またね

演奏時間:5'29"(ALBUM VERSION)
               5'26"(featuring ルフィ,ゾロ,ナミ,ウソップ,サンジ,チョッパー,ロビン,フランキー,ヒルルク,くれは)
収録アルバム:「AND I LOVE YOU」11曲目(ALBUM VERSION)
                     シングル「またね」(featuring〜)
作曲:吉田美和・中村正人  作詩:吉田美和  編曲:中村正人
プロデューサー:DREAMS COME TRUE
レコーディング:岡村弦  ミキシング:エド・テュートン
有名度 ★★★☆☆
人気度 ★★★☆☆
管理人お気に入り度 ★☆☆☆☆
このサイトでの略称・・・AI−11
参照:『またね -CMJK REMIX-』(リミックス)

 演奏者  吉田美和:ヴォーカル、バッキング・ヴォーカル

        中村正人:ベース、プログラミング、バッキング・ヴォーカル、シンバル

        武藤良明:エレクトリック・ギター

        佐々木史郎:トランペット   中野勇介:トランペット、ピッコロトランペット

        吉田治:テナーサックス、ピッコロ、フルート   本間将人:アルトサックス   五十嵐誠:トロンボーン

        松本幸弘:ドラムス

        杉並児童合唱団:バッキング・ヴォーカル

        ルフィ(田中真弓)、ゾロ(中井和哉)、ナミ(岡村明美)、ウソップ(山口勝平)、サンジ(平田広明)、チョッパー(大谷育江)、ニコ・ロビン(山口由里子)、フランキー(矢尾一樹)、ヒルルク(牛山茂)、くれは(野沢雅子):ヴォイス(featuring〜のみ)

        他に、プログラミングされたギター、ピアノ、シンセ音、ベル、一部ドラムス、パーカッション

 ライヴ履歴 2009年「“ドリしてます?”」、全体の最後に登場


 映画「ワンピース エピソード オブ チョッパー プラス 冬に咲く、奇跡の桜」のためにドリカムが書き下ろした曲。映画は、尾田栄一郎先生原作の大人気アニメ「ONE PIECE」の劇場版シリーズ9作目であり、2008年3月1日に公開されました。映画を制作するにあたり、原作者の尾田先生から直接ドリカムに主題歌のオファーがあったのですが、これは尾田先生がドリカムファンであったため。一方のドリカム側も美和さんやスタッフが原作マンガ「ONE PIECE」を読んでいたことから、すぐさま快諾、コラボレーションが生まれることになりました。ちなみに、ドリカムが日本のアニメの主題歌を書き下ろすのは初めてのこと。これまで海外のアニメへの主題歌提供はありましたが、初の試みにドリカムファンからも「ONE PIECE」ファンからも注目を集めました。後述するシングルヴァージョンや、シングルジャケットも話題を誘いました。

 この曲が最初に発表されたのは、2007年のアルバム「AND I LOVE YOU」でのこと。そして、映画公開直前の翌2008年2月にアルバムからシングルカットされました。ドリカムがアルバムからのシングルカットを行うのは珍しいことですが、これは映画公開に合わせてのことでしょう。アルバムに収録されたものとシングルカットされたものとでは内容が異なり、シングルヴァージョンには冒頭・つなぎ・エンディングと随所に「ONE PIECE」のキャラクターの声(台詞)が挿入されています。登場するのは10キャラクター。シングルヴァージョンのヴァージョン名にクレジットされています。キャラクターの声は当然アニメと同じ声優さんによるもので、ドリカムの楽曲に声優が参加するのも初めてのこと。中には野沢雅子さんのようなビッグ・ネームも名を連ねています。

 曲調は、「ONE PIECE」が海賊を主人公にした冒険物語であることを受けて、勇ましい感じの8ビートロックに仕上がっています。冒頭はマーチングドラムにのせてフルートやピッコロがフィーチャーされる行進曲風のアレンジがされていますが、これもアニメのイメージに合わせてのことでしょう。その後はドリカムらしいロックのアレンジとなっており、ギターやドラムスなど生楽器を多用したバンドサウンドが力強いです。エンディングは再びドラムロールで締めくくります。この勇ましいアレンジを、美和さんは「第2の『何度でも』」と称しています。確かに、バンドサウンドでぐいぐい迫ってくる演奏は『何度でも』をほうふつさせてくれます。

