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アルバム「オフ・ザ・グラウンド」の製作過程などの解説はこちらをごらんください。
ポールがツアーバンドと共に作った1993年のアルバム「オフ・ザ・グラウンド」の限定版で2枚組。日本とドイツのみで発売されました。
CD 1には「オフ・ザ・グラウンド」と全く同じ内容で12曲が収録されています。一方注目に値するのがCD 2に収録された12曲。すべてアルバムからカットされた4枚のシングルのカップリングとして発表されていた曲で、この1枚ですべてを手に入れることができます。アルバム「オフ・ザ・グラウンド」のセッションから発表された曲が網羅されているため、「ザ・コンプリート・ワークス」と銘打たれています。(ただし厳密には、『オフ・ザ・グラウンド』のシングルヴァージョンと『明日への誓い』のリミックスにあたる『デリヴェランス』が収録されていない。また、『今日の誓い』と『ミッドナイト・スペシャル』はMTV「アンプラグド」のアウトテイク。)
「オフ・ザ・グラウンド」の収録曲は、一緒にレコーディングを行ったバンドメンバーやスタッフの人気投票を元に決められましたが、シングルのカップリングに回された曲はいわばオーディション落ちした曲といえるでしょう。しかしその質は意外にも高く、アルバムに収録された曲よりもいい曲も多いです。ライヴっぽさが多く出た本編の曲に比べ、スタジオでじっくり仕上げられた完成度の高い曲なのです。ポールらしいメロディアスな楽曲や、バンドメンバーとの共作、さらにはアルバム「公式海賊盤」のアウトテイクまで、魅力たっぷりです。
限定版のため、このアルバムは現在入手困難です。しかし、アルバム「オフ・ザ・グラウンド」のセッションで生まれた曲をいっぺんに聴くことができ大変重宝します。いちいち廃盤となったシングルを買わなくても済むからです。さらに、シングルのみの曲は完成度が高く、アルバム本編より聴く価値ありです。メンバーやスタッフの感性が悪かったのか何なのか、実に皮肉的です(笑)。もちろん、オリジナルアルバムの方も聴くことができます。そのためこのアルバムはお勧めできます。個人的には「オフ・ザ・グラウンド」はポールのアルバムで一番苦手なアルバムの1つなのですが(汗)、シングルに収録された曲は「なんでアルバム未収録なの!?」と思うほど素晴らしいですね。『ルッキング・フォー・チェンジズ』や『ワインダーク・オープン・シー』なんて入れずに、これらを入れていたらよかったのに・・・。好きな曲も『キックト・アラウンド・ノー・モア』『アイ・キャント・イマジン』『スウィート・スウィート・メモリーズ』とけっこう多いです。ポールらしい佳曲がいっぱいですね。
アルバム「オフ・ザ・グラウンド」発売20周年記念!収録曲+aを管理人が全曲対訳!!
CD 1
曲目解説はこちらをごらんください。
CD 2
1.ロング・レザー・コート・・・ロカビリー風の曲調が楽しいリンダとの共作。この頃より動物愛護を盛んに訴え始めたポールらしく、歌詞は毛皮のコートを着た男を痛烈に皮肉ったもの(あまりよろしくない)。シングル「明日への誓い」に収録。
2.キープ・カミング・バック・トゥ・ラヴ・・・ツアーバンドのメンバー、ヘイミッシュ・スチュワートとの共作でヴォーカルも2人で歌っている。タイトルは電話中のやりとりから取った。ちなみにヘイミッシュとは1989年に『The First Stone』という曲も共作している。CDシングル「カモン・ピープル」に収録。
3.スウィート・スウィート・メモリーズ・・・ポールらしくメロディアスなポップロック。私も好きな曲です。CDシングル「オフ・ザ・グラウンド」に収録。
4.今日の誓い・・・ビートルズのアルバム「ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!」(1964年)に収録されたポールの名曲。この音源は、1991年に「オフ・ザ・グラウンド」のバンドメンバーと同じラインアップでMTV「アンプラグド」で演奏した時のアウトテイク(番組の演奏はポールのアルバム「公式海賊盤」で聴ける)。1989年のツアーでも同曲を演奏している。CDシングル「バイカー・ライク・アン・アイコン」に収録。
5.ミッドナイト・スペシャル・・・これも「アンプラグド」のアウトテイク。アメリカに伝わるトラッドのカヴァーで、ポールは1988年にアルバム「バック・イン・ザ・USSR」でカヴァーしている。この音源では冒頭にポールの語りが入る。CDシングル「バイカー・ライク・アン・アイコン」に収録。
6.スタイル・スタイル・・・『ルッキング・フォー・チェンジズ』も思わせるアメリカン・ロック。CDシングル「オフ・ザ・グラウンド」に収録。後半チラッと出てくる「オーオ、オーオ」は、『デリヴェランス』(『明日への誓い』のリミックスで、12インチシングル「明日への誓い」に収録)でも使用された。
7.アイ・キャント・イマジン・・・ポールのメロディアスな持ち味が最大限に発揮されたポップナンバー。『心のラヴ・ソング』を思わせるメロディラインや詞作が印象的。これをアルバムに入れなかったのはもったいない話です。「オフ・ザ・グラウンド」セッションの曲で私が一番好きな曲です。シングル「カモン・ピープル」に収録。対訳をこちらに掲載しています。
8.コスミカリー・コンシャス・・・ポールがインド滞在中の1968年に作曲したサイケデリックでストレンジなナンバー。アルバム「オフ・ザ・グラウンド」には、シークレット・トラックとして『カモン・ピープル』の後にこの曲のエディット・ヴァージョン(1'15"〜3'00"付近を抜き出したもの)が収録されたが、ここで聴けるのは完全版(シングル「オフ・ザ・グラウンド」に収録)。最後はなぜか『ダウン・トゥ・ザ・リヴァー』に変わる。なお、この「ザ・コンプリート・ワークス」のCD 1にも、シークレット・トラックは収録されている。
9.キックト・アラウンド・ノー・モア・・・'80年代AOR風のバラード。CD 2で一番完成度の高い隠れた名曲で、ファンも多い。アルバム未収録なのがもったいないです。私も大好きな曲です。CDシングル「明日への誓い」に収録。
10.ビッグ・ボーイズ・ビッカーリング・・・地球サミットの環境保護条約に米国が調印しなかったことにポールが怒りを覚え書き上げた曲で、無能な政治家を非難している。東京に滞在中書いたとされているのが興味深い。“fucking”という単語が使用されたため放送禁止処分を受けた。しかし、これほど政治的な曲なのになぜかのどかなカントリー・・・。最後はみんなで盛り上がっているし・・・。CDシングル「明日への誓い」に収録。
11.ダウン・トゥ・ザ・リヴァー・・・シンプルなカントリースタイルのナンバー。ポールの吹くハーモニカとウィックスが演奏するアコーディオンが懐かしさを呼び起こします。CDシングル「カモン・ピープル」に収録。
12.ソギー・ヌードル(インスト)・・・ポールが発表した久々のインストナンバー。『オフ・ザ・グラウンド』のプロモヴィデオでギター弾き語りしたもので、すぐ終わってしまいます。CDシングル「オフ・ザ・グラウンド」収録。