DREAMS COME TRUE/LOVE OVERFLOWS -ASIAN EDITION-
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プロデューサー:DREAMS COME TRUE、マーク・ハドソン(2,6)、エド・テュートン(3,5,7,8,10)、マーク・プラティ(4,9)
レコーディング:ローランド・ヘリントン、ブライアン・スパーバー、エド・テュートン、後藤昌司 ミキシング:ローランド・ヘリントン、エド・テュートン
マスタリング:ブラドー・ミラー 録音スタジオ:704スタジオ、スターチャイルドスタジオ、エレクトリック・レディスタジオ、ソニーミュージックスタジオ
演奏者 吉田美和:ヴォーカル、バッキングヴォーカル
中村正人:ベース、プログラミング(except 7)、バッキングヴォーカル(1,8)
デイヴィッド・T・ウォーカー:エレクトリックギター(1) T・ボーン・ウォーク:アコースティックギター(1)
アダム・ロジャース:エレクトリックギター(3,5,7,8,10)、アコースティックギター(3,5,7,8,10)
吉田遊介:エレクトリックギター(2)、アコースティックギター(2) ダン・ぺティ:エレクトリックギター(5)
マーク・ハドソン:エレクトリックギター(6)、バッキングヴォーカル(2,6) ブライアン・スパーバー:エレクトリックギター(6)
マーク・プラティ:一部プログラミング(4,9)、キーボード(4)、エレクトリックギター(9)
デモン・リー:エレクトリックギター(6)、アコースティックギター(6)、バッキングヴォーカル(6)、キーボード&ドラムス・プログラミング(6)
佐々木史郎:トランペット(2) ジョン・オーウェス:トランペット(3) ジム・ハインズ:トランペット(3)
山本一:サックス(2) アンディ・スナイツァー:サックス(3)
河合わかば:トロンボーン(2) マイケル・デイヴィス:トロンボーン(3)、バス・トロンボーン(3)
大谷幸:ピアノ(1)
ダグ・ぺティ:ピアノ(3,5,7,8,10)、ローズ・ピアノ(3,5,7,10)、シンセサイザー(3,5,7,10)、B3&アコーディオン(7)、キーボード(8)
竹内純:ヴァイオリン(2)、コンサートマスター(2) 深見邦代:ヴァイオリン(2)
志賀恵子:ヴィオラ(2) 永山利彦:チェロ(2)
ニア・Z:ドラムス(1,3,5,7,8,10)、トム(10) バシリ・ジョンソン:パーカッション(3,5,7,8,10)
ヴァネッサ・トーマス:バッキングヴォーカル(3,5,7,10) ジェニファー・カー:バッキングヴォーカル(3,5,7,10)
人気度 ★★★☆☆ お勧め度 ★★★★☆ 管理人お気に入り度 ★★★★☆
ベスト盤度 「THE SOUL 2」1曲
シングル度 10曲中1曲 作曲者度 吉田2曲、中村2曲、中村&吉田4曲、吉田&コプラン&中村1曲、中村&吉田&ハドソン1曲
トレードカラー・・・プラム アルバム略称・・・LO
「SING OR DIE」「the Monster」の2枚のアルバムを英語アルバムとして再リリースしたドリカム。アルバムをまるごと英訳するという構想は壮大なものでしたが、この挑戦の後ドリカムは、アルバムにとらわれず過去の曲を断続的に英訳・録音していました。また、最初から英語で曲を作るようにもなりました。その結果、2,3年の間に英語の曲がたまってきました。それを集めてリリースしたものがこのアルバム「LOVE OVERFLOWS」です。
過去の2枚の英語アルバムでは、サウンドは全く同じでした。そのため、テンポやアレンジに不自然さが残っていました。そこで、この一連のセッションではレコーディングを最初からやり直しています。また歌詞も、以前のような「直訳」によるものでなく、韻を踏みながらもナチュラルで意味の通じるものに仕上げるよう心がけました。作曲・作詩にあたってはロン・セクスミスやジェフ・コプランなど歌手をしたことのあるネイティヴの助けを得ています。このような方針の変更から、それまでの英語アルバムでは成立しなかったアメリカの音楽や英語に似合った自然なアレンジと歌詞が揃ったのです。
