Jooju Boobu 第101回

(2006.3.04更新)

Promise To You Girl(2005年)

 今回の「Jooju Boobu」も、2005年発売のポールの最新作「ケイオス・アンド・クリエイション・イン・ザ・バックヤード(裏庭の混沌と創造)」からです。ただし、選曲はマニアックになりますが(爆)。シングルにもなっていない、ライヴでも演奏されていない、『Promise To You Girl』です。

 この曲もすべての楽器をポールが演奏しています。ギター、ベース、ピアノ、ムーグ、ドラム、そしてパーカッション。さすがマルチ・プレイヤーだけあって、不自然だったり下手だったりするパートはありません。使用された楽器を見れば分かりますが、極めてシンプルです。シンプルな音作りはアルバムに共通していますが、それでも音が分厚く聴こえるのが印象的です。ポールいわく「複雑ながらバンド的な音になった」とのこと。確かに、バンドで演奏している雰囲気です。

 付属DVD収録のポールのインタビューによれば、元々この曲は2つのパートでピアノを弾く、というコンセプトで作られたそうです。2つのパートをどう弾くか、「数学的な問題」だったそうです。その後、ドラムとベース、そしてギターが録音されて完成しました。

 曲はイントロなしで始まります。実は「裏庭の混沌と創造」、イントロなしの曲がかなり多いです。『At The Mercy』『A Certain Softness』『Follow Me』・・・(でもこれしかなかったか)。イントロなしなので、聞き手に一気に迫ってくる感じです。冒頭の部分は、ピアノ弾き語りで静かなバラード・・・?と思わせます。しかし、多重録音によるコーラスが入るとその期待は一挙に裏切られます。一転して、早いテンポにのせて陽気な感じになります。この部分でもピアノが曲をリードしています。ピアノ中心だったということが伝わってきます。

 間奏はギターソロ。後半になると音も増えてゆき、中期ウイングスにありげな懐かしいムーグの音や、リコーダーなど、よく聴くといろんな音が聴こえてきます。これが「混沌と創造」なのでしょうか。そして、最初のパートが出てくると突如として終わります。サビに戻らなかったり、サビの直後で終わってしまうのは、このアルバムに特徴的です(顕著な例:『A Certain Softness』)。あっけない感じもしますが、恐らく曲を短くしなさい、というプロデューサーのナイジェル・ゴドリッチの指令だったのでしょう。シンプルでまとまりがあり、ポールがよく陥りがちな繰り返し漬けを防いでいます。

 この曲は、ロックポップチューンと言えそうですが、どこか独特の雰囲気を持っています。「ロックオペラ」と形容すべきか、古典風な感じがするのです。某Jさん(爆)が『Keep Under Cover』に似ていると指摘されていましたが、まさにその通りで、よくぞ気づかれた!と感心してしまいました。イントロなしのピアノ弾き語りで始まり、古典風なアップテンポに変わってゆく構成はまさに似ています。ポール、もしかして『Keep Under Cover』を狙った!?この「ロックオペラ」的雰囲気は、曲もそうですがヴォーカルにも現れています。あの多重録音のコーラスです。覚えやすく、つい一緒に歌いたくなるメロディをしています。この部分ではドラミングがスローになるのが印象的です。後半のインスト部分は、どこか『London Town』にありそうですが・・・(ポール、これも狙った!?)。CDのライナーノーツに書いてありましたが、これも鋭い所をついています。Jさんもビートルズ・クラブも、よくこの類似に気づいたものです(爆)。

 歌詞は普通のラヴソングですが、ちょっと陽気に希望感あふれる感じがします。そして注目すべきは、出だしの“Looking through the backyard of my life”というくだりです。そう、ここからアルバムタイトル「ケイオス・アンド・クリエイション・イン・ザ・バックヤード」の「バックヤード」がとられているのです。前半は『Fine Line』の、後半はこの曲の歌詞からの合成語だったのです。当初アルバムタイトルはこちらのみを取った「バックヤード」になる予定だったそうです(ウイングス時代のブート盤みたいなタイトル・・・)。

 先述したアルバム付属のDVD(初回限定盤のみ)に収録されているインタビューでは、この曲を演奏するポールの姿を見ることができます。冒頭部をピアノ弾き語りした後、インタビューを挟んで(編集されているものの)演奏が収録されています。やはりピアノを弾く姿が印象的で、ピアノが中心の曲だと思わせます。ギターを弾く様子が出てこないのが少し残念ですが、ドラマー・ポールや、タンバリン・トライアングルをたたく様子もあります。1人多重録音を垣間見れます。

 この曲は、特に目だった事項がありませんが、ファンの間でもけっこう高い人気が期待できそうです。私も、アルバムで大好きな曲です。シングル曲でもある『Fine Line』を除けば1番好きです。『Keep Under Cover』が好きなせいなのかもしれませんが・・・。でもそれ以上に影響を及ぼしているのは、間違いなく「Create Chaos」でしょう(爆)。「Create Chaos」とはポールの公式サイトで公開された企画で、「裏庭〜」の曲のパート・断片をベースにリミックスをできるソフトを使って、自分独自のミックスを作ってポールに送ろう!というものです。実は私、アルバムを聴く前にこれで遊びまくったというユニークな経緯を持っていたのです。そのため、「Create Chaos」の断片で頻繁に使用できるこの曲のロックオペラ風コーラスの部分が耳に残ってしまい、この曲を好きになってしまったというわけです(爆)。「Create Chaos」に使用された音源は、テンポを合わすためオリジナルとかなり違うマテリアルもありますが、この曲のは(完全に、またはほぼ)オリジナルと一緒のものなので・・・。まぁそんなこんなで大好きな曲です。

 イラストは、『Fine Line』に続き「らき☆すた」の柊つかさです。実は、このイラストの絵の部分だけ、当サイトの「らき☆すた ぎゃらりー。」に掲載されていたので、隅々まで当サイトをご覧になれば今回この曲を取り上げることが完全バレバレになっていました(イラスト上部にこの曲のタイトルが残されているため)。一応、「裏庭〜」の曲のイラストは柊つかさで統一する予定です(よほどのことがない限り)。

 さて、次回ももちろん!「裏庭の混沌と創造」からです。次回紹介する曲のヒントは・・・「もろラテン音楽」。お楽しみに!!

アルバム「裏庭の混沌と創造」。ポールの多重録音と、シンプルなアレンジ・構成が効を奏した、今話題の最新作!

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