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監督:ピーター・ウェッブ 製作:アンドロス・エパミノンダス
脚本/音楽:ポール・マッカートニー 音楽監督:ジョージ・マーティン
出演:ポール・マッカートニー、リンゴ・スター、バーバラ・バック、ラルフ・リチャードソン、トレイシー・ウルマン、ブライアン・ブラウン、リンダ・マッカートニー他
1984年に世界中で公開された、ポールが企画・主演・脚本・音楽を担当した劇場用映画。ポールは映画の構想を1981年頃には思いたっていたそうです(当初は反戦映画になるところだった)。実際に使われたストーリーは、スタジオに向かう際交通渋滞に巻き込まれた時に思いついたそうです。ポールは映画関係者に映画制作のことを打ち明け、監督にピーター・ウェッブを紹介してもらいます。脚本はポールが自力で書き上げました。それを見た専門家は「どうしてプロの脚本家を使わないのか?」と提案しますが、ポールは聞き入れませんでした。撮影はアルバム「パイプス・オブ・ピース」を仕上げた直後の1982年11月から翌年の7月までに行われました。当初ポールもウェッブも一体何のための撮影か分からないほどの当てもない撮影でしたが、1983年1月に20世紀フォックスと契約したことで、劇場用映画になることが決まりました。
出演者は、ポールの他にジョン・ポール・ジョーンズ、エリック・スチュワートらミュージシャンや、ブライアン・ブラウン(マネージャー役)、ラルフ・リチャードソン(ジムおじさん役)ら俳優が参加。もっとも注目を集めたのが元ビートルズのリンゴ・スター。ポールから依頼があったときリンゴは「悪役なら出てもいい」と言っていましたが、結局はドラマー役で参加。ビートルズのメンバーの解散後初の映画での共演が実現しました。また、リンゴの妻で女優のバーバラ・バックも音楽記者役で出演。もちろん、ポールのパートナー・リンダも出演しました。ポールの親友を中心に、豪華な布陣で臨んだのです。
ストーリーが「ポール・マッカートニーというミュージシャン」を主人公としたため、使用された音楽の多くは過去のポールの曲の再演でした。ビートルズから6曲、ウイングスから1曲、ソロから3曲。さらに主題歌を含め新曲を数曲書き下ろしています。演奏のほとんどは映画のシーンの撮影と同時にライヴ録音されたものです。プロデュースはビートルズを手がけたジョージ・マーティン(映画にも登場している)。演奏にはリンゴやリンダ、エリック・スチュワートなども参加しています。これらの音楽は演奏シーンやBGMとして映画に登場するため、映画はおのずとミュージカルの要素が強くなっています。なお、これらの音源はサントラ盤「ヤァ!ブロード・ストリート」(1984年10月発売)に収録されています(詳しい解説はこのページを参照)。
さて映画のあらすじを。ポールのニュー・アルバムのマスターテープが、預けていた彼の親友・ハリーと一緒に行方不明に。契約の関係で今夜の12時までにテープを発見できなければ、ポールの音楽会社は別の会社に身売りをしなければならない・・・。マスターテープは、ハリーはどこに・・・?ポールの波乱の一日を演奏シーンと一緒に追ってゆきます。ミュージシャンであるポールにしてはよく書いたと思いますが、やはりプロの書いた脚本に比べると素人の書いた感が否めませんし、結末が結末ですから・・・(苦笑)。これから見る方のためにあえて書きませんが・・・。演技の方は、そこそこ見ていられると思います。また、音楽についてはさすが本業、申し分ないです。
ポールの大きな自信を背に、映画は1984年末に公開されましたが、客はなかなか来ず結局興業的には大失敗に終わりました。ポールはこのことに大きなショックを受けます。元ビートルズで映画会社経営もしていたジョージ・ハリスンからははっきり「だめだ」と言われた上、「あのこと(映画の失敗)でポールも目が覚めた」となんとも辛らつな発言をもらっています。1967年に公開したビートルズのTV用映画「マジカル・ミステリー・ツアー」(ポールの主導で作った)もそうですが、彼の企画・脚本ではその自信ほどのものは作れないようです。まぁ無理はないですね、ポールはミュージシャンですから。
