Paul McCartney/ポール・マッカートニー
Back In The US
バック・イン・ザ・U.S. − ライヴ2002
CD ONE
 1.Hello Goodbye  ハロー・グッドバイ  3'46"
 2.Jet  ジェット  4'03"
 3.All My Loving  オール・マイ・ラヴィング  2'09"
 4.Getting Better  ゲッティング・ベター  3'10"
 5.Coming Up  カミング・アップ  3'26"
 6.Let Me Roll It  レット・ミー・ロール・イット  4'24"
 7.Lonely Road  ロンリー・ロード  3'12"
 8.Driving Rain  ドライヴィング・レイン  3'11"
 9.Your Loving Flame  ユア・ラヴィング・フレーム  3'29"
10.Blackbird  ブラックバード  2'30"
11.Every Night  エヴリナイト  2'51"
12.We Can Work It Out  恋を抱きしめよう  2'30"
13.Mother Nature's Son  マザー・ネイチャーズ・サン  2'11"
14.Vanilla Sky  ヴァニラ・スカイ  2'30"
15.Carry That Weight  キャリー・ザット・ウェイト  3'06"
16.The Fool On The Hill  フール・オン・ザ・ヒル  3'09"
17.Here Today  ヒア・トゥデイ  2'28"
18.Something  サムシング  2'33"
CD TWO
 1.Eleanor Rigby  エリナー・リグビー  2'17"
 2.Here,There And Everywhere  ヒア・ゼア・アンド・エヴリホエア  2'26"
 3.Band On The Run  バンド・オン・ザ・ラン  5'00"
 4.Back In The USSR  バック・イン・ザ・USSR  2'56"
 5.Maybe I'm Amazed  メイビー・アイム・アメイズド  4'49"
 6.C Moon  Cムーン  3'51"
 7.My Love  マイ・ラヴ  4'03"
 8.Can't Buy Me Love  キャント・バイ・ミー・ラヴ  2'09"
 9.Freedom  フリーダム  3'22"
10.Live And Let Die  007/死ぬのは奴らだ  3'05"
11.Let It Be  レット・イット・ビー  3'58"
12.Hey Jude  ヘイ・ジュード  7'01"
13.The Long And Winding Road  ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード  3'31"
14.Lady Madonna  レディ・マドンナ  2'21"
15.I Saw Her Standing There  アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア  3'08"
16.Yesterday  イエスタデイ  2'08"
17.Sgt.Pepper's/The End  サージェント・ペパー〜ジ・エンド  4'40"
発売年月日:2002年11月26日(米国) TOCP-66110,66111(日本・東芝EMI)
全体収録時間:54'41"(CD ONE) 60'46"(CD TWO)
「バック・イン・ザ・U.S. − ライヴ2002」

 執筆中


 (*のついている曲はアルバム「バック・イン・ザ・ワールド」にも同じ音源が収録されています)

 CD ONE

 1.ハロー・グッドバイ*・・・コンサートのオープニングを飾るのは、1967年にシングル発売されたビートルズの大ヒットナンバー(米国ではアルバム「マジカル・ミステリー・ツアー」にも収録)。実は、この曲がライヴ演奏されるのは意外にもこの時が初めて(エンディング部分のみ1989年〜1990年の「ゲット・バック・ツアー」で『プット・イット・ゼア』に続いてちらっと登場していたものの)。「ハロー、ハロー」を繰り返すキャッチーなメロディと歌詞はオープニングにぴったり。

 2.ジェット*・・・続いて登場するのはウイングスの名盤「バンド・オン・ザ・ラン」(1973年)収録のロック・ナンバー。ポールのライヴでは定番の1曲で、今回のように2曲目に演奏されることが多い。これまでは愛妻リンダが担当していた間奏のキーボードは、今回からウィックスが演奏している。ポールの熱いヴォーカルに会場のボルテージは一気に上がってゆきます。

 3.オール・マイ・ラヴィング*・・・1963年のビートルズのアルバム「ウィズ・ザ・ビートルズ」収録曲で、当時の「エド・サリヴァン・ショー」での演奏はあまりに有名。ソロになって以降ポールがこの曲を取り上げるのは1993年のニュー・ワールド・ツアーに続いて2度目。高度なギター・フレーズや美しいハーモニーも見事再現。

