Wings At The Speed Of Sound Sessions
(2010.5.23更新)
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ウイングス5枚目のアルバム「スピード・オブ・サウンド」(1976年)は、ウイングスが当時出向いていたワールド・ツアーのハイライトと目されていた全米ツアーの成功をもくろんで、コンサートを盛り上げるための新曲を投入すべく急遽制作されたアルバムです。ロンドンのアビー・ロード・スタジオで短期間に集中的に行われたセッションを経て完成し発売され、ツアーが行われる米国をはじめ世界的にヒットを記録しました。『Silly Love Songs』『Let 'Em In』という2大ヒット曲を輩出したアルバムでもあります。また、「ウイングスはメンバー全員が主役」というポールの方針により、当時のメンバー5人全員が最低1曲はヴォーカルを取るという試みが実現したアルバムとしても知られています。現在は、ポールがヴォーカルを取る曲が少ないことが災いして当時ほどの人気はなくなりましたが、それでも多くのヒット曲・佳曲が揃った1枚として親しまれ続けています。
そんな「スピード・オブ・サウンド」セッションのアウトテイクは、未発表曲はおろか公式発表曲のアウトテイクすら長い間発見されず、ブートでも聴くことができませんでした。そのため、ファンの間では「短期間でセッションを終えたのでアウトテイクは残っていないのではないか?」という推測がなされ、「幻のセッション」とされてきました。しかし、2010年にこの常識を覆す一大事件が起こります。ウイングスのローディをつとめていたトレバー・ジョーンズのコレクションだった未発表音源が外部に流出し、ブート市場に出回ったのですが、その中に「スピード・オブ・サウンド」セッションのアウトテイクが多数含まれており、ついに長年謎だらけであった「スピード・オブ・サウンド」セッションの全貌が明らかになったのです。このことはポールの未発表音源を捜し求める世界中のコレクターに大きな衝撃を与えました。
その「スピード・オブ・サウンド」セッションのアウトテイクを他レーベルに先駆けていち早くブート化し発売したのが、この「Wings At The Speed Of Sound Sessions」(misterclaudelレーベル、mccd-167)です。これまで、アルバム・セッション別にアウトテイクをまとめたブート・シリーズを送り出してきたmisterclaudelレーベルの「Sessions」シリーズに新たなラインアップが加わりました。
気になる内容を見てみましょう。本ブートに収録されている音源は、ボーナス・トラックを除きすべてがもちろん初登場音源です。「スピード・オブ・サウンド」収録曲全11曲中実に8曲分のアウトテイクが発見されたことは驚きに値します。また、わずかながらアルバム未収録曲も収録されており、これまで全容が不明だったセッションの裏側を垣間見ることができます。音質は、コレクションであるオリジナルのテープからダイレクトに取ってあるため、少々のテープ・ノイズはあるものの極めて良好です。
ブートの前半5曲は、「スピード・オブ・サウンド」セッションが本格的に始まる以前の、1975年9月〜10月にかけてのスタジオ・アウトテイクです。この時点で「スピード・オブ・サウンド」収録曲がいくつか取り上げられているのが興味深いです。リハーサル・テイクながら公式テイクをほうふつさせる演奏が楽しめる『Let 'Em In』や、ストリングスの入っていない『The Note You Never Wrote』は新鮮味を覚えます。また、当時のワールド・ツアーで披露していた『Richard Cory』のスタジオ・ヴァージョンや、ポールが何度も取り上げている『Suicide』も録音されていて、これらも本ブートで初登場となります。
ブート中盤は、ロンドンでいよいよ「スピード・オブ・サウンド」セッションが始まった1976年1月〜2月にかけてのスタジオ・アウトテイクを収録しています。これが非常に興味深い音源揃いで、本ブートの醍醐味と言えるでしょう。いずれも既にアレンジや構成がある程度決まってからのテイクなので決定的な違いはありませんが、各曲のレコーディング初期段階の姿をうかがい知ることができます。ファンの間で大人気の『Silly Love Songs』は、印象的なストリングスとブラス・セクションが入っていないヴァージョン。『Beware My Love』の別テイクは公式テイクとはまた違う迫力を堪能できます。そして、本ブートのハイライトと言っても過言ではないのが『Must Do Something About It』。公式テイクではジョー・イングリッシュがヴォーカルを取っていましたが、ここではなんと!作者であるポールが歌うテイクが収録されているのです!以前からその存在だけは確認されていたものの、長年聴くことのできなかった同曲のポール・ヴァージョンは、ポール・ファンなら誰しもが驚く、必聴の1曲でしょう!
