あはは
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演奏者 吉田美和:ヴォーカル、バッキング・ヴォーカル
中村正人:ベース、プログラミング、パーカッション&一部ドラムス・プログラミング(as キング)
西川隆宏:マニュピレート
デイヴィッド・T・ウォーカー:ギター ポール・ダン:ギター
ジェス・ベイリー:ピアノ ジェフ・ダン:ドラムス
他に、プログラミングされたシンセ音、管楽器
ライヴ履歴 1998年「SING OR DIE」 1999年、DWL「春の夢」、アンコールで登場 1999年、DWL「夏の夢」で登場
2000年「DREAMS COME TRUE WONDERLAND 2000 in Taipei」、アンコールで登場
2003年、DWL、『ひさしぶりのI Miss You』『うれしはずかし朝帰り』『なんて恋したんだろ』『よろこびのうた』とのメドレーで登場
2009年「“ドリしてます?”」、『go for it !』『いろんな気持ち』『琥珀の月』『サンキュ.』『ROMANCE』『しあわせなからだ』『そうだよ』とのメドレーで登場(シングル「ねぇ」に音源を収録)
澄み切った空を思い浮かべるような爽やかなポップ・チューンで、この時期の曲としては珍しく初期ドリカムナンバーを思わせます。1997年のアルバム「SING OR DIE」で発表となりましたが、ファンの間で高い人気を得たため急遽シングルカットされました(1998年1月28日)。アルバム発売後にシングルカットするのはドリカムでは異例のことです。シングルに収録されているものはアルバム版と同じ。その後もベスト盤「The SOUL」や企画盤「DREAMANIA」に収録されるなど、この時期のドリカムの代表曲として知られています。
なんといっても印象的なのは出だしから登場する「Shala la わらったら あはは」というコーラス。この曲での美和さんのヴォーカルは落ち着いた趣ですが、時に力強く伸びやかに歌います。最後はハーモニーもかぶさりちょっと感動的です。歌詞はタイトルから思い浮かべるような明るいものではなく、失恋後に涙をこぼしながらも思わず笑ってしまう主人公の気持ちを描いています。寂しい感じがしますが、くよくよせずに笑い飛ばそうといった気持ちで暗くはなっていません。サウンドはほぼ生楽器による演奏で、ドラムスが力強い(特に間奏とその後)ほかはソフトな演奏を聴かせます。フェイドアウトで聴こえる高音のシンセストリングスが美しく感動的です。悲しみにいつまでも浸るのではなく前進しよう、という前向きな歌詞と、それをのせるきれいなメロディがファンに受けたのかもしれません。
久々に登場した典型的なドリカムポップということもあってか、シングルカットさせるほどファンの間では人気の高い曲で、DWLでは定番になっています。1999年のDWL「春の夢」は当時の新作「the Monster」の収録曲に焦点を当てたライヴでしたが、この曲がアンコールで特別に演奏されていて人気の高さを思わせます。同年のDWL「夏の夢」や2003年のDWLでも演奏されています。しかし、不思議とDWL以外ではほとんど演奏されていません。また、2007年のDWLで演奏されなかったのは意外。2009年のメドレー内での演奏はシングル「ねぇ」で聴くことができます。
ドリカム初のミュージック・クリップ集「DCT CLIPS V1」には、この曲のTVプロモーション・ヴィデオがボーナス・トラックとして収録されています。本編の後、西川さんによる紹介をはさんで始まりますが、これは1997年11月16日に、代々木国立競技場オリンピックプラザで行われたSUNDAY NETWORK(まささんが担当していたラジオ番組)のイベントの際のライヴ演奏に、タイトル文字などの落書きを付け加えた面白いものになっています。この時はラジオの生放送と、WINTER FANTASIA(ドリカムが毎年行っている原宿のクリスマスイルミネーション)の点灯式が行われ、会場には3万人も訪れました。映像では観客の様子もよく映っていて、DVDのコメンタリーではまささんが「DVDだから一時停止して自分がどこにいるか確認できますね」とコメントしています(笑)。ちなみにこの映像は、当時はアジア(日本は含まない)の放送局のみで流されていた貴重なものでした。
先述したように、この曲は急遽シングルカットされたのですが、その時一緒にダンス・ヴァージョンが収録されました。名づけて「KING MIX」。KINGとはまささんの変名だと思われます。こちらはプログラミングが中心のグルーヴィーな感じに仕上がっていて、オリジナルの名残りがほとんどありません。また、1998年には英語版に当たる『AHAHA』が「SING OR DIE -WORLDWIDE VERSION-」に収録されました。さらに、同アルバムの日本のみのボーナス・トラックに、その英語版のダンス・ヴァージョン(日本語版のそれとは少しアレンジが違う)が収録されました。このようにこの曲は多くの別ヴァージョンを持っているのです。
私はドリマニアなのでこの曲が好き!ということはないですが(苦笑)、聴いているとふと感動することがあります。「SING OR DIE」はアメリカを意識したような曲が多くて少し窮屈なのですが、この曲はその感じがなく緊張感を癒してくれるような働きがあります。何はともあれ、この曲がファンの間で人気であることは確かです。