Jooju Boobu 第15回
(2005.4.28更新)
Getting Closer(1979年)
今回の「Jooju Boobu」は、前々回『Rockestra Theme』に続き、1979年に発表されたウイングスのラスト・アルバム「バック・トゥ・ジ・エッグ」の曲を語ります。ボーナス・トラック収録の『Wonderful Christmastime』を含めると、実に3曲連続「エッグ」からの紹介となります・・・!今回はというと、実質的なオープニング・ナンバーである『Getting Closer』を語ります。一般的には有名ではありませんが、ポールをよく知るファンの間では結構人気の高い曲です。もちろん、私も大好きな曲で、だからこそ15番目に取り上げているのです。
「バック・トゥ・ジ・エッグ」の頃のポールは、ウイングスが新たなラインアップになったこともあり、創作意欲が満開でした。共同プロデューサーにクリス・トーマスを迎えている所からもその意欲がうかがえます。特に、ロック・テイストあふれる曲が目立っていて、さらに『Goodnight Tonight』や『Spin It On』、『Old Siam,Sir』などでは、ディスコやパンク、ニューウェーヴといった時代の最先端の音楽との融合を試み、ポールの諸作品の中では実験的な傾向があることはよく知られています。前作「ロンドン・タウン」とは全く逆に、当時の流行を敏感に捉え、吸収し、果敢に立ち向かっていった時期だったのです。
そんな中、この『Getting Closer』もロック・テイストあふれる曲ですが、前述の曲たちとは違う点があります。それは、実験的な色合いを薄めた、純粋にストレートなロックである、という点です。「ロックへの回顧」「ウイングスの原点に戻れ」を目指したアルバムの中でも、存在感を発揮させ、人気も獲得しているこの曲について、ぼちぼち語っていきましょうか。
実は、この曲が出来上がったのは、「バック・トゥ・ジ・エッグ」の発表された1979年から遡ること5年、1974年のことです。まだローレンス・ジュバーとスティーブ・ホリーが加入する前、絶頂期ウイングスが始動し始めた頃です。そんな時期からこの曲が存在していたこと自体驚きですが、この曲のピアノ・デモが残されているブート「The Piano Tape」には、同じく「エッグ」で陽の目を見た『Rockestra Theme』や『Million Miles』も収録されていて、かなりの曲が寝かされていたことが分かります。1974年のヴァージョンはピアノ・デモですが、公式発表されたものと聴き比べると、全く印象が違います。もちろん、ピアノ・デモということもありますが、最大の違いとして、公式版はロックのアレンジがされているのに対して、デモではミドル・テンポのポップのアレンジがされています。それこそポール典型のポップのリズムで、これを基にしたアレンジで発表されていたら、だいぶ印象も評価も変わっていたと思います。なお、この時点では出だしの部分(サビ)は歌詞含め(若干違うものの)完成していますが、メロの部分が全く違うメロディになっています。公式発表されるメロに比べるとインパクトもなく、演奏の流れを断ち切るような感じになってしまっているので、差し替えは妥当だったと思います。歌い方もなんだかお遊びというか滑稽ですし・・・。蛇足ですが、同ブートでこの曲の前後に未発表曲『Women Kind』『In My Dreams』がほぼメドレー状態(続けて演奏した?)で収録されていますが、これが最大に滑稽で聴くたびに笑ってしまいます。
さて、1974年ではポップ・ナンバーだったこの曲は、1978年に始まった「バック・トゥ・ジ・エッグ」セッションで取り上げられることとなります。そして、ウイングスの新加入メンバー2人や、当時のロック・シーンの風潮に影響されて、この曲のアレンジも大きく変貌を遂げることとなります。冒頭でも触れた通り、そして曲をお聴きの通り、ウイングス随一のロック・ナンバーと化したのです。それも、何のひねりもないストレートなロック・チューンに。もし、「エッグ」期に取り上げられていなかったら、ポップ・ナンバーで発表されていたかもしれませんが・・・、1978年後半当時のポールを囲む音楽環境は「ロック」であふれていたのです。
