Complete Cold Cuts Collection
(2007.9.16更新)
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現在、数多く存在するポール・マッカートニーのブート(海賊盤)。その中でも、昔から今まで一番有名かつ重要視され続けてきた1枚、それが「Cold Cuts」です。このアルバムは、ポールのスタジオ活動の中でお蔵入りとなってしまったいわゆる「未発表曲」を集めた未発表曲集です。それでは、なぜこのアルバムがポールのブートで最重要なのか?一番有名なのか?それは、ポール本人が、何度も発売しようとしてそのたびにお蔵入りになってしまった、いわくつきの未発表アルバムだからです。その歴史を、以下に簡単にたどってみましょう。
この「Cold Cuts」の原点は、1973年のアルバム「レッド・ローズ・スピードウェイ」のセッションにあります。この時、大量に曲をレコーディングしたポールは、アルバムを2枚組で発売する予定でした。しかし、レコード会社がOKを出さず、結果多くの曲が未発表となりました。そこでポールは、未発表曲集の制作を思い立ちます。1974年のインタビューで語っていたように、「廉価盤で風変わりなレコード」を念頭に置いていたようです。その後、具体的に発表に向けた作業が行われたのは、1978年。ウイングスのベスト盤を発売する際、1枚目をベスト、2枚目を未発表曲集とした「HOT HITZ AND KOLD KUTZ」としての発売を考えたのです。しかし、この時も2枚組での発売をレコード会社に拒まれ、お蔵入りになってしまいます。その後、1979年から1980年にかけてウイングスのメンバーと共に作業を再開。この時アルバムタイトルも「Cold Cuts」に変更されます。一部の曲を差し替え、オーバーダブを加えて発表に備えました。ところが、ジョン・レノンの暗殺の衝撃でポールが活動を中止したため、この時もお蔵入りに。
その後、1980年代中期(1987年頃?)には、クリス・トーマスを共同プロデューサーに迎えて再度リミックスを行っています。この時、収録曲の1つ『Waterspout』をベスト盤「オール・ザ・ベスト」に先行収録する計画も持ち上がりましたが、この時も発表されることはなく、『Waterspout』も未発表となりました。この頃から、ブートとして音源が出回るようになり、ポールは発表する意欲をなくしてしまいます。インタビューでも、発表しない理由について「ブートが蔓延しているから」と説明しています。結局、「Cold Cuts」の収録曲は1980年から小出しに発表されることになり、『Lunch Box/Odd Sox』(シングル「Coming Up」B面)・『My Carnival』(シングル「Spies Like Us」B面)・『Mama's Little Girl』『Same Time Next Year』(シングル「Put It There」B面)・『Hey Diddle』(ベスト盤「Wingspan」、デモ・ヴァージョンを収録)・『A Love For You』(サントラ「The In-Laws」)のみが発表されるに至りました(ポールの曲に限る)。未発表曲集の「Cold Cuts」は、こうして現在に至るまで公式には未発表のままです。
