哀愁のGIジョー
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演奏者 吉田美和:ヴォーカル、バッキング・ヴォーカル
中村正人:ベース、プログラミング、バッキング・ヴォーカル
武藤良明:ナイロン・ギター
グレッグ・アダムス:トランペット、フリューゲルホルン チャック・ファインドリー:トランペット、フリューゲルホルン
トム・スコット:テナー&バリトンサックス、フルート、フルートソロ スティーヴ・ホルトマン:テナー&バストロンボーン
パウリーニョ・ダ・コスタ:パーカッション
他に、プログラミングされたシンセ音、ピアノ、オルガン、シタール、ドラムス
ライヴ履歴 2006年「THE LOVE ROCKS」 2010年「ドリ×ポカリ〜イキイキ!〜」
ボサノバ風のゆったりとしたナンバー。ドリカムはラテン系の曲をよく作りますが、その中でも『眼鏡越しの空』に近い系譜です。まささんいわくヨーロッパの映画音楽を意識したそうです。そのせいか、シタール風のシンセ音が異国情緒を出しています。武藤さんのナイロン・ギターとパウリーニョ・ダ・コスタのパーカッションが印象的。そして間奏のフルートソロはフュージョン界の名うてトム・スコット。ちょっとクールで懐かしい感じの音色を出しています。
美和さんのヴォーカルも曲調のようにゆったりしています。第2節以降は随所にまささんのハーモニーが入って初期のスタイルを思わせます。イントロの美和さんの「ダーバーダー」や間奏のまささんのハミングなど、コーラスワークも効果的です。
歌詞はまささんいわく「シュールリアリズム」の世界。一緒に暮らしていた彼と別れることになった主人公が、昔の2人を振り返るせつない内容で、キーワードとなるのがタイトルにも登場する「GIジョー」のフィギュアです。GIジョーとは、1964年にアメリカで生まれた男児向け着せ替え人形のことで、コミックやアニメにもなったキャラクターです。軍服をよく着せていたそうです。そのGIジョーが、この曲では2人が一緒の部屋に引っ越してきた時にバスタブから出てきたという設定で登場し、2人が別れるまでの様子を見守る「人物」として描かれています。しかめ面をしたフィギュアを題材に取ったというのが美和さんらしく面白い発想です。
アルバム発売前の2006年1月31日に上原ひろみさんとのコラボで行われたSWITCH 20th Presents SWITCH ON LIVE Vol.4で、未発表のこの曲が既にライヴ演奏されていました。その後アルバムツアーで演奏されましたが、『どうぞよろしく』に続いて謎のメンバーが今度は引越し業者を演じていました。さらに、本物のGIジョーも登場!一方2010年の「ドリ×ポカリ〜イキイキ!〜」ツアーでは、パフォーマーのAKSのメンバーがGIジョーに扮していました。曲前のMCでまささんがタイトルを「引越しの歌」と何度も紹介していたのが面白かったですね(笑)。
この曲は、本当にゆったりして和みますね。サウンドもアレンジもいかにも!という感じがニクいです。まささんのハーモニーもいかにもそれらしくていい感じです。GIジョーは最初美和さんが作った架空のフィギュアかと思っていましたが、実際にあったものだったんですね。確かに、あの顔で排水溝から出てきたら思わず笑ってしまいそうです。なぜGIジョーが排水溝の中にいたのかは、主人公たちの前に誰が住んでいたかが曲中で語られていないので不明ですが・・・。そして、GIジョーが「分けることのできない2人の思い出」の象徴としてせつなく描かれているところに美和さんの詞作のすごさを感じますね。
なお、この曲はドリカムの曲を五十音順に並べると現時点で最初から5番目に来ます。アルバム「THE LOVE ROCKS」が出る前は『愛してる 愛してた』『i think you do』『Eyes to me』という順番でしたが、現在は『あぁもう!!』『愛がROCKするテーマ』『愛してる 愛してた』『ア・イ・シ・テ・ルのサイン〜わたしたちの未来予想図〜』『哀愁のGIジョー』と大きく塗り替えられていることになります。マニアックな話ですが(苦笑)。