 4.ゲッティング・ベター*・・・「ロックの金字塔」と評されるビートルズのアルバム「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」(1967年)収録曲で、ライヴではビートルズ時代も含めて初登場。ここでもオリジナルに忠実なアレンジが施されている。ポールはエレキ・ギターを弾く。しかし、しつこく3回も繰り返すエンディングは・・・(苦笑)。

 5.カミング・アップ*・・・このツアーでは珍しい'80年代ソロ時代の曲。オリジナルは1980年のソロ・アルバム「マッカートニーII」収録。公式発表前にウイングスの1979年全英ツアーで取り上げて以降、この頃までは常にセットリスト入りしていた。「ゲット・バック・ツアー」とニュー・ワールド・ツアーではディスコ風のアレンジだったが、ここではウイングス時代を彷彿させるストレートなロック・アレンジに。また、終盤の繰り返しがやや短い。

 6.レット・ミー・ロール・イット*・・・アルバム「バンド・オン・ザ・ラン」収録のブルージーなナンバー。ジョン・レノンっぽいギター・リフがポールのお気に入りらしくウイングス、ソロ通じて頻繁に取り上げられているライヴでの定番曲。ポールはリード・ギターを弾きつつ渋いヴォーカルを聞かせる。ちなみに、オリジナルのスタジオ・テイクと同じ構成のフル・ヴァージョンで演奏されたのは実はこのツアーが初めてのことである。

 7.ロンリー・ロード*・・・ここから3曲は当時の最新アルバム「ドライヴィング・レイン」(2001年)より。ヘビーなベースラインで始まるこの曲は、そのアルバムのオープニング・ナンバー。スタジオ・ヴァージョンでのシャウト交じりの熱唱に驚かされたファンは多いが、ライヴでもその喉は健在である。

 8.ドライヴィング・レイン*・・・最新アルバムのタイトル・ソングだが、スタジオ・ヴァージョンとは構成・アレンジ共に大きく異なる。ドラムソロで始まり、テンポを大胆に上げているのはライヴには最適。オリジナルでは中途半端だったエンディングもドラマチックに生まれ変わり、骨太なロック・ナンバーとなっています!「1-2-3-4-5!」という歌詞に合わせてスクリーンに数字が飛び出すのを覚えている方も多いでしょう。

 9.ユア・ラヴィング・フレーム*・・・当時の妻ヘザーに捧げたピアノ・バラード。ヘザーも当然ながらツアーに同行してポールと共に各国を訪問。ステージに上がってポールから紹介を受けることもあった。ポールはオリジナル同様ピアノで弾き語る。ライヴ・ヴァージョンも力強く感動的に仕上がっているだけに、ヘザーと離婚した今となってはもはや演奏することもないと思われるのが少し残念です・・・。

 10.ブラックバード*・・・ここでポールはアコースティック・ギターに持ち替える。この曲はビートルズのアルバム「ザ・ビートルズ(ホワイト・アルバム)」(1968年)収録曲で、ビートルズのオリジナルでも演奏にはポールしか参加していない。ポールにとっては思い入れの深い曲のようで、ウイングスの頃からライヴでたびたび取り上げている。ポールのアコギの腕前を余すことなく堪能できます。

 11.エヴリナイト*・・・ポールの記念すべきソロデビュー・アルバム「マッカートニー」(1970年)収録曲で、ファンの間では人気が高い。ウイングスの1979年全英ツアーではロック・アレンジで、1993年のニュー・ワールド・ツアーではアンプラグド・アレンジで演奏されたが、ここではポール単独のアコギ弾き語りと再度アレンジを変えての登場。味わい深いです。

 12.恋を抱きしめよう*・・・1965年に発売されたビートルズのシングル曲。ビートルズ解散後にコンサート・ツアーで演奏するのは1993年以来2度目。この曲も以前のツアーとはアレンジが異なり、コーラスワークやウィックスの弾くアコーディオンなどがないポールの完全アコギ弾き語り。歌が入った途端に湧き上がる観声と拍手が凄まじいです・・・。

