DREAMS COME TRUE/AND I LOVE YOU

 1.a little prayer
 2.ア・イ・シ・テ・ルのサイン 〜わたしたちの未来予想図〜
 3.大阪LOVER -ALBUM EDITION-
 4.アピール
 5.サヨナラ59ers ! -ALBUM VERSION-
 6.CARNAVAL 〜すべての戦う人たちへ〜
 7.NOCTURNE 001
 8.きみにしか聞こえない
 9.今日だけは -ALBUM VERSION-
10.UNPRETTY DAY !
11.またね -ALBUM VERSION-
12.もしも雪なら
13.AND I LOVE YOU
 
発売年月日:2007年12月12日
DCT records/NAYUTAWAVE RECORDS
UPCH-20063(通常盤)・UPCH-29008(初回限定盤)
全体収録時間:59'13"
初回限定盤:限定パッケージ+DVD(MUSIC VIDEO&おまけ映像)
チャート最高位:2位
「AND I LOVE YOU」

 プロデューサー:DREAMS COME TRUE

 レコーディング:岡村弦(3,4,6,7,11,13)、後藤昌司(8,9,12)、エド・テュートン(1,2,5,10)   ミキシング:エド・テュートン

 マスタリング:ブラドー・ミラー   録音スタジオ:スターチャイルドスタジオ、ビクタースタジオ、エレクトリックレディスタジオ、ソニーミュージックスタジオ

 演奏者  吉田美和:ヴォーカル、バッキングヴォーカル、手拍子(5)、サンバホイッスル(6)

        中村正人:ベース(except 3,13)、シンセベース(3,7)、プログラミング、バッキングヴォーカル(1,5,6,8,10〜12)、

               ウィンドチャイム(2)、手拍子(5,7)、シンバル(11)

        武藤良明:エレクトリックギター(1,3,5,6,8〜12)、アコースティックギター(2,4,7〜9,13)

        デイヴィッド・T・ウォーカー:エレクトリックギター(1,2)、ヴォイス(1)   コン・ツヨシ:エレクトリックギター(2)

        グレッグ・アダムス:トランペット(1,2,10)   バリー・ダニリアン:トランペット(1,2,10)

        佐々木史郎:トランペット(6,11)   中野勇介:トランペット(6,11)、ピッコロトランペット(11)

        デーヴ・マン:テナー&バリトンサックス(1,2,10)

        吉田治:テナーサックス(6,11)、ピッコロ(11)、フルート(11)   本間将人:アルトサックス(6,11)

        オジー・メレンデス:テナートロンボーン(1,2,10)   五十嵐誠:トロンボーン(6,11)

        大谷幸:ローズピアノ(1,7)、ピアノ(2,4,8,9,13)、シンセサイザーソロ(7)、ハープシコード(8)、エレクトリックピアノ(9)

        松本幸弘:ドラムス(2,4,6,8,11)、ハイハット(1,7,9)、ドラムフィルサンプル(7)、シンバル(7〜9)、手拍子(7)

        大儀見元:パーカッション(5,6)、手拍子(5)、ヴォイス(6)   アル・ディ・メオラ:アコースティックギターソロ(5)

        マーセラス・D・ニーリー:バッキングヴォーカル(10)、バッキングヴォイス(6)   杉並児童合唱団:バッキングヴォーカル(11)

        CHIWA、A-rimi、coco鮎美、RAH-D、Alice Keita、Kefurah、ZAK BOND、Svetlana Grigorieva、Alla:バッキングヴォイス(6)

        クラノ・ミツオ:大阪弁スーパーバイザー(3)

 人気度 ★★★★☆  お勧め度 ★★★★☆  管理人お気に入り度 ★★★☆☆

 ベスト盤度 「THE SOUL 2」4曲

 シングル度 13曲中8曲  作曲者度 吉田4曲、中村3曲、吉田&中村5曲、中村&吉田1曲

 トレードカラー・・・濃い赤  アルバム略称・・・AI


 2006年の大半を「THE LOVE ROCKS」ツアーで費やしたドリカム。年末にはシングル「もしも雪なら/今日だけは」を発売、相変わらずのドリカム節を見せていました。そして、明くる2007年は、5度目となるDWLイヤー。4年に1度だけ開催される恒例のコンサート・ツアーに今回ドリカムが企画したキーワードが、「夢よ、みんな、かなってしまえ!」。DWLを機会に、ファンの抱えるドリカムへの様々な願いを一挙にかなえてしまおうというもので、「正夢BOX」を通じて多くの願いがファンから寄せられることとなりました。この一連の「夢かなプロジェクト」では、『大阪LOVER』『ア・イ・シ・テ・ルのサイン〜わたしたちの未来予想図〜』といった楽曲が誕生したり、まささん執筆のブログ「ドリブログ」が書籍化されたり、ドリカムの全楽曲を網羅した楽譜「ドリ本」が発売されたりと、様々な願いが実現したのですが、8月〜9月に行われたDWL本番ではファンクラブ会員限定ライヴやバッキング・ヴォーカルのオーディション(LOVEさんとGATZさんが受かる)が行われた他、ハイライトとして紅白歌合戦で話題を呼んだメドレー『何度でもLOVE LOVE LOVE』を観客全員で歌おう!という企画が生まれ、教則DVDまでもが出るほどの力の入れようでした。そして、5度目となるDWLは、大きな話題の中大成功のうちに無事終了しました。

