DREAMS COME TRUE/monkey girl odyssey
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プロデューサー:DREAMS COME TRUE
レコーディング:ブライアン・スパーバー(1〜4,6,7,9,10,12)、後藤昌司(3,5,10)、アンディ・ハーマンズ(5)、ミヤハラ・ヒロタカ(3,4,7,8,10,11,13)、ローランド・ヘリントン(8,11,13)
ミキシング:ローランド・ヘリントン マスタリング:ブラドー・ミラー
録音スタジオ:エレクトリックレディスタジオ(1,2,4,6,7,9,12)、スターチャイルドスタジオ(3〜5,7,8,10,11,13)、コンパスポイントスタジオ(3,10)、チャンキングスタジオ(5)、クレセントスタジオ(13)
演奏者 吉田美和:ヴォーカル、バッキングヴォーカル、ピアノ(1)
中村正人:ベース(4,6,10)、プログラミング
西川隆宏:マニュピレート、ドラムス&ギターのべーシック・プログラミング(9)、アコーディオン(10)
ハイラム・ブロック:ギター(2,4,6,7) 吉田遊介:エレクトリックギター(3,10)、アコースティックギター(3,10)
ジョン・オーウェス:トランペット(2,4,6,7)、フリューゲルホルン(4)
ジム・ハインズ:トランペット(2,4,6,7)、フリューゲルホルン(4) 佐々木史郎:トランペット(3,10)
アンディ・スナイツァー:サックス(2,4,6,7) マイケル・デイヴィス:トロンボーン(2,4,6,7)、バストロンボーン(2)
山本一:サックス(3,10) 河合わかば:トロンボーン(3,10)
大谷幸:エレクトリック・ピアノ(4,7,13) 斉藤有太:エレクトリック・ピアノ(8,11)
サンドラ・パーク:ヴァイオリン、コンサート・マスター(2,7,9) 竹内純:ヴァイオリン、コンサート・マスター(3,8,10,11,13)
シャロン・ヤマダ:ヴァイオリン(2,7,9) 深見邦代:ヴァイオリン(3,8,10,11,13)
高橋香織:ヴァイオリン(13) 押鐘貴之:ヴァイオリン(13)
カレン・ドレフュス:ヴィオラ(2,7,9) 志賀恵子:ヴィオラ(3,8,10,11,13) 元井信:ヴィオラ(13)
アラン・ステファンスキー:チェロ(2,7,9) 永山利彦:チェロ(3,8,10,11)
岩永知樹:チェロ(13) 柏木広樹:チェロ(13)
ロメロ・ルバンボ:スパニッシュギター(5)
人気度 ★★★☆☆ お勧め度 ★★★☆☆ 管理人お気に入り度 ★★★☆☆
ベスト盤度 「DREAMAGE」2曲(別ヴァージョン含むと4曲)、「DREAMANIA」6曲、「THE SOUL 2」3曲
シングル度 13曲中5曲 作曲者度 吉田2曲、中村1曲、吉田&中村4曲、中村&吉田5曲、西川&吉田&中村1曲
トレードカラー・・・茶色 アルバム略称・・・MGO
1999年をDWL一色に染めたドリカム。翌2000年の2月14日には、DWL「もうひとつの夢」として、ファンからのリクエストをもとに選曲した2枚組ベスト盤「The SOUL」を発売しました。ファンの投票によりオール・キャリアから選ばれた31曲は、まさに「ディスク版ワンダーランド」と呼べるものでした。さて、「the Monster」リリース後オリジナルアルバムはなかなか出ませんでした。しかしその間何もしていなかったわけではなく、むしろ新たな挑戦を続けていったのでした。次のアルバムが出るまでの約2年間、ドリカムはシングルを4枚リリースしていますし(子供向け番組用に書き下ろした「わすれものばんちょう」含むと5枚)、先のベスト盤と、アルバム「the Monster」を全曲英訳した上にリミックスした「THE MONSTER -universal mix-」(2001年5月)を発売しています。さらにZEEBRA(2000年)、F.O.H(2000年)、MISIA(2001年)と共演するなど新たな活動も模索しています。世紀の境を挟んだこの2年間にドリカムが行った活動を一言で要約することは到底不可能です。
