キャンディ・グライダー

演奏時間:3'22"
収録アルバム:シングル「キャンディ・グライダー/Sun Love」1曲目
作曲・作詞:素野哲  編曲:中村正人
プロデューサー:不明
レコーディング:岡村弦  ミキシング:エド・テュートン
有名度 ★☆☆☆☆
人気度 ★★☆☆☆
お気に入り度 ★★★☆☆
『キャンディ・グライダー』(イラスト準備中)

 演奏者  中村正人:ヴォーカル、ベース、パーカッション、手拍子

        吉田美和:ヴォーカル

        武藤良明:アコースティック・ギター、エレクトリック・ギター、手拍子

        大谷幸:ピアノ、ハモンド・オルガン   西脇辰弥:ハーモニカ

        松本幸弘:ドラムス

 ライヴ履歴 2007年、DWL「POWER PLANT SPECIAL LIVE」、前座で登場(かぼす)


 2007年7月に発売されたまささん執筆の本「俺もドリカムだっ!365日の悪あがき」の特典CDに収録された曲。この本は、まささんが毎日更新しているブログ「ドリブログ」の2006年6月〜2007年5月の1年間分を書籍化したもので、「脱・ドリカムの男のほう」を目指して(笑)出版された日記風エッセイです。その本の「豪華ドリフロク」として付属した2曲入りCDに、この曲は収録されています。

 この曲は、まささん自身の作曲・作詩ではなく、素野哲さんというアマチュア・ミュージシャンが書いた曲です。素野さんは'70年代に千葉県市川市に存在した「フォーク村」と呼ばれたアマチュア・ミュージシャンの溜まり場の中心的人物で、まささんは自分の音楽の師匠に当たる風間健典さんを通じてその存在を知ったと言います。そして、素野さんのヴォーカリストとしての力量とオリジナル・レパートリーの豊富さにいたく感動したまささんは、それ以来素野さんの家に毎日のように歌を聴きにやって来たそうです。そして、その中でまささんが最もお気に入りだったのが、この『キャンディ・グライダー』。あまりにもお気に入りだったため、高校時代のバンド名も「キャンディ・グライダー」にしていたそうです。そんなまささんが、「ドリブログ」の書籍化にあたってこの曲をカヴァーすることになったのですが、自らの音楽のルーツを振り返った結果の選曲でしょう。このカヴァーに際し、まささんは許諾を得るため素野さんと30年ぶりに再会、新しいヴァージョンを一緒に録音をしたとのことです。

 CDに収録されたものは、「中村正人 feat.吉田美和」というクレジットになっていますが、その通りまささんの他に美和さんがヴォーカルで参加しています。素野さんのオリジナルも男女が交互に歌うスタイルだったらしく、それを再現するために美和さんの出番となりました。しかし、あくまでここでの主役はまささん。念願のセンターを果たすことができました(笑)。まささんの味わい深いヴォーカルと、美和さんの伸びやかなヴォーカルとの対比は久々に聴けるもの。ファンにとってはうれしい話です。

 演奏は気心の知れたおなじみのメンバーで録音。いかにもフォーク・ソングらしいのどかでアコースティックな演奏です。アコギやハーモニカが印象的です。まささんはパーカッションと手拍子も担当。曲は途中でテンポアップしますが、この自由自在な展開も素野さんのアレンジをそのまま再現しているそうです。のどかな雰囲気から楽しい雰囲気に変わる中盤です。歌詞は、キャラメルの空き箱で作った紙飛行機「キャンディ・グライダー」を飛ばす恋人を歌ったラヴソングで、まささんと美和さんのヴォーカルはその初々しさにぴったりです。

 この曲はライヴでも演奏されています。「ドリブログ」本の発売と同じ2007年に行われたドリカムのコンサート・ツアー、DWLでした。この年のDWLは、「夢よ、みんな、かなってしまえ!」をキーワードにファンの願いを次々とかなえていましたが、その一環で開催されたファンクラブ限定ライヴで演奏されました。演奏はドリカムではなく、その前座として登場した「かぼす」という謎のユニット。DWLのテーマ曲にのせて(なぜか「ドリブログ」本の帯のまささんの顔の仮面をつけて)現れ、ファンが驚きと期待で見守る中この曲と『Sun Love』をアコギ2本の弾き語りで演奏しました。実はこの「かぼす」の正体はまささんと武藤良明さん(DWLでギターを担当)の2人であり、事前に素野さんの元を訪ねてこの曲を練習したそうです。まささんが主役のステージに、ファンの間で大反響が巻き起こりました。ちなみに、この時の映像はドリカムのアルバム「AND I LOVE YOU」の初回限定盤に収録された「ドリブログ」の映像版で見ることができます・・・ただし歌い出す直前まで(笑)。演奏シーンは映像が残っていないそうです(絶対残っていそうですが!)。

 この曲はドリカム関連では珍しいカヴァー曲ですが、まささんの深い思い入れを思わせますね。プロのミュージシャンである今のまささんがいるのも、素野さんのような多くの先輩の存在と、魅力的なオリジナル曲の存在が大きいのでしょうね。楽しそうに歌うまささんの歌声に、聴いているこちら側も楽しくなってきます。まささんと美和さんのデュエットは『woo・・・WOW!?』(「長男の嫁 オリジナルドラマ・トラックス」収録)以来ではないでしょうか?意外な形での2人の共演となりました。DWLでの「かぼす」の演奏、私は生で見ました!フルバンドの演奏も魅力的ですが、アコースティック1本もフォークらしくていいなぁ〜と思いました。ドリカムに比べるとずいぶん地味でしたが(苦笑)。まささんにはぜひ映像を公開していただきたいですね!この曲を聴けるのは現在「ドリブログ」本だけですので、皆さんぜひチェックの程を!

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