当時のポールは、ベスト盤「ウイングス・グレイテスト・ヒッツ」を発表後、ローレンスとスティーブを新たに加入させたウイングスの今後に関して、「原点に帰ろう」というスローガンを掲げました。文字通りの「バック・トゥ・ジ・エッグ」です。ウイングスの原点、つまりワイルドでロック感あふれるバンドサウンドに帰ろうというのです。結果的には、ディスコやパンク、ニューウェーヴの影響が入り実験的な色合いが濃くなってきましたが、前作「ロンドン・タウン」に比べると圧倒的にワイルドなロック・ナンバーがウイングスに帰ってきました。そんなポールの目標を背景に、この曲もロック化されて取り上げられたのですが、実験要素が濃くなりサウンド・アレンジ的に凝った感が強くなった他の曲と比べると、はるかにシンプルでストレートな響きを持っています。そういう意味では、非常に珍しい作品といえるでしょう。「プレス・トゥ・プレイ」期の『Angry』と同じ立場でしょうか。他の時期のポールでは、このタイプの楽曲はもっと少なくなります。ストレートさはビートルズ時代にも若干通じる趣ですが、でもそれとも違う気もします。何と言えばいいのか・・・とにかく、この曲の持つ「ストレートなロック」さは、同時期・他時期でもなかなか聴くことのできない趣です。
この曲の持つストレートさを表しているのが、曲構成です。この曲はアルバムでは2曲目に収録されています。とはいっても、1曲目の『Reception』は短いインストなので、実質的にはこの曲がオープニングを飾っています。『Reception』は、ラジオ放送をバックにポール作のインストが流れるというもので、ラジオのチューニングが合った瞬間この曲が始まる、というコンセプト感あふれる仕掛けになっています(ラジオのチャンネルを適当に変えていて、ふと流れてきた曲に耳を傾けていた、ということがあるでしょう?あんな感じです)。そして、その『Getting Closer』の出だしが、イントロがなく「ジャーン!!」一音でポールのヴォーカルが間髪入れず入ってくるというもの。これ以上痛快な構成がどこにあるでしょう!
その後も、曲は間奏もつなぎもなく、ただまっしぐらに突っ走っていきます。このスピード感がたまらないです。「サビ→メロ」の繰り返しを経て、あっという間にエンディングに流れ着いてしまいます。タイトなバンド・サウンドで繰り広げられる演奏が、その疾走感を強調しています。特にローレンスとスティーブの演奏は、硬質な印象を与えます。特に特に、スティーブのフィルインを交えたドラミングが疾走感の中核を担っています。エンディングでの盛り上げ方に注目です。絶頂期ウイングスとはまた違う、生まれたての新ラインアップによる勢いのある硬派な演奏を堪能できます。スピード感でいえばウイングス随一といっても過言ではない、痛快なロック・ナンバーです。『Jet』や『Junior's Farm』はおろか、『Hi,Hi,Hi』ですらかなわないでしょう!ポールのロック・センスにますます磨きがかかった証拠とも言っていいでしょう。それに対するローレンスとスティーブの貢献は重要視すべきですね。終盤のサビでいったん静かになるアレンジは、エンディングの盛り上がりを強調するのに一役買っていて、この辺も気が利いています。一番盛り上がるエンディングでは、スティーブもそうですが、リード・ギター(by ローレンス)のメロディも印象的で耳に残ります。重厚な雰囲気は、メロトロンを入れているから、だそうです(年が変わって1979年にオーバーダブされている)。
そして、この疾走感にもう1つ大きく貢献しているのが、何を隠そうポールのヴォーカルです。出だしから畳み掛けられる熱のこもった歌いっぷりは、タイトな演奏にぴったりです。1974年当時のお遊び風の雰囲気はどこにもありません。ほんのりポップ感を残しているのがポール流とも言いますが、エンディングのシャウト“Closer, closer”に至るまで、その力強さに圧倒されます。絶頂期ウイングスもそうですが、「エッグ」期のポールもかなりの確率でシャウトを聴かせています。のどの不調も言われていましたが、それでもこの曲や『Old Siam,Sir』『So Glad To See You Here』など、いつ聴いても圧倒される、かっこいい熱唱を聴かせてくれます。そして、リンダとデニー・レインによるコーラスがウイングスらしさを引き出しています。単なるロック・ナンバーに終わらず、キャッチーさ・ポップさを出しているのは、この点にあると言えるでしょう。タイトルフレーズ“I'm getting closer to your heart”に2人のコーラスがかぶさる部分は、まさに「ウイングスの王道!」といった感じです。一連の大ヒット曲と肩を並べるほど、といっても過言ではない、「ウイングスらしさ」たっぷりです。メロ部分でポールの歌った単語を繰り返すのもいいアレンジ(後年の『Average Person』を思い出します)。
