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1.トゥ・メニー・ピープル・・・オーケストラがチューニングを行う音で始まる(ジョン・レノンがポールを痛烈に皮肉った曲『ハウ・ドゥ・ユー・スリープ』を意識したか?)。ブラス・セクションを加えた賑やかなアレンジで、ヴォーカルのメロディはサックスが演奏。ドラミングが原曲に忠実に再現されている。間奏とエンディングではサイケデリックなコーラスが入って混沌さを出している。
2.3本足・・・収録曲中では最も原曲と異なるアレンジが施されており、サックスを機軸に据えたスローなビッグバンド・スタイルに生まれ変わっている。実に渋いです。終盤のテンポチェンジも再現。このヴァージョンはプロモ・ヴィデオ集「The McCartney Years」のメニュー画面でBGMとして使用されていたので、聴いたことのある方も多いのではないでしょうか。
3.ラム・オン・・・フルートとハープによるさわやかなイントロで始まり、サックスがリード・ヴォーカルのメロディを奏でる。リンダのパートを再現した女性コーラスやフランジのかかったドラムスなど、少し幻想的な雰囲気が味わえる。
4.ディア・ボーイ・・・オリジナルはピアノバラードだが、ここでは楽器はベースとドラムスのみで男性&女性混合の多重コーラスがメインとなっている。原曲よりも弾んだ間奏のベースラインが印象的。いったん曲が終わった後始まるピアノの演奏は、このアルバムのアレンジによる『バック・シート』の一部分。
5.アンクル・アルバート〜ハルセイ提督・・・前半の『アンクル・アルバート』ではリコーダーがヴォーカルのメロディを演奏。曲が進むにつれ原曲と同様にストリングスも登場。ミュート・トランペットがポールの語りの部分を再現しているのが面白い。後半の『ハルセイ提督』は派手なブラス・セクションとスネア・ドラムをフィーチャーした行進曲のようなアレンジ。フレンチホルンのメロディをピアノに変えるなどの一工夫も。このヴァージョンはアルバムに先駆けてシングル発売もされている。
6.スマイル・アウェイ・・・『3本足』と同じく原曲よりもスローで、ブラス・セクションを中心としたビッグバンド・スタイルでの演奏。原曲ではポールがハーフ・スポークンのヴォーカルを聞かせるが、トロンボーンがその絶妙なニュアンスを再現していて笑えます。中盤以降の静かになったり賑やかになったりするアレンジもそのまま再現。個人的にはこのアルバムでもお気に入りのアレンジの1つです。
7.故郷のこころ・・・このアルバムでは珍しく原曲よりもキーが高くなっている。管楽器がヴォーカルのメロディを奏でる中、男性&女性混合のコーラスがドゥワップ・スタイルを披露する。オリジナルよりもカントリーぽく仕上がっているのは気のせいか・・・?
8.モンクベリー・ムーン・デライト・・・再びオーケストラのチューニング音で始まる。ヴォーカルのメロディはトロンボーンが演奏し、そこにブラス・セクションやストリングスが加わる緊張感あふれるアレンジ。原曲でのポールの迫力たっぷりなヴォーカルを彷彿させてくれます。エンディングは原曲よりもかなり短い。
9.出ておいでよ、お嬢さん・・・原曲はロックンロール・スタイルだが、ここではブラス・セクションとスチールパンをメインに押し出したゆったり目のアレンジ。オルガンのような音色やフルートも耳に残る。妙にトロピカルで、妙に行進曲ぽくて、非常に癖になります。個人的にはこのアルバムでも一番お気に入りのアレンジです。このアルバムからのシングル「アンクル・アルバート〜ハルセイ提督」のB面にも収録された。
10.ロング・ヘアード・レディ・・・ブラス・セクションをふんだんに用いたアレンジで、ヴォーカルのメロディはサックスが演奏。前半ではパーカッションがジャズの雰囲気を出している。後半の繰り返しでは原曲で聞かれたブラス・セクションによる複数の旋律を忠実に再現。終盤に向けてフィルインを交えて盛り上がってゆくドラミングも印象的。
11.バック・シート・・・原曲もテンポチェンジがめまぐるしいが、ここではさらに起伏の激しいアレンジとなっている。ピアノとサックスを中心に派手なブラス・セクションをフィーチャーしたビッグバンド・スタイルで、途中にはストリングスも登場。“We believe that we can't be wrong”のメロディを華やかに繰り返す後半の展開は、オリジナルとはまた一味違う感動を味わえます!曲が終わると再びイントロのピアノ・ソロに戻り、余韻を残しつつ静かに締めくくってゆきます。