もしも雪なら

演奏時間:5'34"(アルバムヴァージョン)
               5'16"(シングルヴァージョン)
収録アルバム:「AND I LOVE YOU」12曲目(アルバムヴァージョン)
                     「THE SOUL 2」11曲目(シングルヴァージョン)
                     シングル「もしも雪なら/今日だけは」(シングルヴァージョン)
ミュージック・ヴィデオ:「AND I LOVE YOU」初回限定盤付属DVDに収録
作曲:中村正人  作詩:吉田美和  編曲:中村正人
プロデューサー:DREAMS COME TRUE
レコーディング:後藤昌司  ミキシング:エド・テュートン
有名度 ★★★☆☆
人気度 ★★★★☆
管理人お気に入り度 ★★☆☆☆
このサイトでの略称・・・AI−12

 演奏者  吉田美和:ヴォーカル、バッキング・ヴォーカル

        中村正人:ベース、プログラミング、バッキング・ヴォーカル

        武藤良明:エレクトリック・ギター

        他に、プログラミングされたシンセ音、ピアノ、ストリングス、ドラムス、パーカッション

 ライヴ履歴 2007年、DWL「POWER PLANT SPECIAL LIVE」で登場  2009年「WINTER FANTASIA 2009」


 2006年11月にシングル発売されたウィンター・ナンバー。曲は当時行われていた「THE LOVE ROCKS」ツアーと並行して書かれました。当初シングルは『今日だけは』がメインサイドの両A面シングルで発売される予定でしたが、美和さんの「クリスマスに向けてウィンター・ナンバーを届けたい」という願いによって急遽この曲をメインにした両A面シングルとして発売されるに至りました。その後、翌年のアルバム「AND I LOVE YOU」にも収録されますが、この時はエンディングが20秒ほど長いヴァージョンになっています。なお、この曲には最近のシングル曲としては珍しくCMやドラマなどとのタイアップが全くありません。ファンの間で人気で、ベスト盤「THE SOUL 2」にも収録されています。

 ドリカムのウィンター・ナンバーといえば『雪のクリスマス』から『SNOW DANCE』『ラヴレター』などと数々の名曲を送り出していますが、この曲もそれらに遜色しない内容です。この系統では珍しくまささん単独作曲というのが面白い点。曲はこれまでの名曲と同じくバラード路線で、せつなさあふれるメロディ・音作りになっています。ストリングスや鈴の音がいかにもクリスマスを思わせますが、ほとんどの楽器はプログラミングによるものです。「ディンドン」というコーラスもクリスマスらしさを出しています。

 曲は穏やかな前半と、ダイナミックな後半とで印象が異なり、このコントラストがせつなさをぐっとこみ上げさせます。美和さんのヴォーカルも、前半では落ち着いた感じのふくよかな歌声を聞かせますが、後半は一転してシャウト交じりに力強く訴えかけるようなスタイルに変わります。歌詞は、ほろ苦い大人の恋を歌ったもの。好きな相手のいる彼に恋をしてしまった主人公が、クリスマスに彼に会えず、会いたい気持ちも誰にも伝えられず悩む様子が描かれます。初めからかなわない大人の恋のせつなさが美和さんのヴォーカルによってひしひし伝わってきます。最後に、雪が降ったらこの思いはあきらめないと思っていた主人公の思いに反して、雨はみぞれ程度に終わってしまうくだりが悲しいです。これまでいろいろなクリスマスソングを書いてきたドリカムですが、ここではせつない片想いと失恋を描いた、悲しいクリスマスとなっています。

 この曲のミュージック・ヴィデオが制作され、現在は「AND I LOVE YOU」の初回限定盤付属DVDで見ることができます。このヴィデオは、美和さんが制作を持ちかけたのですが、そのことを全く考えていなかったまささんが苦し紛れに咄嗟に返した「NYで2人で自主制作しよう」が、そのまま実現することとなりました。そしてもう1人、ドリカムが呼んだのが美和さんの旦那さんでもある末田健さん。末田さんも交えて、ドリカムは自主制作ヴィデオに取り組むこととなりました。ヴィデオの内容は、NYの街や室内で美和さんが歌い、まささんがベースを弾く様子を映したもの。自主制作らしいアットホームな空気が漂っています。雪は降っていませんが、美和さんの表情は曲の持つせつなさにぴったり。まささんも孤独な雰囲気がよく出ています(苦笑)。ちなみに、くしくもこの作品が末田さんが手がけた最後のドリカム作品となってしまいました・・・。

 この曲がライヴで初披露されたのは2007年のDWLでのこと。ただし、ウィンター・ナンバーだったためかファンクラブ限定ライヴ「POWER PLANT SPECIAL LIVE」でのみ演奏されました。今後は冬での演奏が期待されますが、2008年の「WINTER FANTASIA 2008」ではなぜか演奏されませんでした・・・(汗)。2009年には演奏されたので一安心ですけど。

 タイアップがなかったことや、ライヴ演奏の機会が少ないことなどから、思うようにその知名度を生かすことができなかった感のあるこの曲ですが、今までのウィンター・ナンバーより一段大人の恋を歌ったこの曲のほろ苦さは他では味わえないものがあります。アルバムでは、最後の『AND I LOVE YOU』を除くとラスト・ナンバーに位置し重要な役割を果たしていますが、末田さんへの想いを歌った『AND I LOVE YOU』の前に置いたのは、この曲のヴィデオを末田さんと共同制作した思い出や、歌詞のせつない気持ちを重ね合わせてのことなのかな・・・と思うしだいです。美和さんの想いが伝わってきそうです。

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