 また、ヴォーカル面で特筆すべき点が、子供たちによるコーラスを大々的にフィーチャーしていること。杉並児童合唱団によるものですが、ドリカムの楽曲に子供のコーラスが入るのもこれまた初の試み。ドリカムナンバーを長らく聴き続けてきたファンにとっては驚くような取り合わせですが、これは尾田先生の要望だったとのこと。朗らかで無邪気な「ラララ・・・」のフレーズは、最初聴いた時にはびっくりですが、アニメ映画の主題歌と考えるとぴったりなもの。まささんも「大正解」とコメントするほどの出来映えでした。そして、負けず劣らずインパクトの大きいヴォーカルを聴かせるのは美和さん。まささんとのハモりがメインですが、中間部では早口気味にエモーショナルなパートを披露します。これぞ、「第2の『何度でも』」と呼ばれるゆえん。『何度でも』のサビに負けない熱唱ぶりです。サビは極めてシンプルなフレーズでタイトルが歌われますが、ここでは一転してせつなさを滲ませます。終盤は、美和さんと子供たちが「またね」を掛け合いで歌います。この2声のコントラストを楽しめる瞬間です。

 歌詞は、「ONE PIECE」に登場するキャラクターの出会いや別れを通じて生まれる友情をテーマにしたもので、旅立ってしまう仲間へ対する主人公の複雑な気持ちが歌われています。夢に向かって前に進み、旅立つ友達を応援したいのだけれど、別れに対する寂しさも同時に感じてしまい、励ましの言葉をかけられない・・・そんなもどかしさが歌われます。そして、やっとの思いで言うことのできた言葉は、「またね」の一言、というわけです。そんな気持ちを美和さんが力強く、せつなく歌うのでとっても感動的な仕上がりです。いわゆるラヴソングとは趣旨が少し違いますが、「ONE PIECE」の内容をよく知らない方でも、感情移入できるはずです。「またね」という短い別れの言葉に込めたたくさんの思いをひしひしと感じ取れます。

 この曲のシングルには、元・電気グルーヴのCMJKが手がけたリミックスが収録されています。それが『またね -CMJK REMIX-』で、オリジナルに比べクラブシーンを意識した仕上がりになっています。また、この曲のタイトルコールのメロディが、次のアルバム「DO YOU DREAMS COME TRUE?」のオープニング・テーマ『a song for you〜opening theme of dydct?〜』に使用されており、アルバム間のリンクとなっています。

 「AND I LOVE YOU」は、発売直後にアルバム・ツアーがなかったため、この曲が最初にライヴで演奏されたのは2009年の「“ドリしてます?”」ツアーでのこと。アンコールの最後に演奏され、観客がドリカムと一体となってコーラスを歌ったのでした。ちなみに、私が参戦した代々木公演では、まささんが曲前のMCで直前に亡くなったマイケル・ジャクソンに捧げると話していました。

 私はマンガは読む方ではあるのですが、「ONE PIECE」はその人気の割には読んでおりません(汗)。ただ、原作もアニメも相当人気であることは知っているので、ドリカムとコラボと聞いた時には驚きましたね。これも、原作者の尾田先生とドリカム双方がファンだったことが功を奏したんでしょうね。今後もドリカムとアニメのコラボ、増えていってほしいものです。曲の方は、初めて聴いた頃はどうしても子供たちのコーラスに違和感を覚え拒否反応を起こしてしまったのですが(汗)、そのうちにこの曲の持つ力強さと歌詞に感銘し、好きになってゆきました。『何度でも』の後継にふさわしい曲だと思います。早口の所が歌いづらいですが(汗)。今後ライヴでの熱い演奏が期待できそうですね。「ONE PIECE」ファンの皆さんも既にチェックしているかと思いますが、シングルヴァージョンはキャラクターの台詞入りですのでぜひ聴いてみてください!

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