愛するこころ
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演奏者 吉田美和:ヴォーカル、バッキング・ヴォーカル
中村正人:ベース、プログラミング、パーカッション・プログラミング(as キング)
西川隆宏:マニュピレート
デイヴィッド・T・ウォーカー:ギター ポール・ダン:ギター
ラウル・ドリヴェイラ:トランペット マーティン・ドローヴァー:トランペット
ニック・ペンテロウ:サックス ピーター・トムス:トロンボーン
ジェス・ベイリー:ピアノ、ハモンドオルガン
ジェフ・ダン:ドラムス
他に、プログラミングされたシンセ音、ストリングス、管楽器、心臓の鼓動
ライヴ履歴 1998年「SING OR DIE」、アンコールを除く最後に登場
2001年「DCT garden.com Off-Site Meeting 2001」、『誓い』『今度は虹を見に行こう』とのメドレーで登場
2002年「monkey girl odyssey pp-mix」、アンコールで登場(アルバム「SING OR DIE」限定版に音源を収録)
2002年「monkey girl odyssey arena-mix」、全体の最後に登場
アルバム「SING OR DIE」の実質的なファーストナンバー。それまでのアルバムでは、この位置に当たる曲はすべてアップテンポの曲でしたが、初めてのバラードです。オープニングテーマ『SING OR DIE』を受けた心臓の鼓動(美和さんの心臓の鼓動をサンプリングしたもの)で始まります。
ストリングスや管楽器はプログラミングによるものですが、ほとんどが生楽器による演奏です。この曲を含め「SING OR DIE」収録曲のパーカッション・プログラミングは「キング」という人が手がけていますが、これはまささんの変名。同アルバムにはデイヴィッド・T・ウォーカーとポール・ダンによるギターをフィーチャーした曲が多いですが、この曲にもこの2人の演奏があります。前半のやさしい方がデイヴィッドじいさん、後半の時にハードなフレーズがポールです。この2つのギターに象徴されるように、この曲は前半は朝のような静かでやさしい演奏が、後半は力強い演奏がされています。間奏以降のハモンド・オルガンはピアノを弾いているジェス・ベイリー。
歌詞は「SING OR DIE」の魂そのもの、といえるもので、それまでドリカムの主流だったラヴソングではありません。詩のような比喩を使いながら、普遍的な「愛」そのものについて、その大切さを歌っています。冒頭で「せかいの終わり」という歌詞が出てきますが、美和さん自身この詞がひらめいた時は驚いたそうで、本当に歌えるかどうか悩んだそうです。第1節の「そして未来という・・・」の部分で表現されているのは、戦争などによる破壊。そのような現実を見つめつつ第2節以降では希望の種をまいて、「鎧」に愛を持ち去られないように呼びかけています。愛する人が、愛するこころがあれば他に何にもいらない・・・。胸にぐっとくる歌詞です。
時は過ぎニューヨークでアルバム「monkey girl odyssey」を制作中だった2001年、ドリカムは同時多発テロを間近で体験しています。まささんはこのことについてこう述べています。「そこで『音楽にできることは何か』って。常に考えているんですけど。『SING OR DIE』の"愛するこころ"でも歌ってますけど、とにかく、恋から愛までっていう感情を、地球に住んでいる人間という種が持っていれば、当然、戦争っていう解決方法は出てこない。愛を・・・自分の恋人を思う気持ちを、素直に歌にするしかない、って強く思いましたね。」このドリカムの考えが前提にあるのか、2002年この曲は、2つのツアーでアンコールで演奏されました。うち、2月13日に名古屋で行われたライヴでの演奏が同年発売の「SING OR DIE」の限定版にボーナス・トラックとして収録されました。この年『IT'S ALL ABOUT LOVE』という曲を発表したように、ドリカムは人を愛する気持ちを持つことが世界の平和につながる、と考えているのです。この曲(オリジナルもライヴ・ヴァージョンも)を聴くとそんなドリカムの強い願いに心を打たれます。
他に、ライヴでは2001年にメドレーとして演奏されています。また、1998年に「SING OR DIE」の英語版アルバムが発売となった際、この曲の英語版『WILL TO LOVE』も収録されました。演奏はオリジナルとほぼ同じです。
この曲はお気に入り、というよりは大切な1曲です。最近はいろいろテロや戦争が相次ぐ世界情勢ですが、すべての人間が「愛するこころ」を持つようになればそのようなことは起こることはない・・・。私はこの曲を世界のあらゆる人に聴いていただきたいと思います。ドリカムという、地球規模で見るとたった3人という限りなく少ない人数のグループが強い願いを込めたこの曲を。