こうした疾走感あふれるタイトでストレートでキャッチーなロック・ナンバーにのせて歌われる歌詞は、ごく普通のラヴ・ソングと、車の中の様子を描いたものの2つに分かれています。前者がサビ、後者がメロでの内容で、言わずもが前者が1974年に完成していたもので、後者が1978年に加えられたものです。メロでは、カーラジオから音楽が流れてくる様子が描かれていますが、これには前曲の『Reception』と合わせたコンセプトが見え隠れしています。元々ポールは、「バック・トゥ・ジ・エッグ」をコンセプト・アルバム化しようと考えていたらしく(結局実現しませんでしたが)、「放送」というタイトルの朗読『The Broadcast』や、「リクエストをかけて」とラジオ局に頼む内容の『Baby's Request』にその面影がしのばれます。ポールは「(アルバムは)夜遅くヴァンに乗ってコンサート会場に向かう過程をコンセプトにしようとしたんだ」と語っていますが、それはまさにこの曲の歌詞を思わせます。もしコンセプト・アルバムになっていたら、この曲の存在はかなり重要なものになっていたことでしょう。そのコンセプトたっぷりのメロの歌詞と、ごくシンプルなラヴ・ソングのサビの歌詞との好対照が、意外とはまっていて面白いです。なぜ「サラマンダ(salamander)」=「サンショウウオ」に向けて歌われているのかは謎ですが・・・(汗)。
さてここで、一般的には知られていない、この曲に関するマニアックな事実を2つばかり(笑)。1つめは、「バック・トゥ・ジ・エッグ」での曲順に関して。実は、アルバム制作中の初期段階では、この曲はアルバムの2曲目ではなかったのです!つまり、『Reception』の次はこの曲ではなかったのです!代わりに2曲目に用意されていたのは、同時期に録音されながらも未発表に終わった『Cage』(後に幻の未発表曲集「Cold Cuts」に収録)でした。アルバムのエンディング用に急遽『Baby's Request』が収録されたため、2曲目に鎮座していた『Cage』がお蔵入りの憂き目にあい、曲順が見直されたことで、当初は3曲目に『Cage』とのメドレーで収録予定だった『Getting Closer』が2曲目になったのですが・・・。ラジオのチューニングを合わせたら、「ジャーン!」という構成も、場合によってはなかった所でした。代わりに、飛び切りポップな『Cage』がその役をつとめ、その曲がスパッと終わった所で「ジャーン!」となっていたかも・・・しれません。流れ的にはちょっとインパクトに欠ける気もしますが、『Cage』のエンディングがスパッと切れているのは、『Getting Closer』につなげるためだったわけ、です。
そしてもう1つは、ブートで聴くことのできる初期テイクです。なんと!当初はポールとデニーが交互にヴォーカルを取り合う構成になっていたのです。それを想像するだけでも驚いてしまいますが、デニーがサビを、ポールがメロを歌うという構成でした。つまり、のっけからデニーのヴォーカルが入る・・・という構成だったのです!これは、曲の印象をかなり変える要素となっています。何と言っても枯れたヴォーカルが味わい深いデニーですから、ロック調のこの曲ではヴォーカルがポールに比べると圧倒的に迫力なく、へろへろな感じになっているからです(苦笑)。演奏は公式発表版と同じタイトなアレンジですが、ヴォーカルひとつで聴こえ方が全く変わってしまうのが面白いです。ポールのシャウトとデニーのシャウトではそのスタイルが全く違うことを思い知らせてくれる、興味深いテイクです。やはり、世間一般的にはポールが全部ヴォーカルを取った公式発表版をリリースして正解だった・・・でしょう。個人的には、デニー好きということもあって、実はこっちの初期テイクの方が好きなのですが(笑)。
