LAT.43°N 〜forty-three degrees north latitude〜
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演奏者 吉田美和:ヴォーカル、バッキング・ヴォーカル
中村正人:ベース、プログラミング、キーボード、バッキング・ヴォーカル
西川隆宏:キーボード、バッキング・ヴォーカル、サウンドデザイン
モーリス・マイケル:ギター
ラウル・ドリヴェイラ:トランペット
ニック・ペンテロウ:サックス
他に、プログラミングされたシンセ音、ドラムス、オルガン、ストリングス
ライヴ履歴 1989年、「LOVE GOES ON・・・」 1990年、「WONDER3」 1993年「The Swinging Star」、『忘れないで』とのメドレーで登場
1999年、DWL「冬の夢」で登場 2002年、「monkey girl odyssey winter fantasia」
2005年「DIAMOND 15」、『SNOW DANCE』『WINTER SONG』とのメドレーで登場
2007年、DWL「POWER PLANT SPECIAL LIVE」で登場 2008年「WINTER FANTASIA 2008」 2009年「WINTER FANTASIA 2009」
タイトルは副題にあるとおり「forty-three degrees north latitude(フォーティー・スリー・ディグリーズ・ノース・ラティチュード)」と読みます。アルバム「LOVE GOES ON・・・」と同時発売という形でシングルカットされたナンバー(シングルに収録されているヴァージョンはアルバムに収録されているものと同じ)。ファンに人気のナンバーということでベスト盤「The SOUL」にも収録されています。なお、タイトルは珍しく歌詞には登場しません。
タイトルの「LAT.43°N」は「北緯43度」の意味。経度が触れられていませんが、日本では北緯43度は北海道の札幌や美和さんの故郷・池田町の近くを通ります。そこに主人公の彼氏が住んでいるという設定の歌詞です。季節は冬、主人公は彼に電話をしますが、彼のそばにいる「彼女」とどんな付き合いをしているのかが不安でたまりません。「電話」をモチーフにした歌詞はドリカムには多く登場しますが、ここでは「遠距離恋愛」をよく示すものとして表現されています。この曲の歌詞は遠距離恋愛をされた方には泣けてくるほど感動的なものでしょう。もちろん、私のようにそのような経験のない人(笑)にも十分感動できるラヴソングです。美和さんのヴォーカルも、デビューした年とは思えないほどしっかり、せつない気持ちを滲み出しています。
曲は反面テンポがわりと速くハードです。イントロ・間奏などのモーリス・マイケルのギターや、プログラミングされたドラムスがロック的です。しかしメロディやストリングスがせつなさを醸し出して曲でも泣けてしまいます。キーボードによるイントロ・アウトロのスローな部分は静かに降り続く雪を思わせます。6分ジャストという演奏時間はドリカムの最長曲から10位圏内に入ると思います。
ライヴでは人気曲にもかかわらずなぜか出番が少ないです。DWLにいたっては'99年「冬の夢」と'07年「POWER PLANT SPECIAL LIVE」のみという悲しい待遇です。'99年「冬の夢」ではレゲエ風のリズムにアレンジし直されました。間奏のダンスがユニークです。また'02年の「winter fantasia」と'05年の「DIAMOND 15」、'08年の「WINTER FANTASIA 2008」、'09年の「WINTER FANTASIA 2009」では冬にぴったりのナンバーということで演奏されました。2005年の時はよりダンサブルなアレンジになり、マーセラス・ニーリーが冒頭に英語の語りを入れてまくし立てていました。'07年DWLでは、ファンクラブ会員限定の札幌公演でのみ、アコースティック・セットでの演奏。リミックスの方に近い、しっとりとしたアレンジでした。この曲はもっとライヴで演奏されても不思議ではないのですが、1節が長いのでメドレーにしても演奏時間を食ってしまうからでしょうかねぇ・・・。
後年この曲は再注目されています。'03年には女性アーティストa.miaによってカバーされ、そのヴァージョンはTVドラマ「エ・アロール」の主題歌になりました。また同年のドリカムのバラード・ベスト「DREAMAGE」ではオリジナルの美和さんのヴォーカルを生かしたこの曲のストリングス・ヴァージョンが収録されました。この曲の新たな側面を発見することができます。
この曲は私が大好きな曲のひとつです。メロディ、アレンジ、歌詞すべてに悲しさとやるせなさがにじみ出ています。ロック風のオリジナルも、バラード風のリミックス・ヴァージョンも、実に見事にはまってしまうのが面白いところです。「北緯43度」は美和さんの故郷のそばを通りますが、歌詞も彼女自身の経験・・・なわけないですか。個人的にはこの曲のフランス語版が出たらいいなぁ〜なんて思ったことがありました(唐突ですが)。意外とマッチしそうです。美和さん、やってくれないかなぁ・・・(うっすらと希望)。