JET!!!
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演奏者 吉田美和:ヴォーカル、バッキング・ヴォーカル、ベル
中村正人:ベース、プログラミング、バッキング・ヴォーカル
武藤良明:エレクトリック・ギター
佐々木史郎:トランペット 小林太:トランペット
吉田治:テナー&バリトンサックス 中路英明:トロンボーン
上杉洋史:エレクトリック・ピアノ 松本幸弘:ドラムス
マーセラス・D・ニーリー:MC
他に、プログラミングされたシンセ音、ピアノ、ストリングス、ホルン、ループドラムス、パーカッション
ライヴ履歴 2006年「THE LOVE ROCKS」 2007年、DWLで登場
2005年11月に『SUNSHINE』との両A面シングルで発売されたナンバー。『はじまりのla』に続き、ロッテのガーナチョコレートのCMソングに起用されました。CMにはドリカムの他に、フィギュアスケートの荒川静香・村主章枝・安藤美姫各選手が登場して話題を呼びました(ちなみに、トリノ五輪よりは前だった)。シングルとアルバム「THE LOVE ROCKS」ではヴァージョンが異なり、アルバムヴァージョンではイントロにドラムソロがあり、間奏が長く、最後はフェイドアウトせずに終わります。シングルはイントロがむなしく感じられます。また、ベスト盤「THE SOUL 2」に収録された際には、イントロがシングルヴァージョンと同じ尺で、間奏・アウトロがアルバムヴァージョンと同じという、独自のヴァージョンが登場しました。
曲は、『うれしい!たのしい!大好き!』を意識したと本人が語るように、初期ドリカムの持ち味がひさしぶりに復活しています。キャッチーでポップなメロディとリズムは、思わずあの頃を思い出してしまいそうです。面白いことに、この曲の作曲者はまささんです!初期ドリカムのキャッチーなシングル曲のほとんどは美和さん作曲なので、まささんがその味を再現していることは興味深いです(思えば『うれたの』よりはまささん作曲の『Eyes to me』に近いかも)。
曲は大半が生楽器による演奏で、その点は初期ドリカムより進化した点です。打ち込みドラムスも、初期よりうまくこなしています。松本幸弘さんの演奏を補佐する感じで使用されていますが、非常に軽快です。グロッケン&ストリングスがメロディをなぞる箇所や、効果的に使用されているブラス・セクションは、初期ドリカムの世界そのもの。間奏はドラムソロのようになります。また、まささんが自画自賛するベースラインにも注目です(笑)。
美和さんのヴォーカルも軽快な感じを出しています。メロディ自体が初期ドリカムそのものなので、自然にあの頃の感覚を思い起こさせる歌声です。ただ、初期ドリカムに典型的だった男性陣のバッキング・ヴォーカルは入っていなく、美和さん自身がハモる形になっています。サビで入るタイトルコールが印象的で親しみやすいです。イントロと間奏には「第2のマイク・ピラ」マーセラス・D・ニーリーによる英語の語りが入っています。
歌詞は、これからデートに行く主人公のはじける心を歌ったものです。相変わらずバカっぽくてほほえましい感じは『Ring!Ring!Ring!』の頃から全く変わっていません。タイトルの「JET!!!」は、作業がほぼ終わった頃に美和さんに突如「降りてきた」フレーズで、美和さんは一気に歌詞を書き換えたそうです。第2節で、「チャリに鳴らさせるし」と歌う直後に本物の自転車のベルが鳴るのが効果的です(美和さんがNYで仕入れてきたものだそうで、美和さんが鳴らしている)。また、「チョコレート持って」は明らかに「チョコレート、ロッテ」を意識しているといえるでしょう(笑)。ドリカムの詞作でここまで何かの「宣伝」をしているのも珍しい話ですね・・・。
この曲にはミュージック・ヴィデオもあり、「THE LOVE ROCKS」の初回限定盤付属のDVDにメイキングと一緒に収録されています。『SUNSHINE』のミュージック・ヴィデオの続きとして設定されていて、前回同様、伊藤淳史さん演じるマネージャー「桃井田ハチ」が主人公となっています。「JET」→「飛行機」ということで、機内が主なシーンです。そこで桃井田と秘書がドリカム(アマレット?)の演奏をチェックしている、というストーリーとなっています。前回も登場したマーセラスやSHIGE&KEITAはもちろん、シングルジャケットに登場した「ドッチワーデス」も出ています。演奏&ダンスシーンが中心ですが、最後がまささんの飛び切りの笑顔で終わるのが素敵です(笑)。
ライヴでは、アルバム発売後のツアーのオープニングナンバーとして演奏され、早速人気曲らしい盛り上がり方を見せていました。2007年にはDWL初登場。ライヴでももちろん、マーセラスのMCも健在。また、2010年のリミックス・アルバム「DREAM CATCHER -DREAMS COME TRUE MIX CD-」にはリミックス・ヴァージョンが収録されました。
昔からドリカムを聴いているファンにとっては、「こういうのを待っていた!」という感じだったでしょう。1997年以降、初期とは全く異なる音楽に走っていたドリカムですが、ここに来てついに原点に戻ってきたといえるでしょう。初期のテイストを鈍らずに再現できてしまうなんて、美和さんもまささんもすごいですね。ハッピーでキャッチーなこの曲は、きっとこれからも愛され続ける曲となるでしょう。マーセラスの語りやドラムソロから、ダンス風にも聴こえるのが面白いですね。ライヴでも早速タイトルコールの箇所で盛り上がっていましたし。「THE SOUL 2」のヴァージョン違いは実にマニアックですな(苦笑)。ちなみに、ポール・マッカートニー&ウイングスに『Jet』という超有名曲がありますが、この曲とは無関係です(笑)。