Jooju Boobu 第44回

(2005.8.07更新)

London Town(1978年)

 今回の「Jooju Boobu」は、ウイングスのアルバム「ロンドン・タウン」(1978年)のタイトルソング、『London Town』を語ります。邦題は「たそがれのロンドン・タウン」。歌詞では“afternoon”と歌われているものの、たそがれではないと思いますが・・・(苦笑)。ちょっと余計な邦題でもありますな。地味な存在ながらも、ウイングスの隠れた名盤としてコアなファンに愛されている「ロンドン・タウン」。(ちなみに私が一番好きなポールのアルバムも「ロンドン・タウン」です!)タイトルソングゆえに、この曲はその象徴ともいえる曲です。今回は、この曲を通してアルバムに秘めたポールの思いなどを語ってゆきたいと思います。もちろん、この曲の魅力も余すことなく語ります!

 まずは紆余曲折あった「ロンドン・タウン」セッションに関しておさらいしておきます(以前にも何度もお話していますが・・・)。1976年に念願の全米ツアーを大成功させたウイングス。その後各メンバーが休暇に入る間、ポールは相棒のデニー・レインと曲を書き溜めます。こうして準備をした後、しばらくしてからポールはメンバーに召集をかけ、新たなアルバムのレコーディングを始めます。これがアルバム「ロンドン・タウン」セッションの開始の合図でした。まず最初にセッションの地として選ばれたのは、アルバムのタイトル通りロンドンのアビー・ロード・スタジオ。しかし、当時のロンドンは雨が続きポールやメンバーの心は今ひとつ晴れませんでした。それを表すべく、アルバムのブックレットに記載されたレコーディングした場所のリストでは、ロンドンの欄には「Silver rain was falling down(銀色の雨が降っていた)」と書いてあります(今回紹介する『London Town』の歌詞でもある)。そこでリンダがロンドン脱出を提案、さらにデニーが「ヨットでセッションしよう!」と無茶なことを言い出し(苦笑)、一行はヴァージン諸島へひとっ飛び。華麗なる洋上セッションを行います。その後『Mull Of Kintyre(夢の旅人)』のセッションを挟んでメンバーが2人も脱退し、残された3人でアルバムが仕上げられた・・・という流れです。そのため、5人編成のフルバンドで録音した曲と3人の不完全バンドで録音した曲が混在しているというのは周知の通りですね。

 そんな中、今回語る『London Town』が取り上げられたのはセッションの序盤戦、ロンドンのアビー・ロード・スタジオでした。まさにご当地でのレコーディングだったわけです。『Mull Of Kintyre』もご当地・キンタイヤ岬で大胆にもセッションを行っていますが、この曲でもポールは「地元でやろう!」という意思があったのかどうか。それとも単なる偶然なのか・・・。先述のようにすぐに洋上セッションに向かってしまうため、このロンドンのセッションで録音された曲は数少なく、最終的にアルバムに収録された曲ではこの曲のみ、となっています。

  

 さて、アルバムを聴いてもらえば分かりますが、この時期のポールは英国やアイルランドをテーマにした曲が多く登場し、それが1つのコンセプトを成しています。言わずもがアルバム及びこの曲のタイトルは「ロンドン・タウン」ですし、『Children Children』『Don't Let It Bring You Down』『Famous Groupies』などといった曲にはスコットランドやアイルランドの音楽に似た作風が垣間見れます。このように、アルバム「ロンドン・タウン」は全体を通して英国とその周辺諸国に影響されたものがあります。折りしもこの時期英国ではパンクが流行していました。最先端の流行音楽には敏感なポールですが、この時期はあえてパンクには迎合せず、この英国&アイルランドスタイルに傾倒しています。この現象はなぜ起きたのでしょうか・・・?