このヴァージョンが最高なのは、デニーのへろへろヴォーカルもそうですが、エンディングの異様な盛り上がり方です。公式発表版のかっこよさとは遠い、思いきり騒ぎまくるウイングスの姿がそこに見られるからです(笑)。印象的なリード・ギターに代わり挿入されているのは、盛り上がりを強調したかのような手拍子と、ポールのシャウト“Closer, closer”に受け答えて一緒に叫ぶ他メンバー(デニー?)の滑稽なシャウトです。オリジナルのかっこよさは薄れていますが、聴いていてとっても楽しい、違った意味で盛り上がったアレンジとなっています。終盤でめちゃくちゃに“Closer, closer”と叫んでいるのは誰か知りませんが面白いです(笑)。他にも、デニーが歌うサビの歌詞が公式とは違っていたり、エンディングがフェードアウトしつつもしっかり終わっていたりと、興味深い要素がたくさんあります。「バンドでやっている!」という感は公式テイクよりも濃いと思うので、このアレンジで出していても面白かったのでは?と思います。ポールとそれ以外のメンバーがヴォーカルを分け合う曲というのも、ウイングスではほとんど見られませんし。このデニー・ヴァージョンは「Eggs Up」などのブートで聴くことができます。また、ポールが全編歌う初期テイクも存在し、「Oh, mistake」などのブートで聴くことができるようです(私は未聴)。
デニー・ヴァージョンの説明に熱が入りすぎました(苦笑)。さて、引き続きこの曲の解説を。この曲は、アルバム「バック・トゥ・ジ・エッグ」発売後の第1弾シングル(英国のみ第2弾シングル)としてシングルカットされています。「エッグ」自体ポールの自信作でしたが、中でもストレートでタイトなこの曲はその代表格としてシングルにふさわしいと思うのは、ポールのみならず皆さんもそうでしょう。シングルのB面は英国では『Baby's Request』、米国・日本などでは『Spin It On』。しかし、これほどキャッチーなロック・ナンバーであるにもかかわらず、英国で60位・米国で20位と、散々な結果に終わってしまいました。アルバムも英国6位・米国8位と伸び悩みましたが、この曲の不振という事実は「ウイングスの七不思議」のひとつに数えてもいいほどだと思います。当時のロック・シーンでも受けがよい曲だと思うのですが・・・。同時期のシングル『Old Siam,Sir』や『Arrow Through Me』はともかく、この曲までもがコケてしまったことはポールの自信を大きく傷つけることになりました。
「バック・トゥ・ジ・エッグ」の頃はプロモ・ヴィデオなど映像作品の制作も盛んに行っていたポールですが、この曲もアルバムのプロモ・ヴィデオ集のためにプロモ・ヴィデオが制作されました。撮影は他のプロモと同じく1979年秋頃。監督はポールのプロモではおなじみのキース・マクミラン。同時期のプロモはマクミランがすべて手がけています。映像の中心はスタジオ・ライヴの模様です。これを見ていると、この時期のウイングスが、絶頂期にも負けないかっこよさを持ったラインアップであることがよく分かります。夜、いろんな色のライトに照らされながらステージ上で熱く演奏するその姿は「ロックへの回顧」を目指していた時期ならではです。後方でオリジナルさながらのドラミングを繰り広げるスティーブ、意外とかっこいい(!?)デニーと、ローレンスのギタリスト2人。リンダさんはあまり目立っていませんが(汗)、ここではバンドで一体となった演奏シーンをたっぷり見せてくれます。そしてやっぱり、ポールが一番かっこいいでしょう!このプロモのために短髪にカットしていて、そこもまたポイントかもしれません。最後のシャウトも渋くかっこよく決まっています。ちなみに、この時ポールが使用しているベースはリッケンバッカー。同時期の映像作品ではヤマハのベースを使用しているため、かなり珍しい映像、ということになります。スタジオ・ライヴの合間には、ウイングスのメンバーが雨の中トラックに乗っている映像(ポールが運転している)が使われ、先述したコンセプトを含んだ歌詞の再現が行われていました。このプロモを見ていると、私はこの時期のウイングスがお気に入りなんだなぁ、と改めて思わせてくれます。かっこいい演奏も見せてくれるし、その上に面白い仕草で笑わせてくれる時もある(特にデニーとローレンス)し。音楽的にもそうですが、映像作品で見ることのできるメンバーの表情・性格なんかも好きですね、この時期のウイングスは。なお、このプロモは残念ながら「The McCartney Years」未収録です。個人的には、『Baby's Request』よりもこっちの方を入れてほしかったです・・・。