そんな紆余曲折を経て、現在ではブートとして数え切れないほどの種類のアルバムが出ている「Cold Cuts」ですが、なぜこのアルバムが重要なのか?といえば、その歴史だけではありません。「Cold Cuts」には、ポールが残した無数の未発表曲の中でも、最高級の質のものがたくさん収録されているからです。ポール本人が公式発表を考え、さらに何度もミックスし直されていることからも、それは伺えます。さらに、収録曲の中には、最終段階までアルバムの収録曲候補に挙がっていた曲や、実際に映画に使用された曲、ライヴで演奏されていた曲など、様々な経歴を持つものが多いです。そして一聴すれば分かりますが、「なんでこれが未発表なの?」というレベルの曲ばかりが並んでいます。ブートで聴けるポールの未発表曲には、デモ・テープに見られるような取り留めない曲もありますが、「Cold Cuts」収録曲は、時に公式発表曲の一部よりメロディ・アレンジなどで質が高いものがざらにあります。悲しい運命によってお蔵入りの憂き目を見ることになってしまった、そんな珠玉の隠れた名曲たちを、このアルバムで一挙に聴くことができます。
さて、先述の歴史を振り返れば分かるように、「Cold Cuts」には時期によって3つのミックスが存在しています。まずは、1978年の初期ヴァージョン。この時は、各曲ともまだラフなミックスのままです。また、収録曲も後のミックスとはかなり異なっています。『Tomorrow』のインスト・ヴァージョンや、『Proud Mum』などは、このヴァージョンにしか収録されていません。さらに、リンダ・マッカートニーとデニー・レインの曲が2曲ずつ入っていて、アルバムがウイングスとして制作されていたことが分かります。ことにデニーの『I Would Only Smile』には、ポール自身が参加していません。続いては、1980年のヴァージョン。収録曲の入れ替えが行われ、12曲に絞られています。この時に、『Waterspout』『Cage』といった「Cold Cuts」お約束の曲が追加されています。逆に、リンダやデニーの曲は外されました。ポールのソロ時代に録音された『A Love For You』が入っている辺りも、アルバム制作がポールのソロへシフトしている様子が伺われます。オーバーダブやリミックスも行われています。そして、'80年代中期のヴァージョン。収録曲はそのままに、曲順を若干入れ替えた上にオーバーダブやリミックスをさらに行っています。この段階で、公式発表しても遜色ない仕上がりとなっています。ウイングスはとっくに解散しているため、ポールの単独プロジェクトとしての作業です。ブートで一番出回っていて有名なのは、この'80年代中期のヴァージョンです。
「Cold Cuts」への興味がわいてきたところで、「どのブートを購入すればいいの?」という疑問が浮かんでくると思います。その通り、「Cold Cuts」は現在に至るまでブートとしては最多の種類が出回っていて、どれを買えばいいかいいか迷ってしまうことでしょう。そこでお勧めなのが、このページで紹介している4枚組「Complete Cold Cuts Collection」(SECRET GARDENレーベル、SGCD02〜05)です。このアルバムをお勧めできる大きな特徴として、まず、3種類あるすべての時期のミックスを、時期ごとに完全収録している点。これまでのブートだと、1つのミックスだけだったり、曲ごとに収録していたりと、その全体像をつかむことが困難でした。ここでは、CDごとに3つのミックスをオリジナルの曲順で収録しているので、「Cold Cuts」の変遷がCDを聴くだけで分かります。次に、ボーナス・トラックとして各曲のベーシック・トラックや、「Cold Cuts」収録前のヴァージョンなどを追加収録している点。DISC4はこれに当たります。各曲の完成までの過程を伺うことができます。中には『My Carnival』のプロトタイプ『Mardi Gras In New Orleans』もあって興味深いです。また、'80年代中期のヴァージョンは、既発盤はピッチが狂っているものが多かったのですが、ここでは正常に直されています。ブックレットには各曲の出典やオーバーダブ・リミックスの内容が記載されていて参考になります。ぜひ、この4枚組で「Cold Cuts」の魅力を堪能してみてはいかがでしょうか。ポールのブートの入門編としてお勧めです!
