WINTER SONG〜DANCING SNOWFLAKES VERSION〜
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1994年にシングルで発表された曲『WINTER SONG』のダンス・ヴァージョン。ドリカムのクリスマスソングとしてあまりにも有名なこの曲が、オリジナルの発表から11年経った2005年に突如姿を変えて再登場しました。このヴァージョンは、ドリカムナンバーとしては3度目となるホンダ・オデッセイのCMソングに起用された後、2005年11月のシングル「JET!!!/SUNSHINE」の「きくきくセット」のみに付属したボーナス・ディスクCDに収録され公式発表されました(「きくみるセット」には未収録)。原曲と同じく、オリジナル・アルバムへの収録はなし。ただし、後に2009年のベスト盤「THE SOUL 2」に収録されています。
このヴァージョンができるきっかけとなったのが、2005年の「DIAMOND 15」ツアーでした。冬に始まったこのツアーでは、「WINTER MEDLEY」として『LAT.43°N〜forty-three degrees north latitude〜』『SNOW DANCE』そしてこの『WINTER SONG』の3曲がメドレーで演奏されましたが、この時『WINTER SONG』は、オリジナルのアレンジとは一線を画したアップテンポのダンス・ヴァージョンで披露されました。これまでオリジナルに忠実に演奏されてきただけあって、この新鮮なアレンジはツアーと同時にファンの間で話題となりました。それが思った以上に好評だったため、ドリカムはこのダンス・アレンジをスタジオで再録音することに決めたのでした。そして、「DANCING SNOWFLAKES VERSION」と名づけられることとなりました。
このヴァージョンは、演奏・ヴォーカル共にすべて新たに録音したものです。アレンジを行ったのは、まささんに加え、編曲家でキーボディストの上杉洋史さん。同時期のシングル『JET!!!』ではエレクトリック・ピアノを弾いています。そして、演奏の基礎となるキーボードとドラムスのプログラミングは、上杉さんが行っています。プログラミングを他人に任せるのはドリカムでも珍しいこと。まささんは演奏とコーラスに徹しています。
原曲はご存知の通り淡々とした展開のスローバラードですが、ここではダンサブルなディスコのリズムにのせたノリのよいアレンジに生まれ変わっています。オリジナルにない明るく楽しい雰囲気が出ています。力強いドラムビートは、先述のプログラミングに生ドラムを重ねています。シンセ音も多彩になっていて、原曲ではコーラスパートのメロディもシンセで再現しています。しかし、実はオリジナルより生楽器の比率が大きいのには驚き。そして、クリスマスソングであることを忘れないように鈴の音色はそのままフィーチャーしています。美和さんのヴォーカルも完全に録り直してありますが、テンポに合わせてメロディラインを微妙に変え、原曲より弾けた感じに聴こえます。と同時に、11年経って成熟した美和さんの英語詞の歌唱力を堪能することができます。オリジナルの当時より発音が格段に上達していて、達観した余裕すら感じさせます。コーラスパートは一部キーボードで代用していますが、逆に新たに加えられたアレンジのコーラスもあります(イントロや、第1節〜第2節のつなぎなど)。最後は“You”“This is my song”をリピートしますが、これはライヴで歌う時のスタイルそのものです。
シングル「JET!!!/SUNSHINE」(「きくきくセット」)のボーナス・ディスクには、このヴァージョンの別ミックスがもう1つ収録されています。エド・テュートンがリミックスした「ED TUTON POWER MIX」です。
元々ライヴでのアレンジから生まれたこのヴァージョンですが、2008年の「WINTER FANTASIA」でもこのアレンジで演奏されました。同じライヴでは日本語版である『雪のクリスマス』をオリジナル寄りのアレンジで演奏していて、どうやらドリカムの中では『WINTER SONG』はダンス・アレンジで、『雪のクリスマス』はオリジナル・アレンジ、という住み分けがなされているようです。2009年・2010年の「WINTER FANTASIA」では、『雪のクリスマス』を差し置いて披露されました。
オリジナルのイメージとは180°異なるアレンジのため、昔から『WINTER SONG』に聴き親しんでいるファンの方にとっては戸惑いもあったかもしれませんが、ここまでアレンジが変わると違った楽しみ方ができて面白いですね。原曲がしんみりしながらのクリスマスとすれば、こちらはパーティーで盛り上がりながらのクリスマスといった所でしょうか?それでも美和さんのヴォーカルから感じ取れるせつなさはオリジナルそのままですね!歌唱力もさらに向上して感動です。さすが美和さん。最近のライヴではこっちのアレンジが主流になり賛否両論あるようですが、上述したように日本語版と住み分けができているならそれでいいと思います。一度に2回聴けるということで(笑)。オリジナル・アルバム未収録のためレア音源でしたが、「THE SOUL 2」に収録されたことで入手しやすくなりました。ぜひ、オリジナルと同時にこちらもチェックしてみてください。