Jooju Boobu 第34回

(2005.7.03更新)

Mrs.Vanderbilt(1973年)

 今回は、「Jooju Boobu」では初紹介となるアルバム「バンド・オン・ザ・ラン」より、『Mrs.Vanderbilt』を紹介します。「バンド・オン・ザ・ラン」は、ご存知の通り、3人編成だったウイングスがその固い結束で作り上げた大ヒットアルバムで、ポールがビートルズ解散以降初めて全英1位(7週連続!)・全米1位を獲得、1年間で600万枚もの売り上げを誇るほど、驚異的な売り上げを見せたアルバムです。そして、「ウイングス最高傑作」の呼び声も高いアルバムです(それが適切かはともかくとして・・・)。そんな中、今回紹介する曲は、そんな名盤の中でも一般的には知られていない(苦笑)1曲、『Mrs.Vanderbilt』を語ります。しかし、一般的に知られていなくとも、この曲の価値が低いことは決してなく、それはコアなファンの間では人気の高いことが証明してくれます。地味ながらも個性を発揮しているこの曲の魅力を、今回は語ってゆきます。なお、正式なタイトルは『Mrs.Vandebilt』ですが、私はCDケースに書いてあった『Mrs. Vanderbilt』表記で誤って覚えてしまったため、ここではあえてその表記とさせていただきます(苦笑)。不作為な誤記ではないのであしからず・・・。

 それでは、まずはこのコラムで初登場となる名盤「バンド・オン・ザ・ラン」ができるまでの経緯を説明しておきましょう。時は1973年中旬に戻ります。相次ぐシングルのヒットと、アルバムやコンサート・ツアーの成功に満足していたポール。TV番組にも出演するなど、順調にウイングスを軌道に乗せていました。そんな間に既に新曲を蓄えていた彼は、コンサート・ツアーを終えるとニュー・アルバムのレコーディングをのんびりと行うべく、英国を離れてナイジェリアのラゴスに行こうと提案します。なぜ突然アフリカだったのかは、ポールのみぞ知る永遠の謎ですが(笑)、EMIスタジオのカタログの中から選んだそうです。この後もしばしば信じられない場所でのレコーディングを思いつくポールですが、その先がけといってよいでしょう。

 しかし、ウイングスは知らない間に崩れかかっていました。まず、ヘンリー・マッカロク(ギター)が、音楽観の相違を理由に突如脱退したのです(7月)。これにはまだ仕方ないな・・・という点もありますが、さらにこれに続き、ラゴスに飛ぶ直前になってデニー・シーウェル(ドラムス)が「アフリカに行くのはいやだ」と駄々をこねだして(笑)脱退(9月)。それが本当かは不明ですが、やはりポールの突拍子ないレコーディング計画は抵抗感を覚えるものだったんでしょうねぇ・・・。こうして、好調だったウイングスの突然のメンバー欠落に、さすがのポールもショックを受けました。しかし、レコーディングは行わないといけないし、ラゴス行きの航空券も(恐らく)手に入れていたポール。仕方なく、残った愛妻リンダと、居残ってくれたデニー・レインと共にラゴスへ向かったのでした。この時点でウイングスは、たったの3人になってしまいました。おまけに、ラゴスでは大雨に見舞われ、続いて泥棒に襲われデモテープを盗まれ、さらに熱射病にかかったポールが危うく命を落としかけるなど大変な目に次から次へとあったのですから・・・。ポールもとんでもないくじを引いてしまったようです。とても「のんびりヴァケーション気分」ではなかったようです(苦笑)。

 しかし、残されたウイングス・・・つまりマッカートニー夫妻とデニーの結束は固いものでした。ラゴスでは先述のような災難続きでしたが、それがウイングスのレコーディングに影響を与えることはありませんでした。2人もメンバーを失ったことに対する危機感が、かえってほどよい緊張感を生み、レコーディングは順調に進みました(ラゴスのスタジオが未完成という事態もありましたが・・・)。ポールが元来のマルチ・プレイヤーだったことが幸いし、欠員だったリード・ギターとドラムスもポールが担当することでカヴァー。リンダはもちろんながら、デニーも極めてポールに協力的でした。ラゴスでのセッションで録音された一連の音源は、本国に持ち帰ってオーバーダブやミキシングを行われました。こうして完成したアルバムが、「バンド・オン・ザ・ラン」。その年の12月に発売されると、あとは最初に述べたとおり。英米はじめ世界中で大ヒット。ポールのビートルズ解散後のソロ活動で一番売れたアルバムとなりました。グラミー賞3賞を獲得するなど、ロックの歴史にその名を刻みました。メンバーの脱退や過酷なレコーディングという逆境を乗り越え、3人編成のウイングスは見事栄冠を手にしたのでした。