 それは、ウイングスと共に世界中を駆け巡った末に全米ツアーを大成功に導いたポールが、ふと自分の故郷であり拠点である英国を回顧したことにあります。人気の頂点に上り詰めたことにより、ポールの心境に変化が生じたのです。ポールには節目節目に自らの原点を見直すことがよくありますが、今回は世界からいったん目をそらして自分のルーツを振り返る旅に出たのです。次なるシングルとしてアルバムと同時期に録音され、発売されると瞬く間に「英国で」記録的な大ヒットとなった『Mull Of Kintyre』が、スコットランドの岬を歌ったスコティッシュ・ワルツであることからもそれは明白です。世界を股にかけても結局は本国に戻ってくる、ポールの祖国への愛着が感じられます。

 そしてその思いはポールだけではありませんでした。ポールの相棒であったデニーもそんな思いを共有していたのです。そしてデニーの存在が、ポールの英国回帰の現象をますます強めることに寄与することとなったのでした。その結晶が、ポールとデニーがこの時期大量生産した共作曲、一連の「McCartney-Laine」ナンバーでした。過去にもポールとデニーは『No Words』(1973年)を共作していますが、この時期休暇などを利用して2人で作曲にいそしんでいたそうです。ポールにとって共作はビートルズ時代のジョン・レノン以来でしたが、デニーの才能に感嘆しつつ再び共作の楽しみを味わっていたようです。注目すべき点が、この時期の共作曲には、デニーの趣味である各国のフォーク・ソング(=民謡、トラッド)の作風が色濃く影響していることです。ポール自身も英国・アイルランドに傾倒していた時期ですが、そこにデニーの英国回帰的な作風・アイデアが加わることにより、アルバム「ロンドン・タウン」はますます英国・アイルランド色を強めることとなったのでした。スコティッシュ・ワルツの『Mull Of Kintyre』はもちろん、アイルランド風の『Children Children』『Don't Let It Bring You Down』、英国フォークにスパニッシュ風味を加えた『Deliver Your Children』、そして中間部が民謡風の『Morse Moose And The Grey Goose』。各曲によってポールとデニーの貢献度は違いますが、ちょうど同じ方向に関心が向いていた2人のコラボレーションは、この時期独特のカラーをウイングスに残すこととなりました。こうした点で、ウイングスの諸作のうちで最もデニーの貢献の高い作品が「ロンドン・タウン」といえるでしょう。ウイングス陰の立役者、デニー・レインの手腕を深く堪能できます。

 そして、今回紹介するタイトルソング『London Town』も、こうしたポールとデニーの共作の1つです。元々は1975年にポールが書いた曲(なんとオーストラリアで書かれたらしい!)がベースになっているようですが、その後1976年末〜1977年にメキシコやスコットランドで休暇を利用して書き加えられ、さらにデニーが書いた別の曲をくっつけて完成させたそうです。しかも当初はタイトルも異なっていたようで、ロンドンとは無関係の内容だったようです・・・!しかし、結果的に出来上がった曲は、当時の2人の目指していた英国回帰にぴったりはまった、ロンドンの香り漂う英国風のバラード作品になったのです。紆余曲折を経ながらも、しっかりロンドンを思わせる、アルバムのタイトルソングにふさわしい曲になったのは、2人の英国回帰への思いの強さの賜物ですね。

  

この曲を共作したポールとデニー・レイン。この時期多数の曲で共作を行っています。

 この曲は、大きく分けて2つのパートから成り立っており、これらを行き来する格好で曲が展開されてゆきます。これはさっき話した曲作りのエピソードの影響が色濃く反映されています。どっちのパートがポールの作で、デニーの作なのかは不明ですが、どちらも穏やかでメロディアスなバラードです。複雑な展開のためコード進行なども複雑なのですが、ちゃんと1つの曲として統一されていて違和感を感じさせないのはポールとデニーの手腕といってよいでしょう。2人の作風や嗜好性が似ていることの証しでもありますね。

 先述のようにアルバムセッションの序盤戦で録音されたため、この曲は5人編成のフルバンドスタイルで演奏されています。セッション中途で脱退するジミー・マッカロクとジョー・イングリッシュも参加しています。このアルバムのセッションでは、5人編成の曲では絶頂期ウイングスを想起させるアップテンポのロックナンバーが多いのですが、この曲ではそうした雰囲気はなく、終始静かで陰りのある音作りになっているのが面白いところでしょう。ハードエッジな音はほとんど登場せず、大勢を占めるのは穏やかで柔らかな音です。この控えめな音作りはこの時期のウイングスにはよく見られ、アルバムの雰囲気を決めています(他に『With A Little Luck』『Girlfriend』『I'm Carrying』など)。この穏やかさゆえに「地味だ」といわれることもあるのですが(汗)、のんびりまったりした、リラックスした味わいはくせになります。ポールを聴き倒した人を中心に隠れファンが多いのはここにあるといっていいでしょう。もちろん私もその1人です(笑)。

