なんて恋したんだろ
|
演奏者 吉田美和:ヴォーカル、バッキング・ヴォーカル
中村正人:ベース、プログラミング
西川隆宏:マニュピレート
ポール・ダン:アコースティック・ギター
ラウル・ドリヴェイラ:トランペット マーティン・ドローヴァー:トランペット
ニック・ペンテロウ:サックス ピーター・トムス:トロンボーン
大谷幸:ピアノ
他に、プログラミングされたシンセ音、ストリングス、ベル、ドラムス、バッキング・ヴォーカル
ライヴ履歴 1999年、DWL「春の夢」
1999年、DWL「冬の夢」、『笑顔の行方』『太陽が見てる』『WHEREVER YOU ARE』『あなたに会いたくて』『ROMANCE』とのメドレーで登場
2003年、DWL、『あはは』『ひさしぶりのI Miss You』『うれしはずかし朝帰り』『よろこびのうた』とのメドレーで登場
2009年「“ドリしてます?”」、『みつばち』『24/7 -TWENTY FOUR/SEVEN-』『いつのまに』『マスカラまつげ』『やさしいキスをして』『空を読む』『何度でも』とのメドレーで登場(シングル「生きてゆくのです」に音源を収録)
1999年3月31日にシングルリリースされた曲で、同年のアルバム「the Monster」に収録されました。アルバムではオープニングテーマの次に位置し、実質的なファースト・ナンバーになっています。前曲・次曲とは曲間がほとんどありません。曲は森永アロエヨーグルトのCMソングにもなりました。シングルとアルバムには同じものが収録されています。
この曲はその前にリリースされたシングル「朝がまた来る」と同様、初期ドリカムをほうふつさせます。しかし、全く同じというわけでなく、そこにドリカムのアメリカ進出での経験による進化が見られます。それは音作り・特にビートです。「the Monster」収録曲は生楽器をあまり使わずプログラミングを多用することで異色で力強い作品に仕上がっていますが、この曲もそうです。またビートは最近の洋楽でよく用いるジャングルビート。プログラミングされたドラムスにより作られるこのリズムはとてもグルーヴィーです。そして、途中はアップテンポになっています。このテンポチェンジもとても刺激的で、曲の雰囲気をドラマチックに変化させています。しかし、全体に流れる悲しいムードは常にあり、そこがアレンジの妙を感じます。
歌詞は別れた恋人との最後の夜を思い巡らせながら、一緒にいて楽しかったのになぜ別れてしまったのか思い悩む主人公のせつない気持ちを描いています。「なんて」と「なんで」を効果的に使った歌詞にハーモニーがついて耳に残るフレーズです。エンディングは珍しくサビに行かず静かに終わりますが、最後の歌詞「忘れないよ」を伸ばす部分が感動的です。あと、印象的なのがイントロやエンディングで聴こえる"Ho!"という掛け声。しかし、これに関するクレジットはなく、恐らく誰かの声をサンプリングしたものだと思われます。美和さんは、歌入れの際、曲・歌詞の持つ悲しさに思わず泣いてしまったそうです。
この曲にはミュージック・ヴィデオがあり「DCT CLIPS V1」というDVDで見ることができます。監督は竹石渉さん。数多くのアーティストのミュージック・ヴィデオに携わっていて、ドリカムの「朝がまた来る」も手がけています。撮影はLAの遊園地を貸し切って一日がかりで行われました。ストーリー仕立てになっていて、「the Monster」と書かれた赤い紙を駅(これも遊園地内)で拾った美和さんが、眠ってしまい夢(曲の部分で、ドリカムが遊園地で楽しんでいる様子)を見るという当時の新作「the Monster」の宣伝をかねたものでした。本編では、西川さんがジェットコースターなどがこわくて乗り物にしっかりつかまっている様子に注目(笑)。他にもまささんがエンディングでずっとカメラ目線だったり、素顔のドリカムを見ることができて面白いミュージック・ヴィデオです。
シングルリリースされた上CMソングということで、ファンの間で人気が高い曲で、一般的にもそこそこ知られています。そのためか、2000年のベスト盤「The SOUL」や2004年の企画盤「DREAMANIA」にも収録されています。またライヴではDWLなどでメドレーの一環で演奏されることが多いです。うち1999年「冬の夢」ではイントロなどの"ho!"や、アップテンポの部分での「なんて」と「なんで」を観客が一緒に歌い盛り上がりました。DVDではダンサーたちのパフォーマンスやDYNAMITES UK(ブラス・セクション)のゴキゲンな様子をじっくり見ることができます。シングル「生きてゆくのです」で音源を聴くことができる2009年ツアーでも同じようなノリを楽しめます。
また、この曲のダンスヴァージョンがアナログ盤で限定リリースされましたが、後に2001年のシングル「好きだけじゃだめなんだ」に収録されました。さらに同年のアルバム「THE MONSTER -universal mix-」にはこの曲の英語版が収録されました。
私もこの曲は大好きな方で、「The SOUL」でよく聴いていました。なので、個人的にはベスト盤で近くのトラック『Ring!Ring!Ring!』や『うれしはずかし朝帰り』など女の子の気持ちを歌ったヒット曲と同じカラーになってしまい、オリジナルの「the Monster」では少し浮いて聴こえてしまいます(汗)。個人的にはスローな部分の方が好きですが、アップテンポになる手前のフィルインや、後半に入る悲しげなベル、スローに戻る時のスクラッチみたいな音などは気に入っています。