朝がまた来る
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演奏者 吉田美和:ヴォーカル、バッキング・ヴォーカル
中村正人:ベース、プログラミング
西川隆宏:マニュピレート
ポール・ダン:アコースティック・ギター 高田二郎:アコースティック・ギター
大谷幸:ピアノ
他に、プログラミングされたシンセ音、ドラムス
ライヴ履歴 1999年、DWL「春の夢」「夏の夢」「冬の夢」で登場(うち「夏の夢」はアンコール、「冬の夢」は最初に登場)
2000年「DCT garden.com COUNTDOWN PARTY」 2001年「DCT garden.com Off-Site Meeting 2001」、選択制アンコール
2002年「monkey girl odyssey pp-mix」(アルバム「the Monster」限定版に音源を収録)
2002年「monkey girl odyssey winter fantasia」 2003年、DWLで登場 2006年「THE LOVE ROCKS」、全体の最後に登場
2007年、DWLで登場
1999年1月20日にシングルリリースされた、ドリカムの代表曲のひとつ。シングルは1位を獲得。TVドラマ「救命病棟24時」の主題歌に起用されました。同ドラマシリーズの主題歌には『いつのまに』(2001年)、『何度でも』(2005年)も提供しています。同年のアルバム「the Monster」にも収録されています。アルバムヴァージョンは冒頭のシンセ音とエンディングのアコースティック・ギターのソロが加えられています。
この曲は、当時のドリカムとしては珍しくあっさりしたアレンジの曲で、初期ドリカムのようなJ-POPに一番近い曲です。サウンドも暖かみのある生楽器の比率が大きく、プログラミングはドラムスなど少数にとどまっています。アコースティック・ギターはポール・ダンと高田二郎さんの2人。全体を通して印象的なピアノは大谷幸さん。曲はクライマックスになると転調します。美和さんのヴォーカルは、歌詞の影響か真剣そのもので節はやさしく少しけだるく、サビは力強く歌っています。やはりこれも転調のクライマックスが聴き所です。バッキング・ヴォーカルも美和さんひとりによるもの。印象的な「ラララ・・・」は、美和さんいわく「不機嫌っぽく」歌うのがコツだとか。
歌詞は、ドリカムお得意の雨を題材にした曲で、失恋した主人公が雨の降る街を歩いている様子を映しながら、恋人のいない朝を迎えながらも真摯に生きてゆく姿を描いた感動的な、何か教えられるかのようなものです。美和さんはその主人公について「前向きでも無ければ後ろ向きでもなくて、立ち止まるしか出来ない状態のときに非情にも朝はやってくるっていう、立ち止まっている感じ」だと語っています。主人公の気持ちにはお構いなしの雨の街の情景が鋭く描写されていて印象的。ちなみにドラマの次期主題歌となった『いつのまに』の歌詞の世界は、この曲の世界をイメージして作られています。
シングル発売され、TVドラマの主題歌で、久々のドリカムらしいポップということか、当初からファンに人気がある曲で、現在でも高い人気を誇っています。そのためベスト盤にも収録されています。2000年のベスト盤「The SOUL」ではDISC-1の最後を飾りました。また、2004年の企画盤「DREAMANIA」にも収録されました。こちらはシングルヴァージョンで収録。
その人気のおかげか、発表されて以降のほとんどのライヴで演奏されました。そしてそのほとんどが重要な位置での演奏です。1999年には3回に分けて行われたDWLのすべてのライヴで演奏されましたが、それを達成できたのはこの曲だけです(まぁ「春の夢」が「the Monster」のアルバムツアーだったので他の時期の曲が顔を出す隙がなかったというのも理由のひとつですが)。「夏の夢」「冬の夢」双方で演奏されたのも、この曲を除けば超人気曲の『うれしい!たのしい!大好き!』だけです。「夏の夢」ではアンコールで、「冬の夢」では冒頭で演奏されました。前者はドリカム3人(とプログラミング)のみによる演奏、後者はブラス・セクションつきのバンドによる演奏であり聴き比べると面白いです。2001年のツアーではファンによる選択制アンコールの1曲でしたが、公式サイトのライヴ・レポートを読むと最終日の渋谷公会堂公演で演奏されたことが確認できます。また、2002年「monkey girl odyssey pp-mix」では『いつのまに』の前に演奏されていて印象的でした。このツアーのうち、2月13日の名古屋国際会議場センチュリーホールでの音源が、「the Monster」の限定版にボーナス・トラックとして収録されました。(最後に『いつのまに』も少しだけ聴くことができます。)ドリカムがライヴ音源をCDに収録することは珍しく、このヴァージョンは非常に貴重です。DWLでは先述の'99年のほかに'03年、'07年にも演奏され現在パーフェクトです。
この曲にはミュージック・ヴィデオもあり、現在DVD「DCT CLIPS V1」で見ることができます。監督は竹石渉さん。コンセプトは「金太郎飴のようにどこを切ってもドリカムが出てくる」と「一年を通していつでも楽しめる」で、映像が窓のついた部屋をぐるりと回る間に季節ごとの風物を見ることができます。このヴィデオにはモーション・コントロール・システムが使用されていて、それにより同時に複数のドリカムの登場を可能にしました。このプログラミングには2日間かかったそうで、ご苦労様です。まささんがギター、西川さんがピアノを弾いていたり、本物のカンガルー・フラミンゴ・犬・カメレオンが出てきたりと視覚的に楽しく仕上がっています。
この曲にはいくつか別ヴァージョンがあります。まずドラマ「救命病棟24時」のサントラ「THE VOICE OF FATE」には、インスト・バラード・ミックスとTVミックスが収録されています。同サントラはまささんのプロデュースなので、前者のプロデューサーはまささんだと思われます。後者はドラマに実際に使われたヴァージョンで、オリジナルとミックスが異なっています。コーラスのフレーズをピアノが一緒に奏でていたり、ドラムスやギターの響き具合など「あ、違う」と思うこと間違いなしです。次に、先述のライヴ・ヴァージョン。そして英語版にあたる『Another Day Without You』。言葉が変わっても、歌詞の持つ真摯さは健在です。こちらはアルバム「THE MONSTER -universal mix-」に収録されています。
ドリマニアである私は、いわゆる「名曲」「人気曲」にあまり興味がないのですが(というより当たり前すぎて・・・嫌いではないし、感動とかはするのですが)、この曲に限っては大好きです。一時期しょっちゅう聴いていた頃がありました。非常に歌詞が感動的で、一言一言胸に刻み込まれてゆく感じがします。悲しみの底にいても、街はいつものように朝を迎える・・・これは痛く分かります。でも、この曲は悲しみに暮れさせて終わるのではなく、そこからまた新しい力を生んでくれるのです。悲しい曲でも、やがては元気にしてくれる・・・そこがドリカムのマジックでしょう。そしてそれが、この曲の人気の秘訣なのかもしれません。最後に非常にマニアックな話ですが、歌詞カードに記載されている歌詞ですが、「The SOUL」だけ冒頭に(イントロの)「朝がまた来る」が書いてありません。「the Monster」と「DREAMANIA」には書いてあるのに・・・。こんな細かい所に目が及んでしまうのはドリマニアが成せる技です(苦笑)。