以下に、様々な軌跡をたどった主な収録曲の概要を解説しておきます。
[収録曲解説] ※'80年のヴァージョン以降に収録された12曲に限ります。('78年のヴァージョンのみ収録の曲は、収録ヴァージョン解説を参照ください)
A Love For You・・・1971年「Ram」セッションより。ポールらしい陽気なロックナンバーで、2003年にサントラ「The In-Laws」で陽の目を見た(「Cold Cuts」とは別ヴァージョン)。
Hey Diddle・・・「Ram」セッションで録音され、1974年にナッシュビルでオーバーダブされたカントリーナンバー。2001年のベスト盤「Wingspan」にはデモ・ヴァージョンを収録。
Mama's Little Girl・・・1972年「Red Rose Speedway」セッションより。カントリーナンバーで、1990年のシングル「Put It There」B面で公式発表された。
Best Friend・・・初期ウイングスらしいロックナンバー。「Cold Cuts」に収録されたのは、1972年8月22日のアントワープ公演のライヴ演奏。
Night Out・・・「Red Rose Speedway」セッションより。ポールのシャウトが映えるファンキーなロックナンバー。
Tragedy・・・「Red Rose Speedway」セッションより。トーマス・ウェインのバラード(1959年)のカヴァー。ちなみに、版権はポール(MPL)が所有している。
My Carnival・・・1975年「Venus And Mars」セッションより。1985年にシングル「Spies Like Us」B面で公式発表された(「Cold Cuts」とは別ヴァージョン)。
Waterspout・・・1978年「London Town」セッションより。ポールらしいキャッチーなポップで、1987年のベスト盤「All The Best!」に収録予定だった。
Did We Meet Somewhere Before?・・・「London Town」セッションより。1979年の映画「Rock'n'roll High School」に使用されたものの未発表。非常に洗練されたバラード。
Same Time Next Year・・・1979年「Back To The Egg」セッションより。1990年のシングル「Put It There」カップリングで公式発表されたバラード。
Cage・・・当初は「Back To The Egg」の2曲目に収録される予定だったが、最終段階で「Baby's Request」と取って代わられた。2つのパートからなる、ポールらしいポップチューン。
Robbers' Ball・・・1980年頃の録音とされる(ウイングスのリハーサルか「McCartneyII」セッションのどちらか)。オペラ風ヴォーカルをフィーチャーした変てこな曲。
[収録ヴァージョン解説]
[1978 VERSION] リンダやデニーの曲を含め、その後のヴァージョンとは収録曲が大きく異なる。全体的にラフで、インストナンバーが多い。
1.Mama's Little Girl
最終ミックス2より。イントロは若干フェードインして始まる。中間部のクラリネットや、その後のベースが入っていないなど、かなり公式テイクとは違った印象。
2.I Would Only Smile
最終ミックス2より。デニー・レイン作曲・ヴォーカルの曲で、1973年頃に行われたレコーディングにはポールは参加していない。代わりにヘンリー・マッカロクとデニー・シーウェルが参加。1980年にデニーのソロアルバム「Japanese Tears」で公式発表された。この曲は本当にいい曲です。
3.Tragedy
最終ミックス1より。この時点で既に、ハープやシタールをフィーチャーした幻想的な雰囲気になっている。コーラス含め、少しもやっとしたミックスがされている。
4.Night Out
最終ミックス1より。決定的な違いとして、ポールが単独で歌う部分がまだ入っていない。そのため、タイトルだけを連呼するインストナンバーのよう。音のバランスも後のミックスとは違う。
5.Oriental Nightfish
最終ミックスより。リンダ・マッカートニー作曲・ヴォーカルの曲で、1973年の録音。1998年にリンダのアルバム「Wide Prairie」で公式発表された。ラップ調のヴォーカルが面白い、少し不気味な曲。
6.Lunch Box/Odd Sox
最終ミックスより。1975年の「Venus And Mars」セッションでのレコーディングで、1980年にシングル「Coming Up」B面で公式発表されたインスト・ナンバー(「Venus And Mars」のボーナス・トラックにも収録)。公式発表されたヴァージョンと同じ。
7.My Carnival
最終ミックス1より。公式発表されたヴァージョンや、その後の「Cold Cuts」ミックスに比べると、かなりラフ。ピアノの音やコーラスが目立っている。エンディングのフェードアウトも早い。
8.Send Me The Heart
最終ミックス1より。デニーとポールの共作で、デニーのヴォーカル曲。1974年のナッシュビル・セッションで録音されたカントリー・ナンバー。これも、デニーのソロアルバム「Japanese Tears」で公式発表された。ここでは、なぜかエンディングがぶつっと切れています・・・。
