誘惑
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演奏者 吉田美和:ヴォーカル、バッキング・ヴォーカル
中村正人:ベース、プログラミング、バッキング・ヴォーカル(シングルヴァージョンのみ)、ドラムス&パーカッション・プログラミング(as キング)
西川隆宏:マニュピレート、バッキング・ヴォーカル(シングルヴァージョンのみ)
ポール・ダン:エレキ・ギター 高田二郎:アコースティック・ギター
ラウル・ドリヴェイラ:トランペット マーティン・ドローヴァー:トランペット
ニック・ペンテロウ:サックス ピーター・トムス:トロンボーン
大谷幸:キーボード マイク・ピラ:バッキング・ヴォーカル(シングルヴァージョンのみ)
他に、プログラミングされたシンセ音、ドラムス
ライヴ履歴 1998年「SING OR DIE」 1998年「ドリカムの夕べ」、一部会場のみ登場
2007年、DWL「POWER PLANT SPECIAL LIVE」、スペシャル・アンコールで登場
ドリカムのエピックでの最後のシングルとなった「そうだよ」のカップリングで発表された曲。この時の共同プロデューサーはデビュー以来のマイク・ピラ。ミキシングも彼が行っています。そして、ヴァージン移籍後初のアルバム「SING OR DIE」にも収録されました。こちらは曲構成は同じですがミックスが違います。こちらのミキシングはローランド・ヘリントン。マイク・ピラは参加していません(ただしエピック在籍当時の録音なのでレコーディングはマイク・ピラ)。
曲調は前作「LOVE UNLIMITED∞」の作風であったクールな感じをさらに推し進めたような趣で、それがシングル「そうだよ」が賛否両論分かれた理由のひとつではないかと思われます。全体的に暗い曲調で、大人っぽさも感じられます。先述の通り、シングルヴァージョンとアルバムヴァージョンはミックスが違います。目立った違いはありませんが、シングルヴァージョンのほうが音が薄く感じられます。また、アルバムでは聴くことのできないギターフレーズが入っています。不気味なベースラインや高音のピアノが妖しい雰囲気を醸し出しています。最後のキーボードの減衰音が幻想的。
曲調もさることながら、歌詞もクールさ・大人っぽさを前面に出しています。タイトルの通り恋人を「誘惑」する内容で、「剥き出しの胸」「はだかのわたしを見て」という歌詞まで登場しているほど刺激的です。美和さんのヴォーカルも大人っぽく、間奏の誘惑するようなバッキング・ヴォーカルとアウトロの叫びにドキドキしてしまいます。サウンドと同じく、ヴォーカル面でもシングル・アルバムで違いがあります。シングルヴァージョンのヴォーカルは薄く生々しい感じがします。また、まささん・西川さんとマイク・ピラがバッキング・ヴォーカルに参加しています。さらに、シングルヴァージョンはアウトロの叫びにエコーがかけられています。
このように過去のドリカムナンバーとは正反対の雰囲気を持つ曲ですが、『そうだよ』に比べては人気があるようです。しかし、ライヴではアルバムツアーのあった年以外は演奏されてきませんでした。そして2007年、DWL「POWER PLANT SPECIAL LIVE」(ファンクラブ会員限定)でまさかのカムバックを果たしたのです。この時のアンコールは、ドリカムの粋な試みで、美和さんがサッカーボールを9枚あるボード目掛けて蹴って、命中したボードに割り振られた数字を元に、ドリカムの楽曲全曲(これも番号が割り振られた)からアンコールを選ぼう!という企画だったのですが、この曲はその企画で見事選び抜かれました。もちろん、ドリカムたち演奏者一同はこの曲のリハーサルなどしていませんので、楽譜「ドリ本」を見ながらのいきなり本番の演奏。そして、作曲者である美和さんですら、この曲を忘れてしまって歌えないという事実が明らかに(苦笑)。何とか思い出して歌っていましたが、かなり崩し歌いだったのは意外でしたねぇ。最後の叫びだけは覚えていたようです(笑)。
この曲は後年編集盤「DREAMANIA」にも収録されますが、その時の曲順が前曲が『みつばち』、後曲が『make me your own』と、Virgin/DCT時代を代表する「大人っぽい」ムードの曲が固まっていていいセンスだなぁと思います(個人的にもこの3曲はかねてから同じイメージだったので)。この曲は「SING OR DIE」収録曲で例外的に音圧が低いのですが、これが妖しい雰囲気をうまく出しています。「DREAMANIA」ではリミックスのおかげで音量が上がってしまい、その雰囲気が壊れてしまっています・・・(汗)。