この映画は、内容の荒唐無稽さや演奏シーンの多さなどを考えると、ポールを知らない人にとってはつまらない映画となることでしょう。しかし、ポールのファンにとってはこの上ない最高の映画になることでしょう。ポールやリンゴの元気な姿を見られるだけでうれしいでしょうし、演奏シーンでは各演奏者のプレイやレコーディング風景などを間近で見ることができます。ビートルズナンバーなどの再演については賛否両論ありますが、スタジオライヴというのがうれしいところ。結局この映画は、ファンのための映画なのです。つまりは、「ストーリーを楽しむというより、プロモ・ヴィデオ集として楽しむ」感じなのです。あれ、「マジカル〜」と同じですね。
私の感想を。内容は・・・ポールらしいとは思いましたね。ストーリーは「あ〜あ・・・」ですが(汗)。演奏シーンはさすがですね。映像つきなので飽きずに何度も見てしまいます。「リンゴってこうドラムスたたくんだ〜」とか。サントラを聴いてから見ると新たな発見があって面白いです。演技も、けっこうよかったのでは?ポールのちょっとおどけた仕草とか・・・(笑)。やけに妄想癖なのが気になりますが・・・。リンゴのユーモラス発言もあったし、ハリーなど他の登場人物もそれぞれ個性豊かでしたし。ジムおじさんも少しだけの出番なのにインパクトは大きいですし。明るい登場人物による明るいお話なので、楽しい気分になりますね。
私が買ったのは日本で初めてDVD化された時のものですが、予告編が2種類入っていました。気になったのが、日本語字幕が、短い台詞の時出るのが遅れて次の台詞に間に合わず一瞬しか映らないこと。内容の把握に苦労しました(汗)。また、一部のDVDでは歌の部分に日本語の対訳が出るそうですが、私のには出てきません・・・。これも見たかったです。
以下は映画の各チャプターの感想となります、映画の内容を知りたくない人は見ないように!!
1.オープニング・・・さぁ映画の始まりです。とある雨の日、ポールは渋滞に巻き込まれた車の後部座席で歌詞を書きとめています。実はこれ、映画に使用された『悲しいバッド・ボーイ』の歌詞(よく見るとすぐ分かります)。ビートルズ時代よりポールは移動中のバスや車で作詞することが多いそうですが、こんな風にやっているんですね。運転手の「分かってます」がむなしく響いてゆくうちに・・・。
2.グッド・デイ・サンシャイン・・・ポールが晴れた日に1人ドライヴをしています。BGMの『グッド・デイ・サンシャイン』、まさに快晴にぴったりです。そこに電話がかかってきます。電話がついているとは、すごい車です(笑)。今では携帯電話なのでしょうけど。今日の予定まで教えてくれる車・・・。電話でニュー・アルバムのマスター・テープと、それを持っているハリー(イアン・ヘイスティングス)が行方不明だと知るポール。全速力で車を走らせます(このシーン好きです)。このシーンでちょっとだけ出てくる、車を運転しているおばさんが面白いです!
3.悪い知らせ・・・ポールが自分のオフィス(MPL?)に着くと、社員やレコード会社の関係者、銀行家までもが待ち構えていてなにやら深刻な顔。そこにラスといういかにも悪役顔の人物が登場。マスター・テープの紛失でニュー・アルバムが台無しになると、ラスが経営する会社にポールのオフィスが吸収されてしまうらしい。話は今夜12時までにマスター・テープを探し出さないとポールのオフィスがラスのものになってしまう、ということに。ここらへんの強引さがいかにもポールの書くシナリオらしい(苦笑)。話の間にポールが描いたラスの似顔絵が面白いですね。
4.録音スタジオ・・・突然の事件に不安を隠せないながらも録音スタジオへ仕事に向かうポール。車内でのマネージャーとの会話などで分かりますが、行方不明のハリーは前科者だとのこと。しかしポールは彼を信頼してオフィスに雇い親しくしていた。確かにハリーは誠実そうな顔ですよね。スタジオではリンゴが待っていました。そしてコンソール・ルームにはあのジョージ・マーティン先生が!!この映画では音楽監督を担当していますが、出演までしていたとは!このシーンではサントラに収録されたインスト『コリドール・ミュージック』が流れていますが、サントラより長く聴くことができます。そしてリンゴの「Yes,I do」も!!
