吉田美和/beauty and* harmony

 1.beauty and harmony
 2.つめたくしないで
 3.泣きたい
 4.バイバイ
 5.パレードは行ってしまった
 6.A HAPPY GIRLIE LIFE
 7.DARLIN'
 8.冷えたくちびる
 9.奪取
10.生涯の恋人
11.beauty and harmony〜reprise
 
発売年月日:1995年12月18日
EPIC/SONY RECORDS  ESCB 1710
全体収録時間:46'38"
チャート最高位:1位
「beauty and* harmony」

 プロデューサー:吉田美和、中村正人

 レコーディング:アル・シュミット、ダナ・ジョン・チャペル、ブライアン・シューブル、ブライアン・スパーバー   ミキシング:アル・シュミット

 マスタリング:グレッグ・カルビ   録音スタジオ:エレクトリック・レディスタジオ、コンウェイ・レコーディングスタジオ、A&Mスタジオ

 演奏者  吉田美和:ヴォーカル、バッキングヴォーカル(except 11)

        デイヴィッド・T・ウォーカー:ギター(2〜10)   チャック・レイニー:ベース(2〜10)

        ハーヴィー・メイソン:ドラムス(2〜10)   ジェイ・ワインディング:キーボード(2〜10)

        (以上、“beauty and harmony”ALL STARS)

        マイケル・ブレッカー:サックス(3,7,9)   グレッグ・アダムス:トランペット、フリューゲルホルン(2,5,9)

        ラルフ・マクドナルド:パーカッション   ジーン・ページ:ストリングス・アレンジメント(7,10,11)

        チャールズ・ヴィール他8名:ヴァイオリン(7,10,11)   トーマス・トーリー、ザイン・カーン:ヴィオラ(7,10,11)

        マーストン・スミス、リサ・プリバニー:チェロ(7,10,11)

        ミッシェル、シャキラ、サラ、サンディー、トリッシュ:一部バッキングヴォーカル(6)

 人気度 ★★★★☆  お勧め度 ★★★★☆  管理人お気に入り度 ★★★☆☆

 シングル度 11曲中0曲  作曲者度 吉田11曲  トレードカラー・・・ピンク  アルバム略称・・・BH


 1995年末に発表された、美和さん初のソロ・アルバム。1989年よりドリカムで活動をしてきた美和さんの、新たな側面を見出すことのできるアルバムです。タイトルは自らの名前「美和」を英訳したもの。当時のドリカムは、アルバム「DELICIOUS」とシングル「LOVE LOVE LOVE」が大ヒット中。同年のDWLも大成功に終わりました。そんな勢いの真っ只中にいたドリカムとはまた違った味わいを、ここでの美和さんは見せてくれるのです。

 このソロ・アルバムは、全曲NYでレコーディングされました。ソロということで、まささん・西川さんは演奏や歌に全く参加していません(ただし、まささんは美和さんに同行しサポートしている)代わりに注目されたのが、このアルバムで結成された“beauty and harmony”ALL STARS。これに参加した4人のミュージシャンは、いずれもジャズ界の巨匠といわれるそうそうたる顔ぶれ。中でもデイヴィッド・T・ウォーカー(通称「デヴィじい」)はこの後ドリカムのセッション・ライヴに欠かせないファミリーとなります。ALL STARS以外にも、マイケル・ブレッカーやグレッグ・アダムスなどビッグな人物が集結。エンジニアには美和さんが「アメリカのおじさん」と呼ぶ名プロデューサーのアル・シュミットを招いています。まさに、アメリカジャズ・フュージョンの歴史が凝縮されたような豪華な顔ぶれで、収録曲はレコーディングされたのです。彼らはすぐに美和さんの魅力のとりことなってゆき、打ち解けたためか早いスピードでセッションは進んでゆきました。

 収録曲はすべて美和さんが作曲。そこはソロ・アルバムだからでしょう。曲はすべて、プログラミングを使わない生演奏で録音されました。そのため、ドリカムの曲よりも演奏者のプレイを多く堪能することができます。その演奏は、さすがジャズ・フュージョン界の巨匠を集めただけあって素晴らしいの一言。また、彼らの考えを尊重した結果か、レコーディング中にジャム・セッションになることもしばしばだったようです。『生涯の恋人』の後には、『奪取』のジャム・セッションが収録されていますが、和気あいあいとした雰囲気がそのまま伝わってきます。またプログラミングの時とは違い、美和さんもミュージシャンたちと一緒に歌を入れたため、かなりアドリブ・ヴォーカルが多いです。このようなジャズ風のアプローチを経たためか、収録曲のほとんどがジャズ・テイストに仕上がっています。それも、『パレードは行ってしまった』『A HAPPY GIRLIE LIFE』『冷えたくちびる』と、ジャズの中にも様々なカラーがあるのが面白いです。また、当時のドリカムの作風が少なからず滲んでいます(『す き』に激似の『泣きたい』とか)。全体的には、演奏・ヴォーカルどちらも、ドリカムより大人の風格が漂っています。

 このアルバム発売の翌年には、美和さんは初のソロ・コンサート・ツアーを行っています。ドリカムナンバーも数曲ありましたが、基本的にはこのアルバムから選ばれました。同行したミュージシャンはもちろんこのアルバムのセッションに参加した巨匠たち(マイケル・ブレッカーの代わりにブライアン・マリエンサルが参加)。ちなみに、まささんは全公演を客席から観覧したそうです。アルバムの方はチャートで1位を獲得し大人気でしたが、なぜか収録曲のシングル発売はありませんでした。

 このアルバムには、ドリカムの美和さんはどこにもいません。ドリカム風の曲も、ありません。しかし、ドリカムとは違った醍醐味が待っています。ジャズ風の大人の風格あふれる演奏とヴォーカル。ドリカムでは聴くことが難しい美和さんのもう片方の側面です。演奏者はすべてジャズ界の巨匠なので、耳を澄まして聴きましょう。デイヴィッド・Tのギターやマイケル・ブレッカーのサックスなど名演がたっぷりです。リラックスした雰囲気も漂っているので、固いこと考えずに気楽に聴けます。そして美和さんのソウルフルなヴォーカル。元々ジャズ風スタイルは得意の美和さん。ハスキーなヴォーカルから、茶目っ気あふれるヴォーカルまで、すべてを上手に歌いこなせる美和さんの魅力を、存分に味わうことができます。ここまでできるのも、このアルバムがソロ・アルバムだからでしょう。曲も名曲ぞろいで、特に『バイバイ』『生涯の恋人』は必聴です。唯一難点があるとすれば、1曲の演奏時間が長いことでしょうか(まぁそこはジャズ・スタイルですから)。「吉田美和はソロ活動していたんだ!」と興味を持った方、お勧めですのでぜひ聴いてみてください。

 私はこのアルバムは、ドリカムのオリジナル・アルバム(当時)を揃えた後比較的早くに手に入れました。ただ、このアルバムの続編である「2」の方を先に聴いてしまいました。個人的には「2」の方が好きですが、こちらもジャズとドリカムを絶妙に混ぜた感じがいいですね。曲のヴァリエーションでいったらこちらの方が多いでしょう。生演奏も魅力的です。いつもなら鼻につくリズム・マシーンはここでは生ドラムスですし。本場、しかもベテランの演奏者たちとの演奏なので本格的ですね。美和さんのヴォーカルもじっくり聴けてうれしいです。美和さんのヴォーカルって、ジャズにぴったりですよね。

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