9.Hey Diddle
最終ミックス2より。この後に追加されるパーカッションがまだ入っていないので、結構シンプルに聴こえる。ナッシュビルでオーバーダブされたフィドルやオカリナは入っている。
10.Wide Prairie
最終ミックス1より。1973年に録音されたリンダの曲で、これもリンダの同名アルバムで公式発表された。ミュージカルっぽい曲。公式発表されたヴァージョンは、実は大胆に編集されたもので、「Cold Cuts」には、なんと!11分にも及ぶ完全版を収録。冒頭がリンダでなくポールのヴォーカルなのに注目。しかし、最後の延々と続くアウトロは聴いていて正直退屈しますね・・・。
11.Tomorrow(Instrumental)
「Venus And Mars」セッションで録音された、アルバム「Wild Life」(1971年)収録曲のインスト・ヴァージョン。ここでは思いっきりレゲエ・アレンジにしています。ムーグが奏でる旋律と、渋いブラス・セクションが、オリジナルと全く違う雰囲気で笑えます。個人的には、オリジナルよりこっちの方が好き。
12.Proud Mum
「Venus And Mars」セッションで録音された、行進曲風のインスト・ナンバー。TV番組「Mother's Pride」のために書き下ろしたもので、ムーグ・シンセを多用している。
13.Proud Mum(Reprise)
前曲の短いリプライズ。ここまで3曲がインストのため、発表していたらずいぶんと散漫なアルバムになっていたことでしょう。
14.Same Time Next Year
最終ミックス1より。当時の最新曲だけあって、かなりしっかりとしたミックスである。公式発表ヴァージョンとは若干ミックスが異なる。
15.Did We Somewhere Before?
最終ミックス3より。このヴァージョンが、映画「Rock'n'roll High School」に使用された。(実は元々は、お蔵入りとなった映画「Heaven Can Wait」のために書いたんですけどね・・・)その後のミックスに比べると、イントロ辺りがかなり違って聴こえる。アルバムの締め方としてはいい終わり方ですね。
[Bonus Track from Basic Track]
16.A Love For You
ベーシック・トラックより。インストゥルメンタルで、ポールのガイド・ヴォーカルが左からうっすら聴こえる。エンディングはフェードアウトせず最後まで聴くことができる。
17.Hey Diddle
ベーシック・トラックより。完全なインストゥルメンタル。フィドルやオカリナもまだ入っていない。本来の形に一番近いかも。
18.Best Friend
ウイングスのヨーロッパ・ツアーより、1972年8月22日アントワープ公演の模様。これを元に「Cold Cuts」ヴァージョンが作られるのですが、ここではオーバーダブが全くされてないヴァージョン。ポールの単独ヴォーカルであることがよく分かる。
[1980 VERSION] 『Waterspout』や『Cage』などがラインアップに。しっかりとしたミックスだが、'80年代中期のものよりオーバーダブが少ない。個人的に一番好き。
1.A Love For You
最終ミックス2より。「Ram」セッションの録音にバッキング・ヴォーカルとギター、タンバリンを追加。しかし、まだオルガンが入っていないなど、'80年代中期のヴァージョンとイメージが違う。
2.Mama's Little Girl
最終ミックス3より。クラリネット、ベース、タンバリンなどをオーバーダブしている。かなり公式テイクに近くなっている。
3.Night Out
最終ミックス2より。ポールのヴォーカルが追加されている。タイトルコールのバランスもよりステレオ的に。その他、手拍子などが追加されている。
4.Hey Diddle
最終ミックス3より。中盤以降でパーカッションのオーバーダブが行われている。スチールパンのような音も入っている。
5.Best Friend
最終ミックス3より。「Red Rose Speedway」セッションでのオーバーダブに、さらにリード・ギターを追加している。
6.Tragedy
最終ミックス2より。'78年のミックスに比べると、音がかなりはっきりとしたミックスになっている。幻想的な雰囲気は減っているけど、聴きやすいです。
7.Waterspout
最終ミックス2より。「London Town」セッションの録音からヴォーカルを差し替えている。'80年代中期のヴァージョンとはイントロが微妙に異なる。その他、まだオーバーダブが少ない。コーラスはデニーの声が目立つ。
8.Same Time Next Year
最終ミックス2より。'78年のヴァージョンよりは音質がよくなっている。
9.Cage
最終ミックス1より。「Back To The Egg」セッションの録音からヴォーカルを差し替えている上に、コーラスや掛け声を追加している。
10.My Carnival
最終ミックス2より。'78年のヴァージョンに比べ、ピアノが目立たなくなっている。オルガンやブラス・セクションが前面に出ている。ただし、まだラフさは残っている。フェードアウトも早い。
11.Did We Meet Somewhere Before?