ブート後半は、ボーナス・トラックとして、公式発表されたものの現在はレア音源である別ヴァージョンを収録しています。『Silly Love Songs』は一般には入手できないプロモ・エディット。『Beware My Love』はシングルB面に収録する際にイントロを若干エディットしたヴァージョンで、未CD化。ここで聴けるのはありがたいです。ただ、もう1曲の『Let 'Em In』は、本ブートでは「プロモ・エディットを収録」と明記されているものの、CDにはなぜかアルバム・ヴァージョンがそのまま収録されている、という不可解な点があります・・・。これは本ブート唯一の欠点でしょう(この収録間違いに気付いてか、misterclaudelレーベルの「1975 Studio Tour Rehearsals」のボーナス・トラックに『Let 'Em In』のプロモ・エディットが急遽収録されたようです)。最終トラックの『Beware My Love』は、先行して流出し「スピード・オブ・サウンド」関連アウトテイク流出の引き金となったショート・ヴァージョン。
長年「幻のセッション」とされてきた「スピード・オブ・サウンド」セッションのアウトテイクが、2010年堂々の初登場。そのアウトテイクを高音質ですべて網羅し、さらには関連音源をも収録した本ブートは、ポール・マニアなら必携のアイテムでしょう!それだけに『Let 'Em In』の収録ミスが痛いですが(汗)、そんな不満はどこかに吹き飛んでしまうかのような息を呑む初登場音源の連続。これを聴かずして、「スピード・オブ・サウンド」は語れません!
このブートで特にお勧めする音源は、『Must Do Something About It』のポール・ヴァージョン、『Silly Love Songs』のベーシック・トラック、『Beware My Love』の別テイクです!
1.Let 'Em In (Early Rehearsal Take)
序盤5曲は、1975年9月〜10月のスタジオ・セッションより。この曲は「スピード・オブ・サウンド」のオープニング・ナンバーで、アルバムからの第2弾シングルとなったヒット曲。ここに収録されているテイクは、1975年から始まったワールド・ツアー中のリハーサル音源と言われている。ポールのピアノ弾き語りで始まり、徐々にドラムスやギター、ベースそしてブラス・セクションが加わってゆくという構成は、公式テイクをほうふつさせる。リハーサルながら、印象的なブラス・セクションのメロディが決まっているのに驚かされる。歌詞は未完成で、人名が多数登場する箇所は登場順がアドリブでかなり異なっている(「Uncle Michael」と歌ってしまう箇所も・・・)。
2.The Note You Never Wrote
「スピード・オブ・サウンド」収録曲。ポールが書き、ギタリストのデニー・レインがヴォーカルを取った。ここにはベーシック・トラックを収録。そのため、公式テイクで聴けるストリングスがまだ入っていない。かなり地味な印象が強くなっているが、楽曲の素質に合ったフォーキーなサウンドが前面に出ている。また、第2節以降のサビのコーラスが入っていない他、間奏直後には逆に公式テイクにはない力強いドラミングがフィーチャーされている。
3.Richard Cory
オリジナルはポール・サイモン。ウイングスは1975年〜1976年のワールド・ツアーで『Picasso's Last Words(Drink To Me)』とのメドレーでこの曲を披露し、デニーがヴォーカルを取った。1976年全米ツアーの模様は、ライヴ盤「ウイングス・オーヴァー・アメリカ」で公式発表された。ここには、なんと!驚愕のスタジオ・ヴァージョンを収録。この曲がスタジオでも正式に録音されていたとは本当に意外でした。ここでもヴォーカルはデニーで、ポールがコーラスをつけている。ライヴ同様のアコースティック・サウンドで、それほど印象は変わっていない。全米ツアーの際にデニーがアドリブで発した「替え歌」はなく、オリジナル通りの歌詞で歌っている。
4.Suicide
