DREAMS COME TRUE/WONDER 3
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プロデューサー:マイク・ピラ、DREAMS COME TRUE レコーディング:マイク・ピラ、後藤昌司、イトウ・タカシ ミキシング:マイク・ピラ
マスタリング:クインシー・タナカ 録音スタジオ:パワープラントスタジオ、マリンスタジオ、青葉台スタジオ、マグネットスタジオ、セディックスタジオ
演奏者 吉田美和:ヴォーカル、バッキングヴォーカル(except 1)
中村正人:ベース、プログラミング、キーボード、バッキングヴォーカル(excpet 1,9&10)
西川隆宏:キーボード、バッキングヴォーカル(except 1,9&10)、サウンドデザイン
モーリス・マイケル:ギター(3,4,6,7,9〜12) 佐々木康彦:ギター(1,2,5,8)
ラウル・ドリヴェイラ:トランペット(1,4,7,9)、フリューゲルホルン(6) ジョン・サーケル:トランペット(1,4,7,9)、フリューゲルホルン(6)
佐々木史郎:トランペット(2,5,8) 小林太:トランペット(2,5)
ニック・ペンテロウ:サックス(1,3,4,6,7,9) 瀧川浩水:サックス(2,5,8)
ピーター・トムス:トロンボーン(1,4,6,7,9) 佐野聡:トロンボーン(2,5) カクタ・ヒロヤス:シンバル(1,2,5,7,8)
マイク・ピラ:バッキングヴォーカル(6,9)、語り(9)、審査員(4) スージー・ピラ:ママのラップ(4)
リン・リン・ガールズ(カネコ・ミカ、イグロ[ノリスエ]・アツコ、ホマン・シホ、ティナ・マワタリ):バッキングヴォーカル(5)
人気度 ★★★☆☆ お勧め度 ★★☆☆☆ 管理人お気に入り度 ★★★☆☆
ベスト盤度 「BEST OF DCT」3曲、「7月7日、晴れ」3曲、「The SOUL」3曲、「DREAMAGE」2曲、「DREAMANIA」0曲
シングル度 12曲中5曲 作曲者度 吉田4曲、中村5曲、吉田&中村3曲 トレードカラー・・・ヴェニット アルバム略称・・・W3
1990年11月1日に発売となったドリカムのサード・アルバム。名前もずばり「WONDER 3」。驚き仕掛けのサード・アルバム、といった所でしょうか。ジャケットのきめた顔と裏表紙の笑顔の対比がいいです。また、プロデューサーであるマイク・ピラの娘・ナタリーの描いた絵も登場します。アルバムは発売されるとオリコンでドリカムのアルバム初の1位を獲得しました。帯にあるとおり12曲入りアルバムですが、これよりドリカムのアルバムは11曲の楽曲+テーマ曲1曲という構成がしばらく続きます(テーマ曲は必ず冒頭に入るようになる)。前アルバムの最後の曲、『未来予想図II』の最後のコードが今作の最初の曲『OPEN SESAME』に登場し、前作とリンクしています。ちなみにこのアルバムは中村タダシさんという人に捧げられていますが、まささんの関係でしょうか?
ジャケットや歌詞カードなどアートワークがシンプルなように、本作はどこか地味で存在が薄いです。このアルバムからのシングルカット『笑顔の行方』や『Ring!Ring!Ring!』はヒットしましたが、現在では「一大名曲」ほどにはなりきれていない、中程度の曲になっています。そしてそれ以外のアルバムソングは無名なものが多いです。DWLで演奏された曲が半分しかないことがそれを物語っています。また曲のバラエティの豊かさは、前作「LOVE GOES ON・・・」より多種にはなりましたが、いまいちぴんとこないです。さらに、このアルバムの存在の薄さを決定しているのが、まささんの洋楽嗜好です。前作までは美和さんの曲の比率が圧倒的に高かったのですが、今作ではまささんの曲が追い抜いています。まささんの曲や、『時間旅行』『さよならを待ってる』などの美和さんとの共作曲は、洋楽的アプローチとプログラミングによる「作られた」イメージが非常に強く、その点ではファースト・アルバムの頃に戻ってしまった感があります。特にアルバムの後半はそれに当てはまるでしょう。単調なアレンジも多いです。また、前作と次作が完成度が高く人気なため、このアルバムは「過渡期」「通過点」といったイメージが強くなってしまっています。
しかし、ネガティブな面ばかりあるのではありません。先に述べたように、収録曲の曲調や詞作は明らかに、そして着実にバラエティ豊かになっています。曲調でいえば、この後ほぼアルバムに1曲の間隔で登場するラテン・ナンバーのはしり『KUWABARA KUWABARA』や、まささんいわく「ドリカムのロック」『Ring!Ring!Ring!』など。詞作では、『KUWABARA KUWABARA』『Ring!Ring!Ring!』『ESCAPE』などのストーリー性豊かなものや、『今度は虹を見に行こう』『時間旅行』など美しい風景を歌ったものが見られます。また、シングルカットされていない曲でも『時間旅行』は心に残る名曲ですし、『今度は虹を見に行こう』『2人のDIFFERENCE』はファンの間では高い人気を誇る隠れた名曲です。アレンジの面では、トロンボーンを新たに導入したことでブラス・セクションが厚みを増しています。マイク・ピラも数曲でバッキング・ヴォーカルを担当していますが、この後彼は多くの曲に参加することとなります。
これらを踏まえると、このアルバムでの試行錯誤が次作「MILLION KISSES」の大ヒットを誘発したと言えます。「MILLION KISSES」の曲や詞作の鮮やかさ・バラエティの豊かさ、そして「聴かせる」プログラミングの仕方、マイク・ピラのバッキング・ヴォーカルなどは、このアルバムあってこそなのです。その点で、このアルバムはいい意味で「過渡期のアルバム」なのです。
私がこのアルバムを買ったのは結構後で9枚目です。実は面白いことに、私が一番最初に買ったこのアルバムのブックレットは乱丁してました(笑)。普通なら取り替えるところですが、早く聴きたかったのとその有様が面白くもあったので、新たにもう1枚このアルバムを買いました。よって現在私はこのアルバムを2枚持っています。乱丁版はどこかにしまってありますが、これは「黒をバックにした美和さん〜『ひさしぶりのI Miss You』の歌詞」のページ部分がないかわりに、その他のページがもう1回とじられているものです。恐らくプレミアがつくんでしょうね(つかない?)。私はこのアルバムでは『さよならを待ってる』『ひさしぶりのI Miss You』『2人のDIFFERENCE』が特に好きです。これらが入っているおかげでこのアルバムは大体好きな方です。前半のアッパーなナンバーの集合体がいいですね。後半は、まささんの色が強いので・・・(苦笑)。
珍しくまささんの洋楽&プログラミング嗜好が色濃く出た作品。良くも悪くも過渡期の作品ですが、隠れた名曲を発掘してみてはいかがでしょうか?後半のまささんの曲まで楽しめたら、あなたはドリマニアになれます(笑)。