 しかし、そんなDWLの最中、美和さんにつらい出来事が起こります。美和さんの旦那さんであり、映像ディレクターとしてドリカム作品に関わってきた末田健さんが肺細胞腫瘍という病魔に襲われたのです。美和さんは、コンサートやリハーサルが終わると毎日末田さんを見舞いに行ったといいます。ハードスケジュールの中看病が続きましたが、美和さんは末田さんとDWLを完遂することを約束しました。そして残念なことに、DWLが終わって数日後の9月26日、数ヶ月に及ぶ闘病生活も空しく、末田さんは亡くなりました。しばらくは何もできず悲しみに暮れた美和さん。最愛の人を失った苦痛は我々に計り知れないものがあります。そんな中で、ファンの最後の「夢」をかなえるべくドリカムは制作途中だったニューアルバムを完成させます。それが、2007年末に発売となった「AND I LOVE YOU」でした。

 ドリカム14枚目の日本語アルバムとなったこのアルバムのタイトルは、「そして私はあなたを愛します」。ドリカムがデビュー以来伝え続けてきた、愛することの重要性をメッセージとして込めてあります。また美和さんにとっては末田さんへの想いそのものでもあります(アルバム自体、末田さんに捧げられたことがクレジットされている)。ジャケットは、ドリカムの日本語のオリジナル・アルバムとしては初めてドリカム本人が登場しないもの。タイトルのロゴを大きくあしらったもので、ここにもドリカムの伝えたいことが伝わってきます。キャッチフレーズは「夢みることをおそれない、愛することをためらわない」。初回限定盤はスペシャルボックス入りの豪華仕様で、おまけとして先行シングル5曲のミュージック・ヴィデオと、そのメイキングを収録したDVDがついていました。まささんの「ドリブログ」の映像版も入っています(笑)。また、59分ちょっとという全体演奏時間は、これまでのドリカムのアルバムで最長です。チャートでは惜しくも2位でしたが、前作以上に話題を集めました。

 このアルバムの収録曲を見てまず目に付くのが、タイアップのある曲の多さ。2006年末から2007年まで、4枚のシングルをリリースし、精力的な活動をこなしてきたドリカムですが、その努力の結晶と呼べるでしょう。全13曲中、実に8曲にタイアップがあります。その中には、「夢かなプロジェクト」で実現した『大阪LOVER』(USJのアトラクションのテーマ曲)や『ア・イ・シ・テ・ルのサイン〜わたしたちの未来予想図〜』(映画「未来予想図〜ア・イ・シ・テ・ルのサイン〜」主題歌)や、同名映画の主題歌『きみにしか聞こえない』、ドリカム本人がCM出演して話題となった『NOCTURNE 001』などがあります。様々な媒体に取り上げられた楽曲が一堂に会したことで、このアルバム一枚でもある種のベスト盤的な雰囲気が出ています。ドリカムにとっては怒涛の2007年の集大成が、このアルバムなのです。シングルが2枚しかなかった前作とは大きく異なる点です。作曲者別に見ると、今回は再び美和さん・まささんそれぞれの単独作曲が目立っています。「吉田&中村」のタッグも半数の6曲と健在。

 作風は2人編成になって以来の、初期ドリカムをほうふつさせつつもシンプルさが心を打つサウンドを踏襲していますが、このアルバムではバラード系の楽曲が目立つのが特筆です。前作はタイトルどおり「心がよく動く」をテーマにロック系のアップテンポな楽曲が目立ちましたが、このアルバムは前作よりも落ち着いた、穏やかな雰囲気に仕上がっています。これは、まささんが「アルバムの中核」と位置付ける『もしも雪なら』と『ア・イ・シ・テ・ルのサイン〜わたしたちの未来予想図〜』の2曲の存在が大きいでしょう。テーマソング後の2曲目にバラードを置くというパターンも、ドリカムでは初めての試みです。バラードで始まり、バラードで終わるというのも、ドリカムにしては珍しい構成です。前作はロック魂で心を揺さぶったドリカムが、今度は切々と歌い上げるバラードで感動を誘います。しかもそのメロディの美しさ・美和さんの歌声が訴えかける情熱は折り紙付き。とはいえアップテンポの楽曲も収録されており、ディスコ風のリズムが耳に残る『大阪LOVER』や、アルバムに1曲は必ず入る「中村節」のドリファンク『UNPRETTY DAY!』、そして「第2の『何度でも』」を意識して作られた『またね』などアグレッシブなパートもあります。また、『ア・イ・シ・テ・ルのサイン〜わたしたちの未来予想図〜』や『きみにしか聞こえない』など、過去のドリカムナンバーを最初から意識して書かれたものもあり興味深いです。当然初期ドリカムテイストはたっぷり。詞作面では、以前よりストレートなラヴソングが多く入っており、せつなさを倍増させています。タイトルソング『AND I LOVE YOU』は、美和さんが末田さんへの想いをストレートに打ち明けたラヴソング。