さて、前回も書きましたが、アルバム発売後、しばらくの活動休止を経て(ポールは「マッカートニーII」用の曲や『Wonderful Christmastime』を自宅で録音、後者をソロ名義で発表)、ウイングスは全英ツアーに出ます。そこでは、当時の「ロックへの回顧」のスローガンのもと、アップテンポでハードエッジな楽曲を多くセットリストに含み、力強い演奏を聞かせてくれました。そしてもちろん、「バック・トゥ・ジ・エッグ」の新曲たちも、アップテンポの曲を中心に取り上げられ、そのひとつにこの曲が挙げられました。ツアーではオープニングの『Got To Get You Into My Life』に続く2曲目に演奏され、ポールが全編でヴォーカルを取りました(個人的にはデニー&ポールの初期テイクのヴォーカル構成で聴きたかった気もしますが・・・)。エンディングのリード・ギターなどはリンダさんがムーグで再現。オリジナルのニュアンスはライヴでの再現が難しかったためか、いまいち迫力に欠ける面も否めませんが、それでも2曲目としてコンサートの盛り上げ役となりました。エンディングの盛り上がり方はオリジナル以上です。現在このツアーでの音源は、再三登場のブートの名盤「LAST FLIGHT」でグラスゴー公演を聴くことができますが、最終日のせいかポールの声が枯れ気味です・・・。それにしても、この全英ツアーのセットリストは本当にマニアックです。他時期のウイングスのツアーとは違い、いつもの定番曲に代わってマニアックな曲が目白押しですから、ね。2曲目が『Jet』でなく『Getting Closer』で盛り上げるというのもこの時期しか味わえない魅力です。
この曲は・・・当初は「なんで好きなのか分からないけど、なんだか大好き」という曲でした。ストレートなロックなので、これといった特徴がない、でもなんだか気になって仕方ない・・・そんな曲でした。このコーナーで取り上げた際も、「なんで一番のお気に入りゾーンに入れて、15曲目に紹介したのかが思い出せません」なんて書いていたほどです(汗)。しかし、しばらくして分かってきました。やっぱり、この疾走感でしょう。そして、後期ウイングスがお気に入りという点が大きいがためでしょう。特にエンディングの盛り上がり方が当初からお気に入りだったのかもしれません。あと、ウイングスらしいキャッチーさを含んでいる点。私が「エッグ」を買ったのがオリジナル・アルバム(当時)で最後だったため、この曲を聴いたのがファンになってからだいぶ後だったのですが、あの出だしのタイトルコールでのコーラスで「おっ!これぞウイングス!」と思ったものでした。最近はデニーのヴァージョンも聴いて余計好きになりました(笑)。元々デニー好きの上に、あのエンディングの騒ぎっぷりですから・・・!ちなみに、ウイングスのコピーバンドをされている「FLYING HORSES」さんのライヴで、この初期テイクヴァージョンで私がデニーのパートを歌った、というマニアックな思い出もあります(苦笑)。このヴァージョンをご存知で、見事に再現されていたバンドの皆さんにも脱帽してしまいました。
この曲は、シングルでヒットした『Jet』『Junior's Farm』『Helen Wheels』といったウイングスのロックナンバーに引けを取らないほどの佳曲です。いや、この曲に関しては「名曲」と呼んでもおかしくないでしょう!残念ながらベスト盤には収録されていないので、この曲を聴くには「バック・トゥ・ジ・エッグ」を買いましょう!!全体的にロック色の強いアルバムですので、「ウイングスのロックを聴きたい!」という方にはぜひお勧めします!!
あと、今回この曲と同時に「番外編」としてデニー・レインの「あの曲」も紹介していますので、そちらもごらんください!!
さて、次回紹介する曲のヒントですが・・・「映画の主題歌」。お楽しみに!!
(2008.5.10 加筆修正)
(左)当時のシングル盤(日本盤)。アルバムタイトルを意識してか、目玉焼きのジャケット。売れなかったのが信じられません・・・。
(右)アルバム「バック・トゥ・ジ・エッグ」。ロックテイストと実験的要素が強いアルバム。『Reception』からこの曲へのつながりは最高!