1997年以降、ドリカムは単独プロデュースをしていましたが、このセッションでは複数の共同プロデューサーを迎えています。複数なのはレコーディングを彼らの都合に合わせたため。彼らと美和さん・まささんの意見は必ずしも同じではなく、お互い自分の信念を貫こうとしばしば激論が交わされたそうです。特にマーク・ハドソンとのやりとりは凄まじいものだったとか。まささんが「もう二度と一緒に作んねえ」と思ったチームもあったそうです。2人ともドリカムが持つ最低限の信念は守りましたが、一方で共同プロデューサーのアドヴァイスがよい結果をもたらすこともありました。特に「シンプルなアレンジ」と「構成の短縮」という点はこのアルバムの楽曲の魅力を上げただけでなく、アルバム「DIAMOND 15」などその後の日本語曲でも生かされています。自分の信念は曲げないまささん自身も「(アドヴァイスは)すごく役に立ってますね」と語っています。
収録曲は、過去のドリカムナンバーの英語ヴァージョンが6曲、英語の新曲が4曲となっています。過去の曲は「LOVE GOES ON・・・」「LOVE UNLIMITED∞」「monkey girl odyssey」の3枚のアルバムからチョイスされているのが印象的。新曲のうち『IT'S ALL ABOUT LOVE』は2002年にシングルで発売済み。演奏者はレコーディングの時期・場所によって異なりますが、アメリカで活躍するミュージシャンが中心です。アルバムは日本を含めたアジアで発売された「ASIAN EDITION」と、北米で発売された「NORTH AMERICAN EDITION」の2種類があり、『ONE YESTERDAY』『LOVE OVERFLOWS』の2曲はそれぞれ違うミックスが入っています。ちなみに選曲の基準は美和さんの勘だそうです。
日本では2004年3月3日に「ASIAN EDITION」が発売されました。初回限定盤はスリーブケース仕様で、DVD「今明かされるLOVE OVERFLOWS -ASIAN EDITION- の秘密!!なんつって。」が付属しています。これは美和さんとまささんのインタビューを収録したもので、曲ができるまでの経緯やレコーディングのエピソードなどを積極的に語っているので要チェックです。ジャケットはオリジナルアルバムとしては初めてドリカムが登場しないもの。ステンドグラスのようにカラフルな蝶のイラストが美しいです。
このアルバムは、過去の2枚の英語アルバムで問われた欠点を見事に克服しています。洋楽・英語に合ったテンポ・リズムによるシンプルですっきりとしたアレンジと、韻を踏みながらもナチュラルな歌詞。そして、格段に成長した美和さんの英語力。さらに、共同プロデューサーと激しくぶつかり合って生み出されたアイデアの数々。たった10曲で全体演奏時間が40分にも満たないアルバムですが、1曲1曲が丁寧に作りこまれ、アメリカらしさとドリカムらしさを兼ね揃えて輝いています。過去の曲は、新たなアレンジで別の楽しみ方が味わえます。新曲は、「洋楽ドリカム」の現在形といえるでしょう。ドリカムの英語アルバムでは現在の所最高のレヴェルのアルバムといえます。皆さんにも普段のイメージとは違ったドリカムを聴いていただきたいと思います。あと、このアルバムから聴いてもいいですけど、過去のドリカムナンバーはオリジナルを聴いてからこっちを聴くと感動がよりいっそう大きくなりますよ。また、オリジナルと比べて批判精神で聴くのでなく、「こんなアプローチもあるんだ」と考えてリラックスして聴くことをお勧めします。
私はこのアルバムはリアルタイムで買いました。持っているのは初回限定盤。ひさしぶりのアルバムだったのでとても楽しみだったことを覚えています。オリジナルより構成が短縮されていたり演奏時間が短かったりと最初は物足りなさがありましたが、新たな魅力を携えた過去の曲にはそれぞれ感動しました。新曲もすぐ好きになりました。特に『ONE YESTERDAY』と『CHRYSALIS OR BUTTERFLY』はお気に入りです。過去の曲は歌詞が関心事でしたが、あまり内容を変えずにしっかり韻を踏んでいるのを見て衝撃を受けました。さすが美和さんだ・・・!そういえば「NORTH AMERICA VERSION」はアメリカとかに行けば売ってあるのでしょうか?別ミックス・ヴァージョンも聴いてみたいです・・・。日本では当然ながら売っていないので入手は困難ですね。