演奏しています。プロデューサーのマイク・ピラは珍しくギターを弾いています。さらに、スタジオのあるロンドンに新婚旅行中だったDCTバンドの濱田尚哉さんと奥さんの美和子さんまでがレコーディングに参加し、椅子・本・マグカップ・砂糖入れをパーカッション代わりに演奏しています。この2人の演奏はアルバムのクレジットでは「ハネムーン・スペシャル・パーカッション・アンサンブル」と記してあります。このような編成で一発録りした曲は、非常にシンプルで楽しい雰囲気が伝わってきます。このテイクは当初、エンディングで西川さんがたたくボンゴが「大相撲みたいだ」と不評(!?)で却下されそうになったのですが、結局アルバムに採用されました。モンキーガールの登場する歌詞ですが、楽しげな雰囲気とは裏腹に非常に悲しいラヴソングです。失恋にあったモンキーガールの気持ちを歌う美和さんの声も悲しげです。
モンキーガール原点の曲ではあるものの一般的にあまり知られないこの曲ですが、ライヴではちゃんと演奏されています。「DELICIOUS」のアルバムツアーをかねた'95年のDWLでは、スタジオ録音さながらの和気あいあいさが伝わってきます。DVDでは、曲が始まる前に「どうよ?」と言って笑う美和さんが印象的です。また、2001年のライヴではモンキーガール3部作をメドレーで演奏するという、題して「モンキーガール的フロー」の中で演奏されました。'07年DWLはファンクラブ「POWER PLANT」会員限定ライヴでのみ演奏され、この時のバンドは「POWER PLANT(発電所を意味する)」から各人発電所の機械の名前が与えられていましたが、この曲の演奏中、ブレーカー役の美和さんが「演奏を間違えた」として2度も演奏を中断してしまうことがありました。これが演出だったのか、それとも本当に誰かが演奏を間違えたのかは謎です(苦笑)。
また、1996年の「LOVE UNLIMITED∞」ツアーでは、続編である『モンキーガール 豪華客船の旅』の演奏前に、この曲の英語版(WORLDWIDE VERSION)がBGMで流されたそうです。
個人的にはモンキーガールシリーズはあまり興味がないのですが、美和さんの張り切れる部門なので今後も続編を作っていってほしいと思います。演奏の前後で聞こえる話し声は英語なのですが、「大丈夫」という日本語も聴こえてきます(笑)。アルバムではこの曲は『The signs of LOVE』のバラードのイメージから『たかが恋や愛』以降のポップのイメージへ切り替える役割を果たしています。ちなみに『たかが恋や愛』とこの曲との曲間はありません。思えば『ガンバレあたし!』の時もそうですね。