 こうした結果から、アルバム「バンド・オン・ザ・ラン」は、しばしば「ウイングス最高傑作」と呼ばれています。実はこの表現、あまり適切ではないのでは・・・というのは私の考えなのですが(汗)。当時のヒット状況はすごかったですが、実質的には次作「ヴィーナス・アンド・マース」の方が、曲にきらびやかさを感じられ、演奏もしっかりしていて、エンターテインメント性の高い傑作と呼べるのでは・・・思っています。しかし、このアルバムもまた名盤であることは私も異論はありません。2つの大ヒット曲が収録されているのもそうですが、なんといっても統一感があります。ポールのアルバムはしばしば様々なカラーを持つ曲で構成され、それゆえ散漫な印象もありますが、ここではそれが見られません。一部、コンセプト・アルバム的要素を持っているのも、アルバム全体をつらぬくテーマを感じさせます。1曲1曲の完成度が高いのも特徴的です。サウンドはフルバンドではないためラフな面が目立つのが残念ですが・・・。それでも3人で、危機的な状況下でよくここまでしっかり作り上げられた!と素直に感嘆してしまいます。

 と、ここまでアルバムの話をしましたが本題に入ります。この『Mrs.Vanderbilt』は、シングルカットされたわけでもなく、特にポールが気に入って取り上げるわけでもなく、名盤「バンド・オン・ザ・ラン」の中でも地味なのですが、他の曲と同様強い個性を発揮しています。決して目立たないわけではありません。そして、そんなこの曲の色を決めているのは・・・ずばり「アフリカ」です!

 実は、「バンド・オン・ザ・ラン」の収録曲は、ほとんどが既にラゴス到着前に書かれていたものですが、中にはラゴス到着後に書かれたのでは?と思わせる曲もあります。たとえば、降り続く雨にうんざりする様子を歌った『Mamunia』なんかはその一例で、歌詞から見てラゴスのモンスーンを歌ったものと分かります。そして、この曲も、またラゴス到着後に書かれたのでは?と思わせる節がいくつかあります。追い追い説明してゆきますが、特に曲調やアレンジに関してはアフリカの影響を多大に受けているといえます。さっきの『Mamunia』にはコンガが印象的に使用されていたり、『Bluebird』も鬱蒼とした森を思わせるようなできですが、アルバム中最もアフリカ色の強い曲といえるのが、この曲なのです。

 この曲のリズムは、大雑把に言えばポップロックに該当しそうな類です。しかし、普段のポールが書くロックとは一味違って聴こえます。それはなぜ・・・?といえば、ここにアフリカ的要素が絡み合ってきているのです。力強く重低音を効かせたビートは、単なるロックビートではなく、アフリカンビートの様相を携えています(『Helen Wheels』も思えばそんな感じ)。後で触れますが、ドラムス以外の他の演奏も、骨太で泥臭い印象で包まれています。これは当時のウイングスがフルバンドではなかったことや、スタジオが完全なものでなかったことでこもった音になっているのも影響していると思いますが、ポールがアフリカの民族音楽を意識した結果ともいえそうです。このセッションでは、結果的にアフリカに影響されなかった曲の方が多かったのですが(『Band On The Run』とか『Jet』とか)、やはり現地の空気を吸うとポールの作風も新たな発想を得るようです。現地の演奏家(フェラ・ランサム・クティ)に「ポールはアフリカ音楽を盗みに来た」と言われ騒動になったそうですが、完全ではなくともその雰囲気をなんとなく(あくまで自己流に)盗んでしまうポールでした(笑)。そういうわけで、この曲はポールのラゴス行きという無茶な旅行計画がなければ、存在し得ない曲だったのかもしれません。アフリカ魂という個性が焼き付けられた一番の楽曲でした。

