LOVE LOVE LOVE
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演奏者 吉田美和:ヴォーカル、バッキング・ヴォーカル、マーチングドラム、フィンガースナップ
中村正人:ベース、プログラミング、バッキング・ヴォーカル
西川隆宏:マニュピレート、バッキング・ヴォーカル、マーチングドラム、フィンガースナップ
ポール・ダン:エレキ・ギター、アコースティック・ギター
大谷幸:ピアノ、チェンバロ
濱田尚哉:マーチングドラム ボブ・ホワイト:イリアン・パイプス
マイク・ピラ:バッキング・ヴォーカル ジョン・ポスマン:フィンガースナップ
他に、プログラミングされたシンセ音
ライヴ履歴 1995年、DWLで登場 1996年「LOVE UNLIMITED∞」、アンコールを除く最後に登場 1998年「ドリカムの夕べ」、一部会場のみ登場
1999年、DWL「冬の夢」、全体の最後に登場 2000年「DCT garden.com COUNTDOWN PARTY」、最初と最後に登場
2001年「DCT garden.com Off-Site Meeting 2001」、選択制アンコール
2003年、DWL、『眼鏡越しの空』『カノン』『愛してる 愛してた』『す き』『どうやって忘れよう?』とのメドレーで登場
2007年、DWL、『何度でも』とのメドレーで登場(『何度でもLOVE LOVE LOVE』)[POWER PLANT SPECIAL LIVEでも演奏]
2008年「WINTER FANTASIA 2008」、アンコールで登場
誰もが知っているドリカムの代表曲と言える曲で、もはや音楽の教科書にも載っているほどです。1995年7月24日にシングル発売されるやいなや爆発的なセールスを記録、ドリカムでもっとも成功したシングルとなりました。また、同年のTVドラマ「愛していると言ってくれ」の主題歌に起用されました(元はドラマの一挿入歌で、リリースの予定はなかったそうです!)。人気の冷めやまぬ翌年には、アルバム「LOVE UNLIMITED∞」にも収録されました。アルバムヴァージョンは、イントロにイリアン・パイプスのソロが加えられています。1995年の紅白歌合戦でも歌われました。
この曲はまささんがデビュー前に作曲したものです。まささんいわく、「'60年代のアメリカン・ポップス」を意識して書いたそうです。当初のタイトルは「ホワイトデー」だったらしいです。これまでも数多く発表されてきたバラードですが、それまでと違って古風なアレンジがされています。サウンドでもっとも印象的なのは、エンディングやアルバムヴァージョンのイントロでのびのびとした音を聴かせるイリアン・パイプスです。この楽器はバグ・パイプの一種で、アイルランド音楽によく使われています。さらに、前半で印象的なチェンバロは、ピアノの前身といえる鍵盤楽器で、ハープシコードのような音を出します。演奏は大谷幸さん。彼はこの曲でピアノも弾いています。前半でリズムを取る役目を果たしているのはフィンガースナップ。美和さん、西川さん、ジョン・ポスマンによるものです。後半はドラムスがリズムを取り、クライマックスは美和さん、西川さん、濱田さん(ドラムス)の3人によるマーチングドラムで壮大に締めくくります(この部分でイリアン・パイプスのメロディが復活する)。この曲で使用されている楽器のほとんどがアコースティックですが、気にならない程度にエレキ・ギターも入っています。
歌詞は、言葉少ない中で、片想いの相手に対する一途な想いを深くこめています。初期ドリカムの詞作に多かった「恋」という言葉は姿を消し、ここでは「愛」が登場します。最後の印象的な繰り返し「LOVE LOVE LOVE 愛を叫ぼう、愛を呼ぼう」は、その後のドリカムの詞作の多様性を嗅ぎ取ることができます。美和さんのヴォーカルは、最初はやさしくせつなげに、後半は強い想いを込めて歌っています。やさしく包み込むようなバッキング・ヴォーカルのタイトルコールも印象的です。そして最後は、かの有名なあの繰り返しのコーラスで大きく盛り上がります。