最終ミックス1より。どうやら、これが元々のトラックらしい(1978年頃の録音)。つまり、映画で使用したものは、「Cold Cuts」のためにリミックスしたものを使用・・・ということになります。
12.Robbers' Ball
最終ミックス1より。当時の最新曲だが、'80年代中期のヴァージョンよりコーラスのオーバーダブが少ない。また、イントロが若干長くなっている。
[Bonus Track from Basic Track]
13.Night Out
ベーシック・トラックより。ポールのシャウト風ヴォーカルと、コーラスが入っていない、インストゥルメンタル・ヴァージョン。
14.Lunch Box/Odd Sox
ベーシック・トラックより。基本的に公式発表ヴァージョンと同じだが、ここではカウントが入っている。
[MID-80's VERSION] 一番有名なヴァージョン。さらにオーバーダブやリミックスを重ね、そのまま発表しても遜色ない出来。
1.A Love For You
最終ミックス3より。ベース、オルガン、バッキング・ヴォーカルなどをオーバーダブ。特にオルガンが入ったのは印象的。さらに、中間部のバッキングをドラムソロに変更している。
2.My Carnival
最終ミックス3より。ヴォーカルと、ホンキートンク調のピアノをオーバーダブしている。音もクリアになり、かなり公式テイクに近づいている(ただし、全く同じではない)。間奏に低音ヴォーカルが入っている他、間奏後のヴォーカルが公式テイクと大きく異なる。
3.Waterspout
最終ミックス2より。第3節からブラス・セクションをオーバーダブしている。「Only love」というコーラスが大幅に追加されている。エコーも若干かけられている。
4.Mama's Little Girl
最終ミックス4より。パーカッションとクラリネットがオーバーダブされている。ヴォーカルにはリバーブがかけられている。公式テイクと同じ。
5.Night Out
最終ミックス3より。リミックスにより音質が向上している。エレキギターのオーバーダブが行われている。ポールが歌う部分で、エフェクトのかかったヴォーカルが追加されている。
6.Robbers' Ball
最終ミックス2より。'80年のミックスに比べ、イントロが短くなっている。また、ヴォーカルにリバーブやエフェクトが多くかかっている。中間部のインストに「フー!」という威勢のよい掛け声が入っているほか、ふざけ声が加えられている。その他、前半の方で男性ヴォーカルと女性ヴォーカル、エフェクトのかかったヴォーカルが歌う部分で、男性ヴォーカルが一部ミックスされていない。'80年のミックスからかなりいじられているのが分かります。賑やかになったかも。
7.Cage
最終ミックス2より。リミックスがされている上、コーラスにエコーがかけられている。
8.Did We Meet Somewhere Before?