 楽器面を見てみると、ほとんどがアコースティックであることに気づかされます(エレキサウンドはベースとキーボード、そしてエレキギターのソロのみ?)。そのためか、全体的に乾いた空気が漂う演奏です。もしかして、アフリカのからっとした天候に影響されたのかも・・・(実際は多湿でポールが倒れるほどだったそうですが)。曲を引っ張ってゆくのは3つの楽器。まずは根底を担うアコースティック・ギター。2本がステレオ左右に分けられています。これだけ取り出して弾き語りもできそうなスタイルで、そのストロークにはアップテンポに聴かせる勢いがあふれています。ちょっとスパニッシュ風味も感じられるのが(特に右ステレオ)異国情緒を出していていい味です。後の『Deliver Your Children』などにつながるサウンドです。キーボード類がないため、この2本のギターが曲の主役と言っても過言ではないでしょう。間奏にはちらっとエレキギターのソロが登場します。続いてポールのベース。これがまたよく動き回っていてグルーヴ感を出しています。ベスト・プレイとまではいかないものの、よくファンの間では定評の高い演奏です。アフリカらしい重さを引き出した演奏ですね。

「バンド・オン・ザ・ラン」でマルチ・プレイヤーぶりを披露したポール。ドラムスもお手の物!

 そして、やっぱり一番耳が行ってしまいがちなのが、ドラムスでしょう。デニー・シーウェルが(例の駄々で)脱退したため、この曲でもポールがドラムスをたたいています。ポールのドラミングは、同時期の『Band On The Run』や『Let Me Roll It』を聴くと分かるように、素人ならではの癖があり、若干スカスカでヘロヘロな、貧弱なリズムになっています(汗)。しかし、これがこの曲にはぴったりで、スタジオの音響の悪さのせいか重く乾いたサウンドになっているのもあいまっていい味を出しています。上手かと言われればちょっと違うかもしれませんが(苦笑)。もちろんアフリカンビートぽさを出しているのは言わずもがでしょう。“What's the use of worrying?”の部分で入る、下手なのか上手なのか分からない、「ヘタウマ」なフィルインが、ここでは効果的です。効果的になっていない曲もあるので「ドラマーポール」の活躍は手放しで賞賛できませんが、この曲の個性を決めるには欠かせない存在となっています。そして最後に、間奏でアクセント的に入るサックスソロが、短いながらも耳に残ります。これを演奏したのはハウイー・ケイシー。ポールのリヴァプール時代の旧友であり、これ以降のウイングスのコンサート・ツアーに必ず参加するホーン・セクションの一翼を担うこととなります。ちなみに、ポールが直接指導をしたといわれる前曲『Bluebird』のサックスソロもハウイーによるものです。

 アフリカ色が強いのは曲のリズムと楽器面だけではありません。それが最初から最後まで印象的なコーラスです。そう、一聴してすぐお分かりの「ホ、ヘイホ!」です。この掛け声が曲を通して随所で繰り返し使われていますが、どこかアフリカの先住民の掛け声を思わせます。きっとポールから見たアフリカ人のイメージがこんな感じなのでしょう(笑)、これからしてもこの曲がラゴスで書かれたことを裏付けてくれそうです。ちなみに、よくこの「ホ、ヘイホ」が北島三郎の「与作」に似ているという話を耳にしますが、「与作」は1978年発表なので少なくともポール側からは何の関連性もないです(苦笑)。そして、「ホ、ヘイホ」は、同じアルバム後半の『ピカソの遺言』のエンディングに突如登場し、アルバムにコンセプト要素を与えています(この曲とは別録音ですが・・・)。