ポールが少年時代に書いたピアノ・バラードで、フランク・シナトラに贈ろうとしたもののボツとなり長年公式には未発表だった。『Hot As Sun/Glasses』(1970年・アルバム「マッカートニー」収録)のエンディングでほんの数秒聴くことができたヴァージョンの完全版が、2011年にリマスター盤「マッカートニー」のボーナス・トラックに追加されようやく公式発表に至った。ポールは、ビートルズ時代や1974年・1977年など何度もこの曲をデモ・レコーディングしているが、ここに収録されたのは「スピード・オブ・サウンド」セッションでのスタジオ・テイク。もちろん初登場音源。ポールのピアノ弾き語り中心という点は他の音源と同じだが、かなりジャズ寄りのアレンジにしているのが特徴的。ポールは崩し歌いを交え歌い、デニーがコーラスをつけている。この音源から察するに、恐らくアルバムに収録するために演奏したのではなく、セッション中の息抜きだったのではないだろうか。
5.Stealin'
1920年代に書かれたアメリカン・フォークのスタンダード・ナンバーで、'60年代にフォーク界やブルース界で数々のアーティストがカヴァーして有名となった。ウイングスは1980年のジャム・セッションでもこの曲を演奏している模様である(未確認)。ここに収録された「スピード・オブ・サウンド」セッションの音源は初登場。前曲『Suicide』から続けて演奏されており、ポールが弾くピアノを中心にベースとドラムスが入る。ヴォーカルはデニーが取っている。デニーが好きな曲だったのでしょうか?ポールはコーラスに回っている。
6.Silly Love Songs (Basic Track Without Strings Horns)
ここから『Wino Junko』までは、1976年1月〜2月のロンドンでのスタジオ・セッションより。まずは、「スピード・オブ・サウンド」収録曲で先行シングルとして発売され全米No.1を記録した大ヒット曲。ここに収録されたのは、この曲のアウトテイクとしては初登場となるベーシック・トラック。基本的には公式テイクと同じ演奏・ヴォーカルだが、決定的に違うのが、公式テイクでは曲を華やかに彩っていたストリングスとブラス・セクションが全く入っていない点。これは曲の印象をがらりと変えています。ベーシック・トラックはピアノ中心というのが丸分かりですね。また、面白いのは間奏ではブラス・セクションの代わりにポールがそのメロディをスキャットで歌っている点。これが結構かわいらしいです(笑)。「とぅっとぅっ、とぅるるるる〜♪」って。その他、イントロ直後のブレイクのドラムスの残響効果がないなど細かな違いがある。ファンの間で絶大な人気を誇る曲だけに、今回初めてアウトテイクが流出したことは大注目に値すると思います。この曲がお気に入りのファンなら必聴!欲を言えば、セッション中に録音されたと言われる伝説のレゲエ・ヴァージョンも流出してほしかった・・・。
7.Must Do Something About It
「スピード・オブ・サウンド」収録曲。ポールが書いた曲で、公式テイクではドラマーのジョー・イングリッシュがヴォーカルを取った。そして、ここに収録されているのは・・・なんと!作者であるポールがヴォーカルを取っているヴァージョンです!!元々ポールは自分でこの曲を歌おうとしたものの、しっくり来なかったのでジョーにプレゼントしたと言われていて、以前からポール・ヴァージョンの存在は指摘されていたものの、長年ブートでは聴くことができず幻のままだった。それがついに解禁されました!このポール・ヴァージョンは初期テイクのため演奏は公式テイクと異なるが、既にアウトロを含めて全体の構成やアレンジは完成している(冒頭のリンクは除く)。そして気になるポールのヴォーカルだが、かなりけだるく力を抜いて歌われているのが印象的。そのせいか、トロピカルに響くジョー・ヴァージョンに比べどこか『Every Night』に似たブルージーな雰囲気が強くなっています(苦笑)。ジョーの歌い方も上手で爽やかだが、ここで聴けるポールの歌い方もなかなか味があってよい。アウトロではポールが公式テイクにはないアドリブを披露する。恐らく、ポール関連の全アウトテイクの中でも最も衝撃的な音源の1つではないでしょうか?本ブート最大の目玉であり、発掘されたことを大歓迎したいです!もちろん、皆さんも必聴!
