何度でも

演奏時間:3'52"(album version)
               3'42"(single version)
               2'47"(「DREAM CATCHER」 version)
収録アルバム:「THE LOVE ROCKS」12曲目(album version)
                     「THE SOUL 2」1曲目(album version)
                     「DREAM CATCHER -DREAMS COME TRUE MIX CD-」7曲目
                     シングル「何度でも」(single version)
ミュージック・ヴィデオ:「THE LOVE ROCKS」初回限定盤付属DVDに収録
作曲:中村正人(&吉田美和) 作詩:吉田美和  編曲:中村正人
プロデューサー:DREAMS COME TRUE
レコーディング:後藤昌司、岡村弦  ミキシング:後藤昌司
有名度 ★★★★★
人気度 ★★★★★
管理人お気に入り度 ★★★☆☆
このサイトでの略称・・・LR−12

 演奏者  吉田美和:ヴォーカル、バッキング・ヴォーカル、手拍子、シンバル

        中村正人:ベース、プログラミング、バッキング・ヴォーカル、手拍子

        今泉洋:エレクトリック・ギター、アコースティック・ギター

        大谷幸:エレクトリック・ピアノ   松本幸弘:ドラムス、タンバリン

        スクリーミング・ハンド・クラッパーズ(ゲン、アリサ&ケイジ):手拍子

        他に、プログラミングされたシンセ音、ピアノ、ストリングス、シンセホルン

 ライヴ履歴 2005年「DIAMOND 15」、アンコールで登場  2006年「THE LOVE ROCKS」、アンコールを除く最後に登場

         2007年、DWL、『LOVE LOVE LOVE』とのメドレーで登場(『何度でもLOVE LOVE LOVE』)[POWER PLANT SPECIAL LIVEでも演奏]

         2009年「“ドリしてます?”」、『なんて恋したんだろ』『みつばち』『24/7 -TWENTY FOUR/SEVEN-』『いつのまに』『マスカラまつげ』『やさしいキスをして』『空を読む』とのメドレーで登場(シングル「生きてゆくのです」に音源を収録)


 2005年初の新曲として、2月にシングル発売されたストレートなロックナンバー。TVドラマ「救命病棟24時」の主題歌に起用されましたが、これはドリカムにとっては『朝がまた来る』『いつのまに』に続き3度目。まささんが作った曲を美和さんが一部手直ししたもので、シングルでは2人の共作名義になっていますがなぜかアルバムではまささんの単独名義でクレジットされています。シングルとアルバム「THE LOVE ROCKS」ではヴァージョンが異なり、アルバムヴァージョンはイントロが若干長くなっています。ファンの間では一大人気を誇る曲で、ベスト盤「THE SOUL 2」へのファンのリクエストで見事1位を獲得したほどです。

 ドラマ「救命病棟24時」のために作られた曲ですが、そのドラマの設定は東京に大地震が襲ったというものでした。そして、その企画がドリカムに知らされたちょうどその後に、新潟県中越地震が起きてしまいます。スタッフから「希望感あふれる曲」を求められたまささんが持ってきた曲に、美和さんが新たなサビを与えてできたのがこの曲です。跳ねるようなリズムが印象的なストレートなロックで、シンプルな中に勇気を与えるような力強さが宿っています。

 ドラマ自体シリアスな上に、実際に大災害が起きてしまった中で「どんなに落ち込んでいる人でも立ち直れる曲」を書くことに、まささんも美和さんも相当のプレッシャーを感じました。特に歌詞は、安易な励まし言葉を使えないだけにかなり悩んだそうです。まず最初に思い浮かんだのがタイトルの「何度でも」で、残りは数日後に突如思い浮かんだそうです。このように散々悩んだ詞作は、「励ます」のではなく「苦しい現状が続いても、何度でも立ち上がってゆけばそのうち希望は来る」といった感じになりました。「10000回だめでへとへとになっても/10001回目は何か変わるかもしれない」という一節が非常に印象的です。どうしようもなく行き詰った時の気持ちや、それでもそこから見出す希望が、ひしひしと伝わってきます。メッセージソングにも取れますが、本人は「心の中の何かのスイッチを押す力にはなれるんじゃないか」と語っていて、そこまでのことは考えていないようです。

 そんな真摯な詞作を歌う美和さんの声もいつになくシリアスで力強く感じられます。出だしは幾分穏やかですが、「何度でも」を繰り返すサビのシャウト風のヴォーカルが印象的です。後半の「叫べ!」の後に叫び声(まささん?)が聴こえるのが、苦しい状況にある人の叫びを代弁しているかのようです。演奏もギターやドラムといったロック色の濃いシンプルなアレンジがされています。アルバム「DIAMOND 15」のレコーディングに参加した演奏者で構成されています。手拍子は美和さんとまささんの他に3人がゲストとして参加しています。

 シングル発売されたので、この曲にはミュージック・ヴィデオがあります。監督は中野裕之さん。レーザービームや木の葉など幻想的なCGをバックとした演奏シーンで構成されていて、美和さん・まささんに加えレコーディングに参加した今泉さん・大谷さん・松本さんがロック風の衣装を着て演奏しています。「叫べ!」の部分でまささんがたくさん出てくるのが面白いです。

 苦悩の末に作り上げた曲だけあって、美和さんもまささんもお気に入りの曲に挙げています。アルバム「THE LOVE ROCKS」の中核的存在になったのもそうした理由があります。また、この曲は発表以降アルバムツアーや「LIVE 8」、紅白歌合戦、そしてDWLと、ライヴでは必ずと言っていいほど演奏されています。ライヴの新たな定番になることは間違いないでしょう。2005年の「DIAMOND 15」ツアーの名古屋公演では、この曲でNobodyknows+との共演が実現しました。2007年DWLでは、『LOVE LOVE LOVE』とのメドレー『何度でもLOVE LOVE LOVE』で演奏されることが事前に告知され、そのコーラスパートを観客が担当することとなり、事前に教則DVD(シングル「きみにしか聞こえない」限定盤付属)や、練習用カラオケが出るほどの力の入れようでした。そして本番、見事会場全体が一体となったコーラスパート&振り付けにドリカム本人もすごく感動したようです。2009年の「“ドリしてます?”」ツアーでは、デビューから今までの楽曲を時代順に演奏して振り返るメドレーの最後に演奏。観客にコーラスを促すパートがあったりと白熱したものとなりました。シングル「生きてゆくのです」でその時の演奏を聴くことができます。

 2010年のリミックス・アルバム「DREAM CATCHER -DREAMS COME TRUE MIX CD-」には第2節を省略したショート・ヴァージョンが収録されています。オリジナルではビートのないイントロに、前曲『ウソにきまってる』の手拍子が乗っかっているのが面白いです。

 シリアスな内容のドラマの主題歌であり、さらに新潟地震の後だけあって、私たちが想像する以上にまささん・美和さんはこの曲の作曲作詩に苦労したと思います。でも、「歌うこと自体が目的」と考えて吹っ切れて、こんなにも私たちの心に響く、どんな励ましの言葉よりも説得力のある曲を作ってしまうなんて驚きです。安易な歌詞でなく、それでいていつでも希望が見える曲です。ここまでシリアスな曲はこれまでほとんどなかったので、ドリカムにとっても新たな経験となったことでしょう。「大切な曲」と位置づけているその気持ちが痛く分かります。私も、最初聴いた時から聴くたびに胸を打たれています。ライヴでも聴きましたが、本当にぴったりです。今後は新たなスタンダードとなってほしいですね。

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