 この「ホ、ヘイホ」もそうですが、この曲はヴォーカル面が非常に面白い内容で、聴いているだけで楽しくなってきます。それを生み出す元凶となっているのが、歌詞の内容です。これまたアフリカを意識したかのような詞作で、よっぽどポールがラゴスに触発されたんだなぁと思わせます。タイトルの通り「ヴァンデビルトさん(Mrs.Vanderbilt)」が登場する物語風の歌詞ですが、架空の第3者が登場するのは言わずもがポールのお得意技。そのヴァンデビルトさんは、ジャングルでテント暮らしをしてその日その日を気ままに過ごす女性として描かれています。何を心配することなく、何を急ぐことなく、大らかな気持ちで生きる姿は、ポールの夢見るアフリカ人像なのか否か(笑)。少なくとも、時間や仕事に縛られ毎日をいそいそと暮らす欧米人とは違う世界の人間でしょう。なぜか、後半の歌詞では彼女の名前が「ワシントンさん(Mrs.Washington)」に変わっているのが謎ですが・・・。音は砂漠のように乾いた世界なのに、歌詞の舞台はジャングルというのが面白いところでしょうか。

 そんなユニークな生活を送る人のことを、ポールは面白おかしさを混ぜながら語りぽく歌ってくれます。出だしの早口はポールお得意のハーフスポークンを思わせますし、メロ・サビでは比較的音数の少ないキャッチーなメロディを伸びやかに歌います。そして、この曲のコミカルさが一番出ているのがコーラス(リンダ、デニーも参加)。どこか勇ましさも感じますが、ヴァンデビルトさんの台詞にあたる“What's the use of worrying?(心配して何の得になるの?)”の繰り返しが楽しいです。ちょうどさっきのヘタウマフィルインが入る箇所であり、これもあいまって非常に面白い箇所です。複雑に展開してゆく曲の中でも、この部分は何度も登場し、耳に残ります。後半にはポールが台詞への返答として“No use!(意味なし!)”と合いの手を入れて、ますます面白さに磨きが増しています。これと、「ホ、ヘイホ」が交代で登場することによって、この曲の面白さが築き上げられているのです。さらに、終盤の繰り返しには何やら楽しそうなガヤガヤした声が聞こえてきます。これはまさにこの曲の楽しさ・面白さの真髄と言えるでしょう!サルみたいな声を出しているのはポールでしょうか(笑)。これもアフリカを意識した?

 とにかく、このように理屈抜きに楽しい曲なのです。アフリカという異色の雰囲気が、ユニークであるゆえの面白さを聴く側に与えているのかもしれません。もちろん、あくまでもそれは我々(ポール含む)が先入観で見たアフリカの雰囲気なのですが・・・。リズム、サックスソロ、歌詞、ヴォーカル、コーラス・・・と、とにかく楽しいです。この曲を嫌いだと言う人にはその理由を尋ねたいくらいです(苦笑)。嫌いにはなれない、そんな不思議なマジックをこの曲は持っているのです。

 ここからはちょっとマニアックな話を。まず、アウトテイクですが、残念ながら発見されていません(汗)。これは「バンド・オン・ザ・ラン」期全体に言えることで、この時期のアウトテイクはブートでも出回っていません。1999年にアルバムの25周年記念盤が出た際も、後年録音されたアウトテイクばかりが収録されたほどです。これは、単にアウトテイクが流出していないだけかもしれませんが(苦笑)、苦境の中短期間でアルバムを完成させようとしたがために、無駄なお蔵入り曲が生まれることなくさっさと録音を終わらせてしまったから、というのが大きいかもしれません。それでも未発表曲はなくとも、アウトテイクくらいは残っていそうなのですが・・・。

 そして、この曲、一応シングルカットされています・・・ただし一部ヨーロッパだけ!『Bluebird』をカップリングにして発売されたようですが・・・。英米ではもちろんシングルカットはなし。

 もう1つは、ライヴです。アルバム「バンド・オン・ザ・ラン」は、チャートでの大成功ぶりと、ポールのお気に入り度が高いせいか、収録曲の多くがライヴ演奏された実績があります。最近のポールが『Band On The Run』『Jet』『Let Me Roll It』を偏重して演奏しているのはおなじみですし、『Bluebird』『No Words』『ピカソの遺言』もウイングスで取り上げられています。この曲は、そんな中で数少ないライヴ未演奏曲であり、ウイングス時代の曲を演奏しなくなった最近のポールを考えればライヴ演奏は絶望的だったのですが・・・。なんと!ポールが発売から35年近く経って、ようやくこの曲をライヴで演奏したのです!