8.Beware My Love (Take 1,instrumental Complete Acetate Version)
「スピード・オブ・サウンド」収録曲。これはアセテート盤収録のテイク1で、2009年に一部分のみが先立って流出していたが、今回流出したのはそのコンプリート・ヴァージョン(ただしこちらも途中でフェードアウトする)。テイク1のためポールのヴォーカルは入っておらず、インスト状態。公式テイクではハードなギター・サウンドが堪能できるが、このテイクではピアノが演奏の中心となっていて、ヴォーカルのメロディを弾いている。ギターは目立っていない。ジョーのドラムスが生々しく響くのが新鮮。公式テイクではフルートが演奏しているメロディは、ここではムーグになっているが、どこかチープな音なのが笑えます(笑)。曲構成は公式テイクとは微妙に異なる。公式テイクとは結構印象が違いますが、演奏の荒々しさは公式テイクにつながるものがありますね。
9.Beware My Love (Alternate Take)
前曲とは違う、『Beware My Love』の別テイク(テイク数不明)。こちらはポールのヴォーカルやコーラスが入っており、ゆったりとしたイントロから迫力のエンディングまでしっかり完奏している。この時点でかなり公式テイクに近づいており、序盤及びエンディングはほぼそのままである(ただし冒頭からビートが入っている)。一方、中盤は演奏・ヴォーカル共にかなり違っており、全くの別テイク。公式テイク以上に荒々しい演奏となっていて、ドラムパターンも公式テイクよりは後のライヴ・ヴァージョンに似た激しいもの。後半のリズムアレンジが若干異なり、勢いのまま突っ走ってゆく感じが出ているのが刺激的です(その部分は曲構成も微妙に違う)。そして圧巻はポールのシャウト・ヴォーカル!これが公式テイク以上に自由自在で熱がこもっていて、曲が進むにつれ崩し歌いぶりに拍車がかかります。第1節・第2節の歌詞が一部順序が変わっている。ある意味迫力は公式テイク以上!それにしても、ここでもフルートの演奏部分がムーグになっていて、そこだけどこかチープなのでありました(苦笑)。
10.She's My Baby (take1)
「スピード・オブ・サウンド」収録曲。このヴァージョンはテイク1だが、演奏・構成・アレンジ・ヴォーカル共に既に公式テイクに限りなく近い。元々シンプルな曲ゆえに、少ないテイクで完成してしまったことをうかがわせる。公式テイクとの大きな違いは、ブレイク後のリフレインのヴォーカルがまだ入っていない点(代わりにポールの話し声と口笛が入る)。そして、公式テイクがフェードアウトしつつクロスフェードで『Beware My Love』と連結しているのに対し、こちらはしっかりエンディングを迎えている点であろう。これはかなり新鮮です。オリジナル・ベストでこの曲だけを収録したい時に便利かもしれませんね(笑)。
11.She's My Baby (Version 2 Rough Take,complete)
前曲とは違う、『She's My Baby』の別テイク(テイク数不明)。ラフ・ミックスのため音質は前曲より劣る。こちらも基本的には公式テイク(及びテイク1)に限りなく近いが、随所で違いがある。まず、公式テイク及びテイク1に収録されていたエレキ・ギターのフレーズが一部消去されている。その一方で、ブレイク後のリフレインにはテイク1と違いヴォーカルとコーラスが収録されている(公式テイクとほぼ同じもの)。そして、このテイクもエンディングはフェードアウトせずしっかり締めくくっている。前曲もそうだが、こちらはヴォーカルが入った状態なので余計新鮮に聞こえる。これを聴くと、公式テイクは本当に最後の最後の惜しい所でフェードアウトしていることが分かります。どうせなら独立したトラックで発表してもよかったのでは・・・?と思いますね。このテイクはテイク1より当然後に作られたものですが、元からあったギター・フレーズを消去している点、アレンジの試行錯誤があったことをうかがわせます。
12.Time To Hide
「スピード・オブ・サウンド」収録曲。デニーが書いた曲で、自らヴォーカルを取った。ここに収録されているのはベーシック・トラック。基本的には公式テイクと同じだが、この時点ではまだヴォーカルが入っていないのが大きな違い。イントロでデニーの“Oh,yeah”という掛け声が入るものの、その後はインスト状態です(汗)。また、後ほどオーバーダブされるブラス・セクションも入っていないので、中盤以降のイメージがかなり異なる。ウイングスらしいバンドサウンドを堪能するにはぴったり?また、エンディングは『Must Do Something About It』と連結していないので、クリーン・エンディング。さぁ、あなたもデニーになりきってカラオケしましょう!(笑)
