SWEET SWEET SWEET
|
演奏者 吉田美和:ヴォーカル、バッキング・ヴォーカル
中村正人:ベース、プログラミング、キーボード、バッキング・ヴォーカル
西川隆宏:キーボード、サウンドデザイン、バッキング・ヴォーカル
モーリス・マイケル:ギター
ラウル・ドリヴェイラ:トランペット マーティン・ドローヴァー:トランペット
ニック・ペンテロウ:サックス ピーター・トムス:トロンボーン
濱田尚哉:ドラムス スケイラ・カンガ:ハープ フランク:バッキング・ヴォーカル
他に、プログラミングされたシンセ音
ライヴ履歴 1993年「The Swinging Star」 1999年、DWL「冬の夢」、『涙とたたかってる』『しあわせなからだ』とのメドレーで登場
まささん作曲のラヴ・バラード(なぜか後述のリミックスでは美和さんとまささんの共作名義となっている)。デビュー前に既に存在しており、当時は第2節はまささんが歌っていたとのこと。それまでのドリカムナンバーにはない甘さと大人っぽさを全面的に出したアレンジは、さながら映画のタイトル・バックのようで、このような作風は『FANTASIA #1』『ETERNITY』『誓い』などへと受け継がれていきます。これまであまり注目されていなかった曲ですが、2003年のバラード・ベスト「DREAMAGE」に収録されたことでより多くの人々に聴かれることとなるでしょう(「DREAMAGE」での『FANTASIA #1』『MARRY ME?』とこの曲の3曲の連続は、個人的に雰囲気が似た感じだったのでうれしい曲順でした)。
なんといっても聴き所は美和さんのヴォーカルと、フランク(外国人ヴォーカリスト)のバッキング・ヴォーカルによる甘いヴォーカル・ワークです。これについては英語版(後述)の方がより堪能できますが、日本語版はフランクのヴォーカルが少ない分、美和さんの甘い歌声を楽しむことができます。サビのバッキング・ヴォーカルはまささんと西川さん(まささんの声が目立つ)。最後のリピート部が重なるのが感動的です。歌詞は純然たるウェディング・ナンバー。ドリカム・ファンの中には、これを結婚式に流した人もいたかもしれません。歌詞に登場する「天使のはしご」とは雲の切れ間から日が差すこと。美和さんここでも物知りです。
この曲で初めて生ハープが登場しますが、奏者はスケイラ・カンガ(エルトン・ジョンなどのレコーディングにも参加した、女性の方です)。この後も『a little waltz』『FANTASIA#1』『誓い』『7月7日、晴れ』などでも演奏します。他にもシンセストリングスやブラス・セクションなど、映画音楽のようなきらびやかさも感じられる美しいバッキングのアレンジです。
この曲は、1992年発売のセガのゲームソフト「SONIC THE HEDGEHOG 2」のエンディング・テーマに使用されました。このゲームの音楽制作は、この曲の作曲者であるまささんが手がけ、ゲームは650万本を越すメガヒットになっています。全世界中にドリカムの曲が流通したのです。ちなみに、このゲームの第1弾の音楽も、まささんによるもの。こちらも全世界で350万本を売り上げています。デビュー後早々と発揮されたまささんの才能には驚かされます。
そして2006年。「SONIC THE HEDGEHOG」誕生15周年を記念して制作されたゲーム向けに、この曲のリミックスが制作されました。この時ドリカムは、アメリカで人気のヒップホップシンガー、AKON(エイコン)にリミックスを依頼します。ドリカムにとって、初めて外部の人間のみによるリミックス、「06 AKON MIX」が誕生したのです。美和さんはこのためにヴォーカルを新録しています。このリミックスは、同年のシングル「もしも雪なら/今日だけは」に収録されています。
ライヴでは演奏されたことが少なく、DWLでは'99年の「冬の夢」のみ。ジャズ・ギターの巨匠David T.Walkerとピアニスト・大谷幸さんの長いソロの後登場し、イントロで歓声に包まれました。途中の歌詞は英語版になっていて、バッキング・ヴォーカルのロビン・クラークが歌っていました。サビではまささんのバッキング・ヴォーカルがオリジナル版より生き生きしています。
1994年にはこの曲の英語版である『SWEET DREAM』がリリースされました(シングル「WINTER SONG」カップリング、現在廃盤)。ベーシック・トラックが日本語版と同じことと、フランクのバッキング・ヴォーカルが同じことから、レコーディングそのものは日本語版と同時期、あるいはそれより前に行われたと推測されます。こちらのヴァージョンでは美和さんとフランクのハーモニーを多く聴くことができます。また英語ということもあって、甘いムードがますます強調されたように聴こえます。ちなみに私はこの英語版の方が好きです。この英語版も、2006年にAKONによってリミックス・ヴァージョンが制作され、ドリカム初のPC配信限定で発売されました(非常にレアな音源です!)。
この曲は、特段好きだというわけではありませんが、この曲でまたドリカムは新たなステップに入った気がします。エピック後期のドリカムサウンドの先がけっぽいです。まさか、この曲が'06年にリミックスされるとは思いもよりませんでした。まささんの制作したゲームが発端だったんですね。そして、まささんが第2節を歌うヴァージョンの録音&CD化を強く希望!