 今回も、意外なほど多くプログラミングによる音作りを試みているドリカムですが、不自然さを感じさせないのは前作同様。「これがほとんど打ち込みなの!?」と思ってしまうような曲も多くあります。逆に、幻想的に仕上げた『NOCTURNE 001』や、ノリノリのダンスナンバー『大阪LOVER』などは打ち込みサウンドの機械的な音色を上手に生かした音作りとなっています。演奏者は前作からまたラインアップを変えており、1つのことに囚われないドリカムらしいです。レコーディング・スタッフも、多く若手を採用したそうです。一方で武藤さん(ギター)、大谷さん(キーボード)、松本さん(ドラムス)など、最近のドリカムには欠かせないメンバーはすっかり定着しています。ライヴではすっかりおなじみの「第2のマイク・ピラ」、マーセラス・ニーリーも2曲で参加しています。ゲスト参加としては、アル・ディ・メオラをスパニッシュ・ギターに迎えた『サヨナラ59ers!』、児童合唱団のコーラスをフィーチャーした『またね』、大勢の仲間たちと賑やかに録音した『CARNAVAL〜すべての戦う人たちへ〜』と相変わらず多彩で、ドリカムカラーをバラエティ豊かなものにしています。

 このアルバムは、先述の通りバラード色がいつもより濃い内容となっています。そのため、2人になってからのドリカムのアルバムでは最もおとなしめのトーンに仕上がっています。そのため、前作のようなアップテンポな感じはあまり味わうことはできません。その方面(ロック系の曲)を期待している人には、あまりお勧めはできないかもしれません。しかし、バラードを中心にせつないメロディと歌詞、そしてヴォーカルで心を打つこのアルバムの楽曲は、前作・前々作とは違うアプローチで力強く、感動的です。シングルになった曲はもちろんのこと、『アピール』『NOCTURNE 001』といったアルバムナンバーもしかり。ドリカムが18年歌ってきた「愛する気持ち」が、このアルバムで1つの集大成を成しています。ストレートな演奏・歌詞があなたの心を揺さぶること間違いなしです。ぜひこのアルバムを聴いて、ドリカムが伝えたいメッセージを感じ取ってください。また、2006年末〜2007年に生まれた多くの名曲たちがいっぺんに聴けるというのも大きな魅力。『もしも雪なら』『きみにしか聞こえない』『ア・イ・シ・テ・ルのサイン〜わたしたちの未来予想図〜』・・・いずれも往年のドリカムナンバーに負けない名曲です。アルバムのコンセプトである「愛」にぴったりのラヴソングが1つの統一感を生み出しています。タイアップも多いので、初心者の方も「あ、この曲ね」と思うことが多いでしょう。

 2007年はDWLイヤーで大いに盛り上がりましたが、その最後に大きな「夢」を贈ってくれたドリカムに感謝したいですね。特に美和さんは大変な1年だっただけに・・・。2人になって以降ドリカムのアルバムが3枚揃ったことで、大体アルバムの流れにパターンが見えてくるようになりましたが、今回はそれでもバラードに重きが置かれているとやはり思います。2曲目が『ア・イ・シ・テ・ルのサイン〜わたしたちの未来予想図〜』というのもとても大胆に思えましたね。ドリカムの諸作品では「DREAMS COME TRUE」「MAGIC」と並んでバラード色が強いですが、王道のドリカムバラードが多いこのアルバムは「ドリカムらしい!」と感じますね。エモーショナルな名曲もたっぷりで大満足です。私が持っているのはもちろん初回限定生産盤。おまけDVDの「ドリブログ」映像版での、まささんのユーモラスさ&情けなさには思わず吹き出しちゃいました(笑)。『キャンディ・グライダー』のライヴ映像(もちろん完全版)はぜひソフト化希望!このアルバムでは、どれも素晴らしいのですが『今日だけは』が特にお気に入りです。

 2007年を「AND I LOVE YOU」というメッセージで締めくくったドリカムは、コンサートには出ずしばらく活動を小休止しました。しかし、しばらくすると、再び新たなアルバム制作に向けて一歩一歩前を見つめて歩き始めたのでした・・・。

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