 曲の冒頭(これはアルバムの冒頭にも当たる)から入ってくるエレピと生ピアノが曲の中心となっていますが(これはポールの演奏)、ゆったりと左右に揺れるエレピの音が印象に残ります。イントロのあの音色を聴くだけで、いつも霧がかかり雨が降っているロンドンの街を思い浮かべさせてくれます。ドラムスはウイングス最強のドラマーと言われるジョーですが、ここではそのダイナミックさは抑えてあり、心地よいテンポを刻んでいます。ただパワフルなだけなく、曲にあわせてその演奏スタイルを変えるのも才能の1つですね。中盤からはストリングスも入ってきますが、大仰にならない程度にアレンジされています。ここでも「控えめ」がキーワード。間奏の流れるようなメロディにうっとりしてしまいます。その間奏ではフリューゲルホルンのソロとなり、ここでも英国風の柔らかな音を聴かせるのでした。本当に音の選び方がうまいなぁ〜と思いますね。そんな中、アウトロではエレキ・ギターによるギターバトルと複雑なドラムパターンが絡み合うパートが登場します。一見これは曲の雰囲気を崩しそうに思えますが、これが全然穏やかな雰囲気に悪影響を及ぼしていません。あまり大きくミックスされていないのもあるでしょうが、ここでも再度「控えめ」な演奏であることが理由でしょう。さっきのジョーもそうですが、ジミーもただパワフルなだけでなくちゃんと曲にあわせた演奏を心がけているということですね。それにしてもジミーのスライドギターは絶品だなぁ〜とこの曲でも思わせるのでした(デニーの演奏もあると思いますが・・・)。最後は再び静かな雰囲気に戻り静かに締めくくります。最後のピアノ一音が、この曲の締め方にはうってつけですね。このように、「控えめ」なサウンドが織り成す穏やかで陰りのある雰囲気は、伝統的な雰囲気の残る霧の都・ロンドンの香りをそのまま音に閉じ込めたような、ロンドンを思い描かせてくれるものです。実際にロンドンに行ったことがないのに、街を散歩しているかのような気分になります。

 控えめといえばヴォーカル面もそうでしょう。ポールのヴォーカルは終始愁いを帯びたような、穏やかな歌い方です。後の『Waterfalls』を思わせるような(あそこまでではないですが・・・)所在なさげにせつなげな歌声が孤独感を募らせます。そしてウイングスならではの得意分野といえばリンダ&デニーによるコーラスでしょう!この曲ではリンダとデニーを使い分けたコーラスのアレンジがされています。共作者でもあるデニーはメイン・ヴォーカルは取っていないものの、冒頭からポールとのデュエットをつかさどっています。その後も歌の約半分はポールとデニーのデュエットスタイルで展開してゆきますが、先述のせつなげなポールのヴォーカルと枯れた味わいのデニーのヴォーカルがうまい具合にマッチして、せつなさを増幅させています。同時にやさしさも感じられ、聴いていて最高に気持ちいいのです。リンダさんも随所でコーラスで参加していますが、やはり聴き所は後半の「ウー」によるコーラスワークでしょう!これはぜひ一度聴くことをお勧めします。ウイングスの醍醐味の1つであるコーラスワークはこれだ!といった趣。ポール、リンダそしてデニーの3人のハーモニーはいつ聴いても美しいです。エンディングの“Silver rain was〜”の後ろに入るコーラスもきれいですね(リンダさんの声がよく目立つ)。演奏から浮くどころか完璧なコーラスできれいに曲を飾るヴォーカルは、これまた「控えめ」ですね。

 歌詞は、タイトル『London Town』通りに雨の日の午後のロンドンの光景を歌ったもの。繰り返し歌われる“Silver rain was falling down〜”の一節は、まさにレコーディングの時のロンドンそのまんまです(恐らく偶然でしょうけど)。どんよりと曇ったロンドンの空が浮かんできそうです。主人公がロンドンを散歩しながら街の人たちの何気ない光景をつづったものとなっていて、歌詞にはフルートを吹く客引きや道行く人たち、笑い話で妻を楽しませる俳優といった人物が歌われています。かつてビートルズ時代にリヴァプールを歌った『Penny Lane』とは違い、こちらの登場人物は架空だと思われます。“Oh where are there places to go?(あぁ 一体どこに行き場所があるのだろう?)”という一節が主人公の孤独さや、常に変わってゆく街中の空しさを滲ませているかのようです。これに先のポールのせつなげなヴォーカル&リンダ・デニーのコーラスが絡み合って、せつなさが増幅されるというわけです。そして気になるのが、後半でお巡りさん(なぜかピンクの風船を足元に絡ませている)に突如逮捕されてしまった主人公は一体どうなったのか・・・という点。一体何の罪で・・・?(笑)