13.Wino Junko
「スピード・オブ・サウンド」収録曲。リード・ギタリストのジミー・マッカロクがストーン・ザ・クロウズ時代に書いた曲で、ジミーがヴォーカルを取った。ここに収録されているのはレコーディング初期段階の別テイク。既に構成・アレンジは完成していて、基本的には公式テイクと同じだが、一部で違いがある。まず、イントロにはカウントがついている。そしてジミーのヴォーカルは公式テイクとは全く異なる別ヴァージョン。たいした違いはないが、全体的にこちらの方が公式テイクよりもはきはきと歌っている感がある。中盤の“Till you go down again〜”ではコーラスがまだ入っていなく、ジミーの声が生々しく響く。2度目の“Till you go down again〜”の後の“Wino Junko,Wino Junko”が始まるタイミングも遅い。
14.Silly Love Songs (Single Edit Version)
ここからはボーナス・トラック。公式発表されたものの現在は入手困難なレア音源となっている別ヴァージョンを一挙収録。まずは、『Silly Love Songs』がシングル発売された際に制作されたプロモ盤のみに収録されたエディット・ヴァージョン。イントロのパーカッションと、中間部を大胆にカットして2分ほど短くしている。冗長さがなくなって聴きやすいと言えばそれまでですが、この曲の魅力が半減してしまったような気がしてなりません・・・(汗)。ハイライトである、ポール&リンダ&デニーの3声コーラスが重なる箇所もカットされています。未CD化で一般には入手不可能な音源ですが、アルバム未収録曲などを収録した企画ものブートに収録されていることもあります。
15.Let 'Em In (Promo edit 45")
『Let 'Em In』は、シングル発売された際にプロモ・エディットが制作された。これは、中間部をカットして当時のライヴ・ヴァージョンと同じ構成にした上、エンディングをフェードアウト処理したショート・ヴァージョンである。このヴァージョンはプロモ盤にしか収録されず、シングルには通常のアルバム・ヴァージョンが収録されたが、日本のみ例外的にプロモ・エディットをシングルに収録していた。未CD化であり、特に日本以外では入手困難なレア音源である。本ブートにはそのプロモ・エディットを収録・・・していません(汗)。なぜか、アルバム・ヴァージョンがそのまま収録されています・・・。理由不明。曲目リストには「Promo edit 45"」と明記されているのに。これは、本ブート唯一の欠点です。私もがっかりさせられました・・・(アルバム・ヴァージョンはレアでもなんでもないですよね?)。しかし、ご安心を。この痛恨のミスに気付いたのか、同じmisterclaudelレーベルから発売されたブート「1975 Studio Tour Rehearsals」にボーナス・トラックとしてこのプロモ・エディットが急遽収録されたようです。また、アルバム未収録曲などを収録した企画ものブートに収録されていることもあります。
16.Beware My Love (45" slight edit)
シングル「Let 'Em In」のB面に収録する際に制作された『Beware My Love』のエディット・ヴァージョン。エディットといっても、前曲『She's My Baby』とクロスフェードしているイントロのアコーディオン・ソロをフェードイン処理でカットしているだけである。こちらは全世界共通でこのヴァージョンがシングルに収録されている。ただし、未CD化で現在入手困難。ここで聴くことができるのはうれしい話です。まぁイントロがちょっと違うだけの話ですが・・・(苦笑)。オリジナル・ベストにこの曲だけ収録したい時には便利かも。また、アルバム未収録曲などを収録した企画ものブートに収録されていることもあります。
17.Beware My Love (Take 1,Acetate incomplete)
本ブートの最後を飾るのは、8トラック目に収録されている『Beware My Love』テイク1のショート・ヴァージョン。2009年に他のアウトテイクに先立って流出したのはこのヴァージョンである。misterclaudelレーベルのブート「MEDIUM RARE TRACKS」に収録され出回った。コンプリート・ヴァージョンが出た今となっては意味のない音源ですが、これをきっかけに「スピード・オブ・サウンド」セッションのアウトテイクが次から次へと流出していったと思うと、記念碑的な音源と言えるでしょう。