最終ミックス2より。リミックスが施されているが、'80年のミックスとは大差がないように聴こえます。
9.Hey Diddle
最終ミックス4より。リンダのヴォーカルにエコーがかかっている。
10.Tragedy
最終ミックス3より。ヴォーカルとコーラスにエコーがかかっている。また、後半でハープが新たにオーバーダブされている。
11.Best Friend
最終ミックス4より。ヴォーカルにリバーブがかけられている。もはや元々のライヴ音源とは似ても似つかぬ状態になっています。演奏終了後の観声が長く聴けます。
12.Same Time Next Year
最終ミックス3より。公式発表されたヴァージョンと同じ。
[Bonus Track from Basic Track]
13.Waterspout
ベーシック・トラックより。インストゥルメンタル・ヴァージョン。いろんな音色のキーボードが使用されているのがよく分かります。所々音量が上がったり下がったりするのはテープのせいでしょうか。このヴァージョンは、フェードアウトせず、ハープシコードの長いアドリブ演奏が続きます。
14.Cage
ホーム・デモより(1978年、スコットランドの自宅にて)。元々『Cage』は、「Emotional Moments」と「He Didn't Mean It」の2曲をつなぎ合わせた曲ですが、ここでは前者の「Emotional Moments」の方のインスト・ヴァージョン(『Cage』の演奏とは全く別物)。この時点でホーンのメロディができているのは興味深い。また、『Cage』では使用されなかった、オールド・ロック調の部分が登場する。
[EXTRA VERSION] 「Cold Cuts」収録前の、各曲のアウトテイクなど貴重な音源を収録。
1.A Love For You
最終ミックス1より。ベーシック・トラックにヴォーカルとギターを追加した「Ram」セッションのアウトテイク。ポールのヴォーカルが生々しく響きます。
2.Hey Diddle
最終ミックス1より。1974年のナッシュビル・セッションのアウトテイク。「Cold Cuts」で取り上げる前のため、かなりラフなミックス。フィドルやオカリナはまだ入っていない。全く違うヴォーカルも入っている。
3.Mama's Little Girl
最終ミックス1より。「Red Rose Speedway」セッションのアウトテイク。心なしか「Cold Cuts」よりも高音質。でも、中間部の後のベースが入っていないので公式テイクとは違います。
4.Best Friend
最終ミックス1より。「Red Rose Sppedway」セッション時に最初にオーバーダブを行った時のもの。アコースティックギター、リズムギター、パーカッションを追加。まだポールのヴォーカルは単独です。
5.Best Friend
最終ミックス2より。先程の最終ミックス1と同時期の別テイク。基本的な楽器編成は同じ。
6.Tragedy
「Red Rose Speedway」セッションのアウトテイク。シタールやビブラホンなどのオーバーダブされていない、きわめてシンプルなベーシック・トラック。音も極めてクリア。
7.Tragedy
先程のベーシック・トラックに、シタールとビブラホンを加えたもの。まだハープは入っていない。
8.Wide Prairie
最終ミックス2より。1995年にポールのラジオ番組「Oobu Joobu」で放送されたリミックス・ヴァージョン。こちらもやはり11分ヴァージョン・・・。
9.Night Out
「Red Rose Speedway」セッションでのラフ・ミックス。「Cold Cuts」のものとはヴォーカルが異なっています。・・・大差なさそうですが・・・。
10.Mardi Gras In New Orleans
『My Carnival』のプロトタイプとされる曲。実は、プロフェッサー・ロング・ヘアーの曲のカヴァーです。つまり、『My Carnival』はプロフェッサー・ロング・ヘアーのパクりだった・・・というわけです(笑)。コード進行、確かに『My Carnival』とそっくりですね。『My Carnival』と同じく、「Venus And Mars」セッションのアウトテイクです。
11.Waterspout
「London Town」セッションでのラフ・ミックス。ポールのヴォーカルもかなりラフ。注目すべきは、クラベスのようなパーカッションが入っていること。これはその後の「Cold Cuts」には入っていません。
12.Cage
DISC 3収録のホーム・デモに、ポールがヴォーカルをかぶせたもの。メロディは完成しているが、歌詞がまだ完成していないのが分かる。また、『Cage』でカットされた部分や、つなぎに当たる部分では、聴き慣れないメロディ・歌詞が登場する。
13.Cage
1979年の「Back To The Egg」セッションのアウトテイク。これがオリジナルの『Cage』です。ヴォーカルが全く異なります。ちなみに、当初は『Reception』と『Getting Closer』の間の2曲目に収録される予定だったようですが、最終段階で『Baby's Request』に取って代わられました。「Back To The Egg」関連のブートにはこちらのヴァージョンが入っているので、結構有名かもしれません。