 13.マザー・ネイチャーズ・サン*・・・アルバム「ホワイト・アルバム」収録曲で、ビートルズが瞑想を学ぶためにインドに滞在していた頃に書いた曲。前回のニュー・ワールド・ツアーでも演奏されていたが、ライヴ・ヴァージョンのCD化はこれが初めて。ポールのアコースティック・ギターとウィックスのアコーディオンのみで披露される。エンディングはオリジナルとは異なり、かなり短い。来日公演では残念ながらセットリスト入りせず。

 14.ヴァニラ・スカイ・・・トム・クルーズが主演した2001年公開の同名映画の主題歌で、スタジオ・ヴァージョンは映画のサントラにしか収録されていない。ポールのアコギ弾き語りを機軸に、管楽器の演奏をウィックスがキーボードで再現している。ファルセット風ヴォーカルや口笛もオリジナル通り飛び出す。これまた来日公演では演奏されず・・・。

 15.キャリー・ザット・ウェイト*・・・続いてポールはエレキ・ピアノ(ポールは「マジック・ピアノ」と呼んでいる)へ移る。そこで演奏するのが1969年発表のビートルズの名盤「アビー・ロード」終盤のメドレーに登場する曲。「ゲット・バック・ツアー」ではオリジナルに忠実なアレンジで『ゴールデン・スランバーズ』『ジ・エンド』との3曲メドレーとして演奏したが、このツアーではポールのエレキ・ピアノ弾き語りのみというシンプルな形に。またタイトルにクレジットされていないものの、同じ「アビー・ロード」メドレーより『ユー・ネヴァー・ギヴ・ミー・ユア・マネー』も一緒に演奏している(むしろこっちの方がメイン)。ポールは中盤の歌詞を少し変えて「あまりの熱気で歌詞が思い出せないけど、ツアーの終わりまでには何とか思い出すよ」と歌っているが、これはアドリブではなく意図的に間違えたもので、来日公演含む各地でこの歌詞だった。

 16.フール・オン・ザ・ヒル*・・・オリジナルはビートルズのアルバム「マジカル・ミステリー・ツアー」(1967年)に収録。ウイングス末期や「ゲット・バック・ツアー」でもライヴ演奏していたが、その頃よりもさらにシンプルなエレキ・ピアノ弾き語りアレンジ。ウィックスがリコーダーやフルートの音色を再現。最後の“But the fool on the hill〜”がオリジナルとはかなり異なるメロディなのが新鮮。間奏でポールがリコーダーのメロディを真似ているのも微笑ましいですね(苦笑)。

 17.ヒア・トゥデイ*・・・再びアコースティック・ギターを取るポール。ポールにとって無二の親友だったジョン・レノンに捧げた追悼歌で、1982年にソロ・アルバム「タッグ・オブ・ウォー」で発表された。ポールはジョンへの尽きせぬ想いを伝えるために、このツアーで初めて人前で披露した。以降、この曲はポールのライヴにおいて欠かせない1曲となっている。オリジナルではストリングスが入っていたが、ここでは完全なアコギ弾き語り。それだけにせつなさが倍増して胸打たれるものがあります。

 18.サムシング*・・・ジョンに続いては、ツアー前年の2001年に亡くなったジョージ・ハリスンへの追悼として、彼の代表曲(アルバム「アビー・ロード」収録の大ヒットシングル)をウクレレ弾き語りで披露する。ポールがジョージの曲を自身のコンサートで演奏するのはこれが初めて。ウクレレはジョージお気に入りの楽器で、晩年は特に愛用していた。バラード調の原曲とはまた趣の異なる楽しげな雰囲気は、ユーモア・センスあふれるジョージをしのぶにはぴったりかも・・・?ポールはその後もしばらくこのアレンジでライヴで取り上げ続け、2008年からは前半がウクレレ弾き語り、後半がオリジナルに忠実なアレンジという構成で演奏している。

 CD TWO

 1.エリナー・リグビー*・・・ビートルズのアルバム「リボルバー」(1966年)で発表されたバラードナンバー。ポールのライヴでは定番曲の1つで、ポールがアコギを弾き、ウィックスがキーボードでストリングスの音を出している。他のバンドメンバーはコーラスを担当。

 2.ヒア・ゼア・アンド・エヴリホエア*・・・続いてもアルバム「リボルバー」収録曲。ファンの間では人気の高い曲で、ライヴで取り上げられるのは1993年のニュー・ワールド・ツアー以来2度目。ここでもバンドメンバー総出のコーラスワークが美しく光る。ウィックスのアコーディオンも味わい深いです。