そしてようやくファン待望のニューアルバムが発売されたのは2001年12月のことでした。通算11枚目のアルバム「monkey girl odyssey」です。1995年のドリカムナンバー『沈没船のモンキーガール』以来のキャラクター、モンキーガールがついにアルバムのコンセプトにまで躍り出た瞬間でした。元々は「2001年モンキーガールの旅」という発想から始まったとか。アルバムジャケットでは3人が「さるのしっぽ」をつけています。収録曲は12曲のほかに、2001年に公開されたディズニーのアニメ映画「アトランティス/失われた帝国」に提供された『crystal vine』がボーナス・トラックとして収録されています。「ボーナス・トラック」とありますが、発売されてから現在まで一貫して収録されており、今後も曲目から外されることはなさそうです。また、「さるのしっぽ」形の携帯ストラップがおまけとしてついています。これも今もってこのアルバムに付属しています。
さて、このアルバムの収録曲を見てみましょう。前作から約2年半のスパンがあったため収録曲の作られた時期はまちまちです。また、『SNOW DANCE』(1999年)・『24/7』(2000年)・『好きだけじゃだめなんだ』『いつのまに』(2001年)とシングル曲が多いのも特徴で、シングルを追って聴いてきた人にとってはそれらが一緒になっていることに違和感を感じたかもしれません。しかし、不思議とアルバムの雰囲気は統一されていて、後聴きする人にとってはそれほど気に掛かりません。まささんは「個人的には大きな意味で一つの区切りになるアルバムだと思う」と語っていますが、収録曲はひさしぶりにドリカムらしい曲・サウンドが戻ってきた感があります。ヴァージン移籍以来、「SING OR DIE」「the Monster」の2枚のアルバムでアメリカを意識して洋楽を極めたドリカムですが、ここではそうした姿勢が若干薄らいでいます。洋楽のビートは使用されているのですが、それが従来のドリカム・ポップとうまく融合しているのです。ただし、一聴すると初期ドリカムをほうふつとさせるのですが、完全に以前のスタイルに戻ったわけではなく、むしろ洋楽との融合というプロセスを経て進化したドリカム・サウンドがあるように思えます。そしてそれは「シンプル」というキーワードに凝縮されています。アレンジは『flowers』や『スキスキスー』など一部の曲を除いて前作より格段にシンプルになっていますし、曲の構成も、収録曲の大半が4分弱と初期より格段に短くなっています。また、それまでまささんのこだわりが阻んできた生ストリングスの導入がこのアルバムの数曲で初めて実現しました。これにより、アグレッシブな曲でも手作りで温かみのあるサウンドが生まれたのです。
このようにシンプル化された曲たちはよく言えば「聴きやすい」、悪く言えば「地味」な印象を受けます。しかし、これこそドリカムが米国進出で学び取ったサウンドであり、このアルバムは「従来のドリカム・ポップ」と「シンプルながらもアグレッシブな洋楽」との融合が実現した場所なのです。音楽うんぬんは置いたとしても、このアルバムの収録曲は簡素ながらも一曲一曲が味わい深く、かつ新鮮です。もちろん先述の通りシングル曲が多いため名曲が散りばめられていますし、『カノン』『プライドなんて知らない』などのアルバムソングもファンの間で人気です。ドリカム3人による唯一の共作『今日この佳き日』もあります。ぜひ最初に!とは言いませんが、聴いていただきたい一枚です。次作となるアルバム「DIAMOND 15」にはまった方も、このアルバムにもはまれるはずです。先述の通り携帯ストラップが付属しているため、大き目のケースで売られているので見つけやすいでしょう(笑)。
私がこのアルバムを聴いたのはオリジナル・アルバム(当時)では最後でした。買ったのはだいぶ前(私がドリカムファンになって初めて[ほぼ]リアル・タイムで買ったアルバム)なのですが、聴くのを楽しみに取っておいたのです。ちなみに私はこのアルバムのバンドスコアも持っています。一番好きなドリカムナンバー『好きだけじゃだめなんだ』が収録されているのですが個人的にはイマイチです。物足りなさを感じるからでしょうか・・・。アルバムソングよりはシングル曲の方が好きです。携帯ストラップは、しばらく実際に使用していましたがひもが切れてしまったので(汗)今は大切にしまってあります。発売当時、世界で3人だけにモンキーガールのマウンテン・バイク(つまり3台限定)が当たるっていう企画をやっていたと思ったのですが、結局どうなったのでしょうか?
この後、ドリカムは1年間何度かに分けてアルバムツアーを行うのですが、その1回目が終わった矢先の2002年3月21日に西川さんが独立、ドリカムは美和さんとまささんの2人となってしまいました。先述のまささんの言葉が皮肉的に実現してしまったかのようです。そして次の日本語アルバムが出るまで、3年ものスパンが空くことになったのでした・・・。