 その最初のお披露目がかなったのが、なんとウクライナ。ポールがこの地でライヴ演奏するのはこれが最初でした。2008年6月14日、ポールは首都キエフのインデペンデンス・スクエアでフリー・コンサートを開催しますが、そこで突如演奏されたのでした。「ホ、ヘイホ」の掛け声は確かにロシア民謡風で、ウクライナにはぴったりかもしれませんね(苦笑)。実は、ウクライナのファン投票では「この曲をライヴで!」という声が多かったそうな・・・。その後も、翌7月のケベック市政400周年コンサートや、9月のイスラエル公演でもこの曲は続けて演奏されています。ビートルズ偏重気味のポールのセットリストに、まさかのウイングス曲登場でファンも大変喜んだことでしょう(ちょっと前にはソロですが『Too Many People』を大胆に取り入れていますが)。ポールは最近ツアーに出ていませんが、仮にツアーに出るとしたらぜひこの曲は続けて演奏してほしいですね。『Let Me Roll It』のようにやりすぎでマンネリ化するのも問題ですが(汗)、数少ないウイングスナンバーのレパートリーなので残してほしいです。ちなみに、ライヴでは基本的にオリジナルと同じアレンジ(サックスソロやドラムスのフィルインも!)ですが、ライヴならではアップテンポ気味なのはやはり躍動感あってうれしいですね。また、オリジナルはフェードアウトなので、ここでは完奏しています。サックスソロはウィックスがキーボードで再現しています。

ウクライナでのフリー・コンサートでこの曲を披露するポール(2008.6.14)。

 アルバム「バンド・オン・ザ・ラン」、特にA面には、この曲の他に一大名曲『Band On The Run』『Jet』と、ライヴや「ウイングスパン」でおなじみの『Bluebird』『Let Me Roll It』が収録されていて、この曲のみが一般的に知られない、あまりフィーチャーされない曲です。そのため、本来なら埋もれてしまうはずなのですが、そうさせないのは異色の雰囲気と曲の完璧さ、そして何と言っても楽しさでしょう。とにかく、楽しいです!「バンド・オン・ザ・ラン」が傑作とまで言われるのは、各曲の強いインパクトあってこそでしょう。そして、この曲のライヴ初披露によって、ますますポールの「バンド・オン・ザ・ラン」好きが明らかになったのでした(苦笑)。もはやライヴ演奏されたことのないのが『Mamunia』と『Nineteen Hundred And Eighty Five』(と、『Helen Wheels』)のみという事実・・・。

 私が最初に聴いたポールのアルバムは、(多くの方がそうかもしれませんが)「バンド・オン・ザ・ラン」でした。そのため、聴く前に固定観念として抱いていた「ポールのソロ(ウイングス)はキャッチー」という印象を見事壊してくれたのですが・・・(苦笑)。そのショックのせいかしばらく聴かずにいて、ひさしぶりに聴いた時にはまったのがこの曲でした。というわけで、私が極めて初期段階で一番好きなポールの曲でした(しばらくして『Temporary Secretary』にその座を奪われるまで・・・)。なので、個人的には思い入れの強い曲です。何度も書いていますが、とにかく楽しいですから楽しんで聴きましょう。一緒に歌っても踊ってもかまいません、とにかく楽しみましょう!同時に、ポールのアフリカの風土に影響され自ら消化した妙なアフリカンムードに浸ってみましょう!個人的にはポールのヘタウマドラムスが好きですね。特に、やっぱり“What's the use of worrying?”の部分がすごく好きです。この部分は本当に楽しくて一緒に歌いたくなってきます(“No use!”も面白い)。

 そういえばこの曲、1979年に一世を風靡するあのダンス・ナンバー「ジンギスカン」に似ていません?この曲を聴いていると、あたかもこの曲は「ジンギスカン」のプロトタイプみたいな気がします。そう考えると、この曲、キャンプファイアーを囲んでみんなで踊ると意外とはまるかも(笑)。

 さて、次回紹介する曲のヒントですが・・・「風変わりなヴォーカル」。お楽しみに!!

 (2008.11.08 加筆修正)

  

(左)ドイツで発売されたシングル「Mrs.Vanderbilt」。英米では「Jet」「Band On The Run」のみシングルカット。

(右)アルバム「バンド・オン・ザ・ラン」。最高傑作とまではいきませんが、間違いなく名盤でしょう。ポールを聴く者は必携!

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