 3.バンド・オン・ザ・ラン*・・・同名アルバムのタイトル・ソングで、ウイングス時代の代表曲としてあまりにも有名。ウイングス時代から現在に至るまでツアーでは一度も欠かさず取り上げている曲だが、メンバー交代の影響かこれまで以上にパワフルで若々しい演奏に生まれ変わっている。『ジェット』と同じく、亡きリンダのキーボード・パートは今回からウィックスが担当。ここでポールは再びベースを手にし、ライヴも後半戦に突入してゆきます。

 4.バック・イン・ザ・USSR*・・・アルバム「ホワイト・アルバム」のオープニングを飾ったロックンロールで、ビートルズナンバーでも人気の1曲。ポールは1989年以降必ずと言っていいほどライヴで演奏し続けている。ハードでソリッドなロック・サウンドにポールの年齢を感じさせない迫力たっぷりのヴォーカル、そしてスクリーンには旧ソ連の映像と、ポールのコンサートで一番盛り上がる瞬間と言っても過言ではないでしょう!このライヴ盤のアルバム・タイトルのゆえんとなっているのは言うまでもありません。

 5.メイビー・アイム・アメイズド*・・・ここから3曲は、1998年に他界した愛妻リンダに想いを込めて'70年代の曲をピアノで弾き語る。リンダがステージに不在の最初のツアーとなったが、その存在の偉大さが改めて伝わってくる曲順だ。この曲はソロ・アルバム「マッカートニー」に収録されたロッカバラードで、リンダに向けたストレートなラヴ・ソング。ウイングス初期から欠かさず演奏され続けており、シャウト交じりの熱いヴォーカルは今回も健在。それだけに、この後数年にわたってセットリストから外れてしまったのが残念ですね・・・(新妻のへザーに気を配ったか?)。

 6.Cムーン・・・ウイングス時代の1972年に『ハイ・ハイ・ハイ』との両A面シングルで発表したのがオリジナル。ポールとリンダお気に入りの1曲で、別段ヒットしたわけでもないのにベスト盤に堂々と収録されているほど。ウイングス時代は1973年〜1975年に『リトル・ウーマン・ラヴ』とのメドレーで演奏し、ソロに戻ってからはコンサートのリハーサルやサウンドチェックでたびたび演奏されていた。単独の1曲としてライヴ本番で取り上げられるのはこのツアーが初めてのこと。オリジナルよりもレゲエを意識したアレンジで、ポールはレゲエ・アーティストを模倣したかのようなアドリブも聞かせる。残念ながら途中からセットリストから外れ、来日公演では『幸せのノック』が代わりに演奏された。

 7.マイ・ラヴ*・・・ウイングス時代の大ヒット曲で、1973年のアルバム「レッド・ローズ・スピードウェイ」に収録。リンダへの愛をストレートに歌った甘いバラードナンバー。ウィックスのキーボードによるストリングスが華を添える。オリジナルではヘンリー・マッカロクが弾いた間奏のギター・ソロは、ラスティが忠実に再現している。これまた、ヘザーへの配慮かこの後数年間セットリストから外れることに・・・。

 8.キャント・バイ・ミー・ラヴ*・・・しんみりした雰囲気を吹き飛ばすのは、アルバム「ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!」(1964年)に収録されたビートルズの大ヒットシングル。オリジナルと同じキーで元気いっぱいに歌うポールのヴォーカルが痛快。また、「ゲット・バック・ツアー」及びニュー・ワールド・ツアーではエレキ・ギターを弾いていたが、このツアーではビートルズ時代と同じくベースを弾いている。

 9.フリーダム・・・2001年9月11日に起きた米国同時多発テロに触発されてポールが書いたメッセージ・ソングで、事件直後にポールが主催したチャリティ・ライヴ「The Concert For The New York City」で初演された。スタジオ・ヴァージョンはアルバム「ドライヴィング・レイン」に収録されている。全米を駆け回って自由の大切さを力強く歌いかけるポールの積極的な姿にアメリカのファンは勇気と希望をもらったことでしょう。ただし、メキシコ公演や来日公演ではセットリストから外れ、その後は一度も再演されていません・・・。