5.イエスタデイ・・・ここからはサントラと同じ3曲のメドレー。ポールはアコギを弾きます。別のブースではブラス奏者が演奏しています。リンゴはブラシを探して次の『ヒア・ゼア・アンド・エヴリホエア』まで演奏に参加していませんが、これはリンゴが出演依頼のあったときに「2人のビートルズはいやだ」ということでビートルズ・ナンバーの再演への参加を拒否したため。このシーンではレコーディング機材の様子がよく映っていて興味深いです。
6.ヒア・ゼア・アンド・エヴリホエア・・・引き続きポールのアコギとブラス奏者の演奏。ポールがギターを弾く姿を堪能できます。指使いまで分かります。必死にブラシを探すリンゴが面白いです。
7.ワンダーラスト・・・ポールはこの曲ではピアノを弾いています。やっと探し出したのにブラシの出番がないと知ってブラシを投げ捨てるリンゴ、代わりに力強いドラムスを聴かせます。途中にはポールやリンゴとマーティン先生とのやりとりや、ブラス奏者のティータイムなど貴重な一こまも。
8.旧友と新しい友・・・別のスタジオへ向かうポールとマネージャー。車内でポールはハリーが出所した時の様子を思い出します。BGMは『ひとりぽっちのロンリー・ナイト』のインスト版。スタジオ前には妻がポール・ファンの男性がサインを求めにやってきます。スタジオではポールとマネージャーが口論。そこでポールはオフィスがラスに恩を受けていることを初めて知りました。一方大きな舞台ではミュージカル・シーンの演奏のための準備が進められていました。ポールは子供たちに『ボールルーム・ダンシング』のピアノ部分を弾いています。またここでリンゴが奥さんのバーバラ・バック演じる音楽記者と話をしています。さすが夫婦、呼吸が合っていますね。
9.ボールルーム・ダンシング・・・ミュージカル・シーンの演奏とはこの曲のことでした。蝶ネクタイで決めたポールのカウントで舞台の幕が開き、最初は子供たちが歌詞に合わせた演技をします。続いて舞台はミュージシャンの面々となり、ポールはクレーンからそこのピアノに移動します。ボールルームでは紳士淑女による社交ダンス。しかしそこに不良の若者たちが乱入、現場は殺伐とします。一時は切り抜けるものの、結局は大混乱のうちに終わります(曲は完奏している)。それにしてもこれほどの混乱でも演奏を続ける面々もすごい・・・(リンダさん、人を殴ってるし)。ここでの演奏はサントラよりもだいぶ長く、カットされていた第3節も完全に聴くことができお得です。また、演奏者もリンゴやリンダ、ジョン・ポール・ジョーンズなどそうそうたる顔ぶれ。
10.休憩時間・・・スタジオの食堂で、ポールやリンダ、リンゴやバーバラなどが食事をしています。周りはスタジオだけあって仮装した人だらけ。そこにハリーの恋人サンドラ(トレイシー・ウルマン)が登場、落ち込んでいるようです。なぐさめるポール。その間にオフィス側も行動を起こしているようです。
11.心のラヴ・ソング・・・近未来的なセットの舞台での演奏。ポールはじめ一同は猫のような白い化粧をしています。みんな硬直した感じでどこか不気味・・・。リンダさんがすごい風貌です(笑)。途中からは黒スーツでパントマイムをする男性が登場(ちょっと余計・・・?)。演奏にはリンダ、スティーヴ・ルカサー、ルイス・ジョンソンらが参加。サントラよりも長く収録されています。1曲終えたらさっさと消えてしまうのも面白いですね。
12.追跡・・・外はいつの間にか雨。ポールとサンドラ、そしてローディのトム(ジョン・ソールトハウス)はヴァンに乗ります。それを追う関係者やラス。車内でサンドラを励ますポール、いつの間にか警察に追われるハリーを想像(妄想癖が激しい人!)。ここでのBGMはいかにもマーティン先生といったインスト。次の目的地・倉庫へ向かう一同。ヴァンを止める際、トムは誤って他人のトラックに傷をつけてしまいます。ポールを降ろしサンドラを送りに発車するトム。ここで『心のラヴ・ソング〜リプライズ』が流れます。これって別のシーンだったんですね。倉庫の中はちょっとしたスタジオになっていました。ポールが狭い階段を上がるとそこにはリンダやリンゴ、デイブ・エドモンズらが。バーバラもいます。ここでリンゴがしゃべった「おい寒いぞ ここはカナダか」という台詞は彼のアドリブです。