それまでのドリカムの曲にはなかった斬新なアレンジ、愛する人への想いを簡潔につづったメロディと歌詞、そしてエンディングの印象的な繰り返しフレーズ。これらがこの曲を大ヒットに導いた要因だと考えられます。かくして名曲となったこの曲は各ベスト盤にも収録されます。うち「The SOUL」(2000年)にはアルバムヴァージョンを、「BEST OF DREAMS COME TRUE」(1997年)と「DREAMAGE」(2003年)にはシングルヴァージョンを収録しています。「The SOUL」ではDISC-2の最初を飾り、ヴァレンタインにリリースされた同アルバムの宣伝的存在となりました。もちろん、ファンの間でも人気の1曲です。さすがに『うれしい!たのしい!大好き!』と比べられると揺らぎますが。
これほど人気のある曲ですから、当然ライヴでも何度も演奏されています。時期によって全く別のアレンジで演奏されているのが印象的。初登場は1995年のDWLで、まだリリースされて日の経たないこの曲が大歓声の中演奏されました。オリジナルに忠実なアレンジで、最後の繰り返しの部分では、観客の中から選ばれた数人が西川さんに導かれDWLの旗を持ちながら会場内の花道を行進していくという印象的なサービスもありました。DWLでは他に、1999年「冬の夢」と2003年、2007年でも演奏されています。'99年はアンコールの最後に演奏され、この時は演奏者全員がスチール・ドラムを演奏するというシンプルなアレンジ。最後の繰り返しは10数分にもわたる長い、美和さんのヴォーカルが堪能できる感動的なものとなりました。'03年にはラテンアレンジで登場、しっとりとしたアレンジでラテンメドレーの冒頭を飾りました。この時は最後の繰り返しはカットされ、次の『眼鏡越しの空』へ自然に流れてゆきます。'07年には、『何度でも』とのメドレー『何度でもLOVE LOVE LOVE』として演奏することが事前に告知されており、そのコーラスパートを観客が担当することに。事前に教則DVD(シングル「きみにしか聞こえない」限定盤収録)や練習用カラオケまで出るほどの力の入れよう。おかげで、本番はドリカムにとって感動の連続となったようです。DWL以外でも、コンサートの最後に演奏されたりアンコールに演奏されたりとその絶大な人気ぶりを表しています。
この曲のミュージック・ヴィデオは、アルバム「LOVE UNLIMITED∞」をWindows対応のパソコンに入れると見ることができます。演奏シーンは少しだけですが、まささんはベース、西川さんはピアノを弾いています。チューリップや幻想的なイメージが印象的。室内のシーンでは3人がカードゲームをしているように見えます。また、この曲のインスト・ヴァージョンが「愛していると言ってくれ/オリジナル・サウンドトラック」にも収録されています(私は未聴)。
この曲は、後年のドリカムナンバーにさりげなく登場しています。まずは『SING OR DIE〜opening theme〜』(1997年)。ライヴでの美和さんの「愛を呼ぼう」の連呼をイメージした曲です。さらに『ごめんねDJ』(2001年)では、歌詞でカーラジオから「ルルルルル」と流れる「涙こぼれる愛の歌」として登場しています。
2003年下旬、ホンダ・オデッセイのCMで突如としてこの曲の英語版がオンエアされ、話題を呼びました。ファンからの問い合わせやリリースの要望が殺到したため、2003年DWLのDVD付属の、初回限定5万枚のみのボーナスCDの形で急遽リリースされました。本当はこの英語版は、英語の曲のみで構成されたドリカムのニューアルバム「LOVE OVERFLOWS」に収録予定のもので、そのアルバムは2004年3月にリリースされました。ボーナスCDの演奏より少し長く聴くことができます。その後、この英語版をジャズ・アレンジにしたものもホンダのCMに使用され、「JAZZ MIX」としてコンサートツアー「THE LOVE ROCKS」のDVDに初回限定ボーナスCDとして収録されました。
「LOVE UNLIMITED∞」が私にとってドリカムとの出会いの一枚だったので、この曲も本当によく聴いていました。でも、その前にどこかで聴いたような気もします。それだけ有名である証拠なんでしょうが・・・。慣れ親しんでいる時に「The SOUL」に収録されたのは心に残りました。しかも1曲目だし。私もこの曲は大好きで、後の英語版などのアレンジよりも、CDで聴けるアレンジが好きです。特にハイライトとなる最後の繰り返し。だから、'03年のDWLでその部分が省略されていた時は肩透かしを食らわされました・・・。