 10.007/死ぬのは奴らだ*・・・おなじみ007映画の主題歌で、1973年にシングル発売されたウイングスの超有名曲。ウイングス時代からほぼすべてのコンサートで取り上げている定番中の定番曲で、マグネシウム花火やレーザー光線を盛り込んだ派手な演出が毎回ファンの度肝を抜く。ポールはピアノを弾きながらシャウトを繰り広げる。

 11.レット・イット・ビー*・・・1970年に発表されたビートルズのラスト・シングルで、解散直前のビートルズを描いた同名映画の主題歌としても有名。1979年に最初にライヴ演奏して以来、ポールのライヴでは定番となっている。このツアーの前年には「The Concert For The New York City」でも取り上げた。超有名曲だけに観客の反応も大きいです。

 12.ヘイ・ジュード・・・1968年にシングル発売されたビートルズ最大のヒット曲。オーディエンスが一体となって参加できる曲として、ポールは1989年以降ライヴで毎回取り上げ、アンコール前のラスト・ナンバーに持ってきている。後半のリフレインでは一時ドラムソロになり、ポールの「男の人!」「女の人!」という掛け声に合わせて観客がコーラスを歌う感動的な演出も。なお、本ライヴ盤にはニューヨーク公演での模様が収録されているが、アルバム「バック・イン・ザ・ワールド」ではメキシコシティ公演に差し替えられている。

 13.ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード*・・・ここからはアンコール。ピアノの元に現れたポールが演奏するのは、アルバム「レット・イット・ビー」収録のビートルズナンバー。ウイングス時代からライヴ演奏されている曲だが、以前よりもテンポが上がっている。オリジナル・ヴァージョンでのオーケストラ・アレンジにポールが不満を抱いたのは語り草になっているが、このツアーでもウィックスがキーボードでストリングスを再現している。

 14.レディ・マドンナ*・・・オリジナルは1968年にシングル発売されたビートルズのヒット曲で、これもウイングス時代からライヴで演奏されているポールのお気に入り。アンコールで登場するのは初めてのこと。ポールは崩し歌いでピアノを軽快に弾き語る。バンドメンバーが間奏のスキャット・ヴォーカルを歌うのも楽しい。

 15.アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア*・・・ビートルズのデビュー・アルバム「プリーズ・プリーズ・ミー」(1963年)の記念すべき1曲目。ポールのコンサート・ツアーでは「ゲット・バック・ツアー」以降ほぼ毎回セットリスト入りしている。ポール自らカウントを入れ、ヘフナーのベースを弾きつつオリジナルと同じキーで歌い切る。

 16.イエスタデイ*・・・ここからはセカンド・アンコール。割れんばかりの大歓声と共に迎えられるのは、アルバム「4人はアイドル」(1965年)に収録されたビートルズ時代の一大名曲。ライヴではビートルズ時代、ウイングス時代含めてほぼ欠かさず演奏している1曲で、このツアーのようにアンコールで取り上げることが特に多い。ポールはオリジナル同様にアコギを弾き語り、ウィックスがストリングスをキーボードで再現する。

 17.サージェント・ペパー〜ジ・エンド*・・・いよいよラスト・ナンバー!コンサートの「最後」を締めくくるにふさわしいビートルズナンバー2曲を合体させたこのメドレーは、このツアーで初めて披露されて以来、10年以上にもわたりこの位置に君臨し続ける重要な存在となっていった。前半の『サージェント・ペパー』(正式には『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド(リプライズ)』)は、同名アルバムの最後から2曲目に収録されたリプライズ・ヴァージョンで、ニュー・ワールド・ツアーまではアルバム1曲目のヴァージョン(=『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』)とのメドレーで演奏されていた。エイブの力強いドラムソロとカウントで幕を開ける。後半の『ジ・エンド』は「アビー・ロード」メドレーを締めくくる壮大なロック・シンフォニーで、これもニュー・ワールド・ツアーまでは「アビー・ロード」メドレー中の1曲として演奏されていた。その時と同じように、エイブのドラムソロに続いてポール、ラスティそしてブライアンの3人で痛快なギター・バトルを繰り広げる。

 

ディスコグラフィへ