13.悲しいバッド・ボーイ・・・集まった面々での演奏。バーバラは聴く側。演奏者は前述の他にクリス・スペディングとジョディ・リンスコット。この曲の歌詞を冒頭の車内で書いていたのは先に触れたとおり。曲はリンダさんのコーラスがよく響いています。各演奏者がクローズアップされていて、どのように弾いているかが分かります。それにしてもこの曲のタイトル、否応なくハリーを思わせますね。最初から狙ってた?一方トムはサンドラを送ります。ここでのBGMは『ひとりぽっちのロンリー・ナイト〜リプライズ』で、サントラでは『フォー・ノー・ワン』の冒頭につなげられています。
14.ソー・バッド・・・同じ面々にエリック・スチュワートを加えた演奏。ポールの'80年代サウンドに欠かせないエリックですが、なぜか映画ではこの曲でしか参加していません。ここでの見所はやはりリンゴのドラミングでしょうか。ファルセットで歌うポール、意外と普通の顔で歌っています。間奏のリンダさんの一本弾きキーボードも見れますよ。
15.ノー・バリュース・・・『悲しいバッド・ボーイ』と同じ面々。リンダさんはタンバリンをたたいています。よく見るとリンゴもコーラスを歌っています。ということはリンゴが初めてコーラスに参加したポールの曲って実はこの曲・・・?第2節では闇商売に手を染める巨漢、ビッグ・ボブが登場。歌詞にぴったりです。トムがヴァンで倉庫に戻ってきます。曲はそのままジャム・セッションに突入。この部分はサントラより長く聴けます。ここでもまたポールの妄想が登場(笑)。ビッグ・ボブにテープを渡し見返りに金を受け取るハリーです。「ストップ!」と叫ぶポールに演奏は途切れてしまいます。
16.ビッグ・ボブ・・・ポールがビッグ・ボブに話しかけます。「ハリーを見なかった?」と聞くポールにビッグ・ボブは「知らない」と答えます。ビッグ・ボブ、底からワルですね。思ったのですが、ウイングスのジョー・イングリッシュが演じてたら面白かったかも(笑)。次の仕事のためにBBCへ向かうポール。一方、傷つけられたトラックの所有者だったビッグ・ボブはそこにいたトムを責めます。
17.ハリーの行方・・・車内でハリーの話をするポールとマネージャー。ここでも『コリドール・ミュージック』が流れています。昨夜最後に見たハリーの様子が出てきます。
18.BBC・・・BBCに着いたポール。スタッフのテリーが出迎えます(気さくな人)。BBCではインタビューと2曲の録音をします。ニュー・アルバムのインタビューを受けるポール。続いて別のブースでストリングスカルテットと録音をします。
19.フォー・ノー・ワン・・・ポールはアコギを弾き、バックでカルテットが支えます。ホルン奏者がたった今バイクで来ました、という感じの格好で入ってきて急いで支度をする様子が面白いです。
20.エリナー・リグビー〜エリナーの夢・・・ホルン奏者を抜いての演奏。マーティン先生がコンソール・ルームにいます。弾き語るうちにやがて夢を見るポール。閑散としたアルバート・ホールで蝶ネクタイにスーツで演奏しています。なぜかラスやハリーが・・・。さらに夢は19世紀のヨーロッパに飛んでゆきます。リンダやリンゴ、バーバラたちと船遊びなどをするポール。衣装もすっかり19世紀風。ここからはポールが映画のために急遽書いたクラシックのインスト『エリナーの夢』。和やかな時間もラスの登場で消えてゆきます。リンゴやリンダはボートに乗ったまま滝の中へ。と、いきなり冬の雪の中。リンゴやリンダの幻を見るポール。すると今度は街中。犬を連れたビッグ・ボブ、同じく犬を連れたハリーが出てきます。ビッグ・ボブに気づかれるハリー。運悪くラスもやってきます。ビッグ・ボブにつかまり殴られるハリー。さらにはラスに剣で傷つけられます。ポールが発見したのは、階段で息絶えんとしていたハリーでした。ここで目が覚めるポール。長い長い夢は終わりました。それにしても、ハリーやリンゴ、ビッグ・ボブやラスが出てくるなんてポールもすごい夢見ますね!しかもハリーはテープの入った箱を持って終始逃走しているし!よほどテープが気になっていたのでしょうか?このシーンで使われた『エリナーの夢』は、ポールの自作ながら各シーンにぴったりの音楽になっていると思います。
21.短気は損気・・・すっかり夜になった街に車を走らせるポール。ここでは『バンド・オン・ザ・ラン』のオリジナル・ヴァージョンが使用されています。ポールの曲がオリジナルで使用されたのはこの曲だけ。第2パート〜第3パートの第1節までです。ロンドンの景色を堪能できます。ハリーが昨夜来ていた居酒屋「オールド・ジャスティス」を訪れたポール。出迎えたのはラルフ・リチャードソン演じるジムおじさん。昔ながらの雰囲気を残した部屋に案内します。ここで流れているのはサントラに収録されたインスト『グッドナイト・プリンセス』。ハリーのことを聞きますが、ジムは知らないと答えます。さらに、お茶を飲んでいる間に時は流れいつしか11時半。焦るポール。それに対するジムおじさんの「短気は損気」という言葉が印象的です。別れ際にポールはジムが飼っているサルに“Goodnight,sweet prince”と声をかけますがこれが前述のインストのタイトルのもとでしょう。ジムおじさんはこのシーンのみの登場ですが、非常に印象的な名演をしていると思います。
22.ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード・・・絶望に陥るポールは1人夜のロンドンを運転。ここでの『ザ・ロング〜』の再演はポールの意向らしくないAOR風の大げさなものですが、ネオンが光る夜の街並にぴったりだと思います。途中、リンゴ&リンダ&バーバラのパーティー(!?)や、ひとり悲しむサンドラのシーンなどが入ります。最後は酒を飲むラス。
23.夜・・・あてもなく車を走らせるポール、最後にハリーと会った時のことを思い出しブロード・ストリート駅に向かいます。それにしても、あのポールの車いいなぁ・・・(笑)。閑散とした駅。そしてこの映画の主題歌『ひとりぽっちのロンリー・ナイト』。せつないムードを盛り上げます。ただ、かなりカットされているのが残念・・・!!主題歌なんだから、もっと流してもいいのに・・・。既に11時55分。あと5分でテープを見つけ出さねば・・・もはや終わりか・・・とベンチに座って悲しみに暮れるポール。ラスは既にポールのオフィスを吸収する契約を交わしにオフィスにやってきています。ここでポールは、大道芸人となり街中でギター片手に歌う自分を想像しますが、このシーンは隠しカメラで撮影されたもの。『イエスタデイ』をかなりでたらめに歌っていますが、それがポールだとは誰も気づかなかったそうな。しかも、通行人からお金までもらっている。
24.サクセス!・・・何気なく隣のベンチを見たポール。そこには、雨に濡れたマスター・テープの箱が!!さらに、近くの小屋から「助けて!」と声が・・・。ドアを破るポール。そこには、なんとハリーが!!小屋をトイレと勘違いして入っていたら鍵をかけられたそうです。この時11時58分。間一髪、ポールはオフィスを吸収されずに済んだのでした!!・・・と、それは全部ポールの夢。車の中にいたのでした。現実の世界ではハリーはちゃんと来ていたのでした。おしまい。エンドロールには『ひとりぽっちのロンリー・ナイト(プレイアウト編)』が流れています。曲調からしてもっと派手なエンディングかと思ったのですが、意外とロンドンの景色だけという地味なもの。
ということで、夢オチといういかにも素人の書きそうな脚本でしたとさ。めでたし、めでたし(笑)。
アメリカ国内版予告編・・・『イエスタデイ』『バンド・オン・ザ・ラン』『ノー・バリュース』『悲しいバッド・ボーイ』『ひとりぽっちのロンリー・ナイト』が使用されている。再演されず、一部でしか登場しなかった『バンド・オン・ザ・ラン』が使われているのが面白いですね。
インターナショナル版予告編・・・こちらはアメリカ版の『ノー・バリュース』以外の曲を使用。こちらは台詞入りです。リンゴがドラムをたたくのとビッグ・ボブがハリーをたたくのが重なるのが効果的です。どちらも、淡々と語るナレーターが面白いですね(笑)。