アルバム「ロンドン・タウン」のジャケット撮影の際の1こま。

 ここからは補足的な話をしてゆきます。まずアウトテイクですが、比較的多数見つかっている「ロンドン・タウン」セッションのアウトテイクの中で、残念ながらこの曲のアウトテイクは発見されていません。しかし、1977年2月に放送された番組「Count Down 77」で、この曲をリハーサルで演奏するウイングスの様子が取り上げられたことがあり、この音源がブートに収録されています(「Water Wings」など)。残念ながら断片しか放送されていなく、後半のギターソロの部分しか聴くことができませんが、貴重な音源です。

 この曲は、『With A Little Luck』『I've Had Enough』に続いてアルバムからの第3弾シングルとしてシングルカットされました(B面は『I'm Carrying』)。が、英国60位、米国39位と全く振るわず・・・。なぜかご当地である英国よりも米国の成績の方がよかったのがおかしいですが(苦笑)。シングルは不振に終わりましたが、これは曲の質が悪かったのではなく、そもそも「ロンドン・タウン」収録曲がこじんまりしたものが多く、シングルとして小出しにするのではなくアルバム全体で初めて曲の魅力が輝いて見えるという特徴があるからです。第2弾シングルとなった『I've Had Enough』も、アルバムでは程よいスパイスなのに、シングルでは圧倒的に弱いですから(汗)。「ロンドン・タウン」でシングルとしても通用する曲は、第1弾シングルの『With A Little Luck』くらいでしょう(こちらもB面が既に『Backwards Traveller/Cuff Link』とネタ切れ状態・・・)。だから、この成績というのも当然の結果なのです。無理にシングルカットしなくてもよかったのでは・・・?というのが正直な感想です。ちなみに、当時DJ用にプロモ・エディットも制作されましたが、これは間奏をカットしたものです。まったりしていると「あれっ?」と拍子抜けしてしまいます(笑)。「London Town Sessions」などのブートに収録されています。

 また、この曲はシングル発売されたためプロモ・ヴィデオが制作されています。監督は、あのビートルズ最後の映画「Let It Be」と同じくマイケル・リンゼイホッグ。録音の方は5人で行われていますが、プロモ制作時にはジミーとジョーが脱退していたため、アルバムジャケットと同様プロモにはポール・リンダ・デニーの3人だけが参加しています。内容は歌詞の再現をすべく、ウイングス3人が道路を歩いてゆくというものです・・・が、なんとこれは実際のロンドンの道路ではなく、スタジオ内に設置された道路のセットです!これがあからさまにセットと分かるもので、なんともチープな出来なのですが・・・(苦笑)。それでもなかなか憎めない内容になっています。現在はプロモ集「The McCartney Years」で見ることができるのでぜひ一度ごらんください!

  

プロモ・ヴィデオは歌詞の再現を行っています。左写真の俳優はヴィクター・スピノッティです。

 プロモは3人が腕を組んで道を歩き出す所から始まります。3人とも寒々しいロンドンの気候に合わせてかコートを着ていますが、これがなかなかお似合いです(ただしポールは女性用のコートを着ているらしい・・・)。そしてなぜか3人とも靴を履いていません(苦笑)。この点はポールも「The McCartney Years」で指摘していますが。淡々と、孤独そうに歌いながら歩いてゆく様子は歌詞の主人公のイメージそのものですね。道路の脇には多数のエキストラが登場し、歌詞の再現を行っています。フルートを吹く客引き、道を行き交うごく普通の人々、妻を楽しませる俳優、ピンクの風船を身につけたお巡りさん・・・と、歌詞そのままの人々が出てきます。どの人たちも歌詞のイメージ通りで印象的なのですが、特筆すべきは俳優役でしょう。実はこの俳優、ポールの親友であるヴィクター・スピノッティなのです。ビートルズ・ファンならご存知でしょうが、「A Hard Day's Night」「Help!」「Magical Mystery Tour」とビートルズの映画に3本も出演した人物です。「A Hard Day's Night」ではTV番組のディレクター役、「Help!」では科学者役で登場しユーモラスな存在が光っていましたが、このプロモでは顔面に真っ白な化粧をして、ティーカップを持っておどける俳優にすっかりなりきっています。ユーモラスな表情はここでも健在です。エキストラの中でも特に個性を発揮しています。

 こうしたエキストラを脇目にポールたち一行は淡々とひたすら道を進んでゆくのですが、途中で急に踊りだすのが面白いです(笑)。お世辞にも上手ではないですが、笑って許せてしまうのはこの3人だからでしょう。やはり、ウイングスの根幹はこの3人の仲のよさ・ユーモラスさなんだなぁと改めて思います(『Helen Wheels』『Mull Of Kintyre』のプロモもそう思わせますが)。後半のギターバトルは、実際にポールとデニーがギターを弾いて再現。ここはちょっとした見所です。その後登場する、ポールが「露出狂」になっているシーンはなんともいえないですが(苦笑)。最後は3人が再び腕を組んで元来た道を戻ってゆく所で終わります。ウイングスが3人になっていた時期なのでちょっと寂しい所もあるプロモですが、3人の息の合った、味のある演技を堪能できるプロモです。デニー好きである私としたら、メンバー数の減少に比例してデニーの出番も増えているので、そこもこの時期のうれしい所ですね。

 冒頭で述べた通り、私はアルバム「ロンドン・タウン」の大ファンなのですが、アルバムを初めて聴く際最初にこの曲が流れてきた時、「これは好きになるアルバムかも!」と直感しました。『With A Little Luck』と並んで、アルバムを好きになるきっかけとなった曲です。英国を思わせる音作りと、癒し系の「控えめ」サウンド(『I'm Carrying』『With A Little Luck』もこの系列ですね)がお気に入りです。ドライヴで聴くとついつい「まったり運転」になってしまいます(笑)。聴くたびにますます好きになってゆき、今ではTOP 10に入ってしまうかと思うくらいのお気に入りとなっています(このコラムでは44曲目の紹介となってしまいましたが・・・)。私の大好きなデニーとの共作ということもありますし。お気に入りのアルバム「ロンドン・タウン」の誕生に大きく貢献したデニーに感謝です。私は英国に行ったことはありませんが、この曲を聴くとロンドンに行った気分になります。実際にロンドンの街中を歩きながら聴くときっとはまるのでしょうね。それでプロモの再現をする、と(さすがに靴を履かないのはやばいですが!)。アルバム「ロンドン・タウン」を知り合いの方に紹介した所、この曲を聴いてすぐに「'70年代風だ!」と言っていました(ちなみにその人は『Mull Of Kintyre』がお気に入りに)。

 この曲といえばアルバムジャケットも忘れてはいけませんが、初めて見たときから好きでしたね。寒そうなポール、腕を組んで微笑むリンダ、そして地味ながらここでは前面に出ているデニー。黒白写真なのがこの曲に似合っています。当初アルバムタイトルはヴァージン諸島での洋上セッションから「Water Wings」と名づけられる予定だったそうですが、もしそうなっていたらアルバムの雰囲気もがらりと変わっていたでしょう。ジャケットももちろん・・・。蛇足ですが、裏ジャケットのカラー合成写真は面白いですね(笑)。

 この曲は、一般的にも知られていませんし、ベスト盤にも収録されていません。しかし、英国を思わせる穏やかな作風はぜひ味わっていただきたいです。アルバム自体ウイングスの諸作でもまとまりがあって聴きがいありますので、アルバムの他の曲と一緒に聴くことをぜひぜひお勧めします。この曲を聴かずにいるのは本当にもったいない!

 さて、次回紹介する曲のヒントですが・・・「動物保護ソング」。お楽しみに!!

 なお、今回は番外編第2弾としてデニー・レインの「あの曲」も紹介していますので、そちらもごらんください!!

 (2009.1.24 加筆修正)

  

当時のシングル盤。/アルバム「ロンドン・タウン」。デニー・レインの影響が大きい、英国・アイルランド風味漂